鋳鉄とは|ねずみ鋳鉄・白鋳鉄の違い、特徴、用途をわかりやすく解説

鋳鉄の基礎を図解でわかりやすく解説。ねずみ(灰色)鋳鉄と白鋳鉄の違いや特性、熱伝導・用途まで実用的に紹介。

著者: Leandro Alegsa

鋳鉄の定義と組成

鋳鉄は鉄の合金で、炭素を多く含む点が特徴です。通常、ねずみ鋳鉄のことを指すことが多いですが、用途や成分の違いによりいくつかの種類があります。一般に鋳鉄中の鉄の割合は約95%で、残りは炭素やシリコン、マンガン、リン、硫黄などの元素で構成されます。炭素含有量はおおむね2%程度から4%程度と高く、シリコンは0.5〜3%程度含まれることが多いです。

ねずみ鋳鉄(灰色鋳鉄)と白鋳鉄の違い

鋳鉄には大きく分けて、ねずみ鋳鉄と白鋳鉄の2種類があると説明されることが多いです。両者の違いは、主に合金に含まれるシリコンの量や冷却速度などの条件によります。

ねずみ鋳鉄(灰色鋳鉄)は、一般にシリコン含有量が比較的高く(例:約3%程度)、鋳造時に炭素が黒鉛(グラファイト)として析出します。そのため、断面は灰色〜黒に近い色合いになり、見かけから「灰色鋳鉄」とも呼ばれます。ねずみ鋳鉄に含まれるシリコンは、炭素を黒鉛に変化させます。この黒鉛は薄片状に分布することが多く、ねずみ鋳鉄特有の良好な振動減衰性や熱伝導性、加工性(切削性)を生みます。

一方、白鋳鉄はシリコンが少ないか、冷却が速い条件で生成されやすく、炭素がセメンタイト(または炭化鉄、Fe3C)として残ります。これにより断面は白く光沢のある割れ面を示し、非常に硬くて摩耗に強い反面、脆くて加工や切削が難しい性質になります。シリコンが少ないと、白色鋳鉄の炭素はセメンタイトまたは炭化鉄(Fe3 C)に変化する。このため、表面に白い割れ目ができ、白色鋳鉄と呼ばれるようになる。

その他の鋳鉄の種類

  • 球状黒鉛鋳鉄(球状鋳鉄/ダクタイル鋳鉄):特殊な処理(球状化処理)によって黒鉛を球状にしたもので、引張り強さや延性が高く、ねずみ鋳鉄より脆性が低い。自動車部品や配管などに広く使われます。
  • 可鍛鋳鉄(可鍛性鋳鉄):白鋳鉄を熱処理して黒鉛化させ、延性を改善したもの。加工性や曲げ特性が向上します。
  • 特殊合金鋳鉄:ニッケル、クロム、モリブデンなどを添加して耐摩耗性や耐熱性、耐食性を高めた鋳鉄もあります。

鋳鉄の主な特性

  • 熱伝導性が良い:特に灰色鋳鉄は熱伝導が良く、調理器具に適している。灰色鋳鉄は熱伝導に優れています。そのため、調理器具によく使われる。
  • 振動減衰性が高い:機械のベースやエンジンブロックなど振動を抑えたい構造体に有利。
  • 加工性(切削性)が良い:黒鉛のおかげで切削工具の食いつきが良く、加工がしやすい(ただし白鋳鉄は除く)。
  • 引張強度や延性は比較的低い:特に白鋳鉄は脆性が高く、衝撃に弱い。
  • 鋳造性が良好:流動性や鋳込み性が良く複雑形状の鋳物が作りやすい。

主な用途

  • 灰色鋳鉄:フライパンや鍋、ストーブの部材、機械基礎、エンジンシリンダーブロック、排水管など。
  • 白鋳鉄:粉砕ロール、耐摩耗部品、鉄道のレールやギアの一部など、高い摩耗耐性が求められる箇所。
  • 球状黒鉛鋳鉄:自動車部品、圧力容器、クランクケース、ギアなど高強度・高延性を要する部品。

加工・熱処理・注意点

  • 白鋳鉄は切削が困難であるため、加工前の選定や熱処理(焼きなまし)に注意が必要です。
  • 溶接や溶接後の熱処理は材質によって難易度が異なり、適切な予熱・後熱処理が求められることがあります。
  • 腐食に対しては錆びやすいため、防錆処理(塗装やめっき)や材料選定が重要です。

まとめ

鋳鉄は高い炭素含有量を持つ鉄合金で、シリコンの量や冷却条件によって性質が大きく変わります。一般に「ねずみ鋳鉄(灰色鋳鉄)」と「白鋳鉄」は代表的な分類ですが、球状黒鉛鋳鉄や可鍛鋳鉄など用途に応じた多様な鋳鉄が存在します。用途に合わせて材質を選ぶことで、熱伝導性、摩耗性、強度、加工性といった特性を最適化できます。

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質問と回答

Q:鋳鉄とは何ですか?


A:鋳鉄は鉄の合金で、通常、ねずみ鋳鉄と呼ばれるものです。

Q:鋳鉄の種類は主に何種類あるのですか?


A: 鋳鉄には大きく分けて、ねずみ鋳鉄と白鋳鉄の2種類があります。

Q:ねずみ鋳鉄と白鋳鉄の違いは何に基づいているのですか?


A:主に合金に含まれるシリコンの量による違いです。

Q: 鋳鉄にはどれくらいの鉄分が含まれているのですか?


A:全ての鋳鉄には約95%の鉄が含まれています。

Q:ねずみ鋳鉄に含まれるシリコンの量は?


A: 灰色鋳鉄には3%のケイ素と2%の炭素が含まれています。

Q:ねずみ鋳鉄の炭素が黒鉛に変化する原因は何ですか?


A:ねずみ鋳鉄に含まれるケイ素が、炭素を黒鉛に変化させるのです。

Q:なぜ調理器具にはねずみ鋳鉄がよく使われるのですか?


A:ねずみ鋳鉄は熱伝導が良いので、調理器具によく使われています。


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