Ceratonia(カロブ/イナゴマメ属):地中海・中東原産のマメ科小高木(C. siliqua 等)
Ceratonia(カロブ):地中海・中東原産のマメ科小高木。カロブ果実の利用・生態や分類史、C. siliqua・C. oreothaumaの特徴をわかりやすく紹介。
Ceratoniaはマメ科の小高木で、地中海沿岸や中東の固有種です。よく知られているのはカロブの木で、サヤと呼ばれる果実を栽培しており、気候の似た地域に広く導入されています。
Caesalpinioideae亜科に属し、常緑で乾燥に強く、地中海性気候や乾燥した低地から丘陵の環境に適応しています。
形態
一般にCeratonia属の樹木は
- 樹高は数メートルから10m前後になることが多く、樹冠はやや広がる。
- 葉は革質で光沢があり、羽状複葉(小葉が対生)を持つ個体が多い。
- 花は小さく目立たないが、マメ科特有の構造を示し、受粉は昆虫によることが多い。
- 果実は長楕円形のサヤ(legume)で、成熟すると褐色になり、甘い果肉(ポルプ)を含む。種子は硬く光沢があり、歴史的に宝石の重さの単位(カラット)の基準として用いられたことでも知られる。
分布と生育環境
Ceratonia属は原産地の地中海沿岸地域や中東の温暖〜乾燥環境に適応しています。代表種であるカロブ(Ceratonia siliqua)は地中海域で自生・栽培され、気候の似たカリフォルニア、オーストラリア、南アフリカなどにも導入されています。果実は動物に食べられて種子散布されることが多く、家畜や野生動物にとって重要な餌資源となります。
利用
- 果実のポルプは甘く、生食や乾燥果実、シロップ、粉末(カロブパウダー)として利用され、ココアの代用や甘味料に使われます。カフェインを含まないため子ども向けの飲料にも好まれます。
- 種子の胚乳から得られる「ローカストビーンガム(カラギーナとも)」は増粘剤・安定剤(E410)として食品産業で広く用いられます。
- 家畜飼料、土壌の保全や緑化、庭園樹・街路樹としての利用もあります。乾燥に強く長寿であるため、防風林や防砂植栽にも適します。
分類と学名の歴史
この属は植物学者のCarl Linnaeusによって命名され、1753年にSpecies Plantarum 2: 1026で発表されました。タイプ標本はCeratonia siliqua。
長らくこの属は単一種のみ(単型)と考えられていましたが、1979年にオマーンとソマリアの地域で第2種のCeratonia oreothaumaが確認され、属の分布と種多様性に関する理解が更新されました。C. oreothaumaは分布域が局所的で、山地や特定の乾燥地帯に適応した個体群が知られています。
生態と保全
Ceratonia属の種は乾燥・塩害・高温に比較的強く、長寿であるため古い個体が景観の中で重要な役割を果たします。一方で、自然分布が限定される種(例:C. oreothauma)や生息地の破壊、過剰放牧、気候変動などにより局所的な個体群は脆弱になることがあります。保全上の評価や生育地の保護、持続可能な利用が求められます。
栽培と管理
栽培は種子や接ぎ木で行われ、排水の良いやせ地でも生育するため強健な樹種として扱われます。幼木期の乾燥耐性は高いものの、定着後の増収と健全な樹冠形成のためには適度な灌水と整枝が有効です。収穫は果実が完全に熟して褐色になってから行われ、加工して食品原料や飼料に利用されます。
まとめ: Ceratoniaは地中海・中東原産のマメ科小高木で、食用・産業用の価値が高い一方、種によっては保全上の注意が必要です。代表種のカロブは古くから人々に利用され、現代でも食品や工業原料として重要な役割を担っています。
画像
Ceratonia siliqua(カロブの木)の写真です。
·
樹木
·
フラワー
·
フルーツ
質問と回答
Q:セラトニアとは何ですか?
A:セラトニアは、地中海沿岸地域と中東の固有種であるマメ科の花木の小属である。
Q: セラトニア属の中で最もよく知られているものは何ですか?
A:最もよく知られているのはキャロブの木で、果実(ポッドと呼ばれる)のために栽培され、気候の似た地域に広く伝わっています。
Q: セラトニアは何亜科に属しますか?
A:ケサルピニオイデ亜科に属します。
Q:セラトニア属は誰が作ったのですか?
A: セラトニア属は、カール・リンネによって作られ、1753年に「Species Plantarum 2: 1026 en 1753」に発表されました。
Q: セラトニア属のタイプ標本は何ですか?
A: セラトニアのタイプ標本は、Ceratonia siliquaです。
Q: セラトニアは長い間、単型と考えられていたのですか?
A: はい、セラトニアは長い間、単型(1種のみ)と考えられていました。
Q: セラトニアの2番目の種はいつ確認され、どこで見つかったのですか?
A: セラトニアの2番目の種であるCeratonia oreothaumaは、1979年にオマーンとソマリアから確認されました。
百科事典を検索する