クライスラー『ヘミ』エンジンとは|V6/V8の歴史・特徴と種類
クライスラーの伝説「ヘミ」エンジンを徹底解説。V6・V8の歴史、設計特徴、世代別の種類と性能差がわかる入門ガイド。
ヘミの愛称でトレードマークとなっているクライスラーヘミエンジンは、半球状の燃焼室を持つクライスラー社製のV6およびV8エンジンのシリーズである。クライスラーが自動車用に製造したヘミエンジンは、3種類ある。1951年から1958年まで第1号(クライスラー・ファイヤーパワーエンジンとして知られる)。2番目のタイプは1964年から1971年まで作られました。2003年からは3種類目。クライスラーはマーケティング用語として「ヘミ」の使用を最もよく知られているが、他の多くの自動車およびトラックメーカーも同様の設計を使用している。一般的に、ヘミエンジンは古いエンジン設計より小さく、より強力である。また、製造コストも低く抑えられています。そのサイズのために、彼らは偉大なトルクと馬力の量を生成することができます。
概要と基本概念
ヘミ(HEMI)とは、燃焼室が半球(半球状)に近い形状をしていることを意味します。この形は燃焼効率や吸排気の取り回しに利点があり、特に高出力・高トルクを狙うエンジン設計で評価されてきました。クライスラーが「ヘミ」をブランド化して広めたため、一般にはクライスラー製の高性能V8を指すことが多いですが、設計思想自体は他社も採用しています。
歴史と主要な世代
- 第1世代(1951–1958):クライスラーの「FirePower」系。アルミや鋳鉄のヘッドを使った初期のヘミは高出力で、当時の高級車やパフォーマンスモデルに搭載されました。
- 第2世代(1964–1971):いわゆる「426 Hemi(通称:Elephant engine)」を含む世代。1960年代のアメリカン・マッスルカーを象徴する存在で、レースやドラッグレースでも圧倒的な戦績を残しました。
- 第3世代(2003年以降):現代の電子制御技術や排出ガス規制に対応した復活世代。5.7L、6.1L、6.4L、6.2L(スーパーチャージャー搭載のHellcatなど)といったバリエーションがあり、燃費改善技術(シリンダーディアクティベーション=MDSなど)や触媒制御、電子制御燃料噴射を組み合わせています。
設計上の特徴
- 半球状燃焼室:燃焼室が丸みを帯びているため、バルブ配置に余裕が生まれ、大きな吸排気バルブを取り付けやすい。
- 中央スパークプラグ配置:点火源が燃焼室の中央にあることで火炎伝播が均一になり、効率的な燃焼が期待できる。
- 吸排気の直線性:バルブの角度や配置によって吸気・排気経路が比較的直線的になり、呼吸(フロー)が良くなる。
- 注意点:純粋な半球形は表面積が大きく熱損失が増える・ヘッドの体積が増える・複雑なロッカーメカニズムを必要とする場合があるため、単純に“万能”というわけではありません。
長所と短所
- 長所
- 大きなバルブ配置と良好な吸排気で高出力を得やすい。
- 中央の点火位置により良好な燃焼とレスポンス。
- トルクとピーク馬力の取り出しに優れるため、重量車やタフな用途に向く。
- 短所
- ヘッドの形状上、サイズや重量が増える傾向がある。
- 現代の高効率・低排出を追求する上では、四角い(ペントルーフ)燃焼室など他方式に勝る場合もある。
- 設計・加工のコストや整備の複雑さが増すことがある。
代表的な搭載車・用途
- 1950年代のクライスラー300シリーズや高性能V8車両
- 1960年代のPlymouth/Barracuda、Dodge Chargerなどマッスルカー(426 Hemi搭載モデル)
- 2000年代以降のDodge Challenger、Charger、Ramトラック、Chrysler 300など(現代HEMI搭載車)
現代のHEMI(2003年以降)の特徴
現代のHEMIは、単に“半球形”を真似た古典的な設計ではなく、排出ガス規制や燃費向上のための電子制御技術を組み合わせたものです。具体的には:
- 可変吸気・噴射制御や最適点火制御
- MDS(Multi-Displacement System):燃費を稼ぐためのシリンダー休止技術(条件により半分のシリンダーを休止)
- ターボやスーパーチャージャーとの組み合わせ(例:Hellcatのスーパーチャージャー搭載6.2L)
- 排気後処理(触媒やEGR制御)によるクリーン化
誤解とマーケティング
HEMIはクライスラーが商標やマーケティングで大々的に使ってきたため、「HEMI=無条件にすべての状況で最良」という誤解が広まりがちです。実際には設計目的(高出力か低燃費か)や最新技術の導入状況によって最適解は異なります。現代のHEMIは古典的な半球室の利点を活かしつつ、電子制御で欠点を補っている、と考えると分かりやすいです。
整備・購入時の注意点
- ヘッド周りのサービスや部品は車種によって流通状況が異なるため、維持コストを確認する。
- 現代HEMIは複数の電子制御機構(MDSなど)を持つため、専用の故障診断機器があると有利。
- クラシックHEMI(426など)をレストアやレースで使う場合は、元のスペックやレギュレーションを確認する。
まとめ
ヘミエンジンは、半球形燃焼室による高出力特性と、クライスラーの強力なブランドイメージによって自動車史に残る存在です。クラシックな426 Hemiの伝説から、2003年以降の現代HEMIによる実用的な進化まで、設計思想は時代に合わせて磨かれてきました。用途や優先される性能(パワー、燃費、耐久性)によって評価は変わるため、購入や整備の際は搭載車種や世代ごとの特徴を把握することが重要です。

ヘミ・ヘッドチャンバー(吸気バルブと排気バルブの大きさに注目)
オーストラリアヘミス
1970年代から1980年代にかけて、クライスラーもオーストラリア製のヘミ6エンジンにヘミの名前を使い、三菱の4気筒2.6Lエンジンに適用していた。北米市場のさまざまな車両に搭載された。
質問と回答
Q:クライスラーヘミエンジンとは何ですか?
A:クライスラー・ヘミエンジンは、クライスラーが自動車用に製造した半球形の燃焼室を持つ一連のエンジンです。
Q: クライスラーのヘミエンジンは何種類あるのですか?
A:クライスラー社では、3種類のヘミエンジンを自動車用に製造しています。
Q: クライスラーが最初に作ったヘミエンジンはいつ頃作られ、何と呼ばれていたのですか?
A:クライスラーが最初に作ったヘミエンジンは1951年から1958年までで、クライスラーファイアパワーエンジンと呼ばれました。
Q: クライスラーが作った2番目のヘミエンジンはいつ頃作られたのですか?
A:1964年から1971年にかけて作られたものです。
Q:3番目のヘミエンジンはいつから生産されたのですか?
A:2003年に生産が開始されました。
Q:ヘミエンジンはクライスラー独自のものなのですか?
A:クライスラー社は「ヘミ」をマーケティング用語として使用していることが最も有名ですが、他の多くの自動車メーカーやトラックメーカーでも同様の設計が採用されています。
Q:ヘミエンジンを採用するメリットは何ですか?
A:ヘミエンジンは、旧来のエンジン設計よりも小型でパワフルです。また、製造コストが低く、サイズの割に大きなトルクと馬力を生み出すことができます。
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