シナモン(ダールチーニ)とは:定義・用途・産地と歴史
シナモン(ダールチーニ)の定義から料理・飲料の用途、主産地スリランカや歴史・栽培まで分かりやすく解説。
Cinnamomum verumの内皮から得られる香辛料である。一般に「シナモン」またはインド系の呼び名である「ダールチーニ」と呼ばれるものは、樹皮を乾燥させてできる細長い巻(クイック)や粉末として流通している。
特徴と種類
シナモンの主な芳香成分はシナミックアルデヒド(cinnamaldehyde)で、甘く温かみのある香りとわずかな刺激を伴う味わいが特徴である。流通している種としては、学名でいうところの「Cinnamomum verum(セイロンシナモン、いわゆる“トゥルーシナモン”)」と、より一般的に広く使われる「カシア(Cinnamomum cassia や C. aromaticum)」などがある。セイロンシナモンは風味が繊細で色が薄く、クイックが重なった薄い層になるのに対し、カシアは色が濃く、香りが強くやや甘苦い傾向がある。
用途(料理・飲料・薬用)
甘いものにも しょっぱいものにも使われるスパイスで、用途は非常に幅広い。以下は主な使い方の例である。
- 菓子類:シナモンロール、アップルパイ、クッキー、シナモンシュガーなどの風味付け。
- 飲料:ホットココアやミルク、チャイ(インドのスパイスティー)、ワインやホットワイン(グリューワイン)などの香り付け。
- 料理:カレー、タジン、ビリヤニ、ミートソースや煮込み料理の香り付け(欧米や中東、アジア各地で使用)。
- 保存食品・加工品:一部のブランデーやリキュール、シロップのフレーバー付け。
- 伝統医療:消化促進や発汗を促す目的で利用されてきた(ただし医療的効果は品種や用量により異なる)。
中世ヨーロッパではスパイスワインのクラレットを作るのに使われ、インドでは紅茶やフレーバーティーに直接小片や粉末を入れて飲む習慣がある。ヒンディー語では「ダールチーニ」と呼ばれる。
産地と歴史
シナモンの歴史は古く、古代から価値の高い香辛料として珍重されてきた。特にセイロン(現在のスリランカ)は古くから良質なシナモンの産地として知られ、シンハラ語ではクルンドゥという。スリランカは長年にわたりシナモンを主要な輸出作物として栽培してきた。
15〜18世紀にはポルトガル、オランダ、イギリスなどの海上勢力がスパイス貿易を巡って競合し、シナモンはヨーロッパで非常に高価な商品であった。現在の主要生産国はスリランカのほか、インドネシア、ベトナム、中国、カンボジアなどである。品種により風味や成分が異なるため、用途に応じて産地や種が選ばれる。
栽培と加工
シナモンは熱帯の常緑樹で、若い枝の外皮を剥がして内皮を取り出し、乾燥させると層が巻き上がってクイック(棒状)になる。粉末タイプはこのクイックを粉砕して作られる。品質の良いシナモンは香りが強く、色は均一で油っぽさがあるが、カビや湿気があると劣化しやすい。
栄養成分と注意点
シナモンには抗酸化作用をもつポリフェノール類や揮発性の芳香成分が含まれる。近年、血糖値に対する影響などが研究されているが、効果の程度はまだ完全に確立されていない。
注意点として、カシア種にはクマリン(coumarin)が比較的多く含まれることがある。大量に摂取すると肝臓に負担をかける可能性があるため、長期に大量摂取する場合はセイロンシナモンを選ぶか、医師に相談することが望ましい。また、妊娠中や特定の薬を服用している人は使用前に専門家に確認すること。
選び方・保存・使い方のコツ
- 選び方:用途で選ぶ。繊細で上品な香りを求めるならセイロンシナモン、強い香りとコストパフォーマンスを重視するならカシア。品質の良いクイックは層が薄く均一に巻かれている。
- 保存:香りを長く保つために密閉容器で冷暗所に保存。粉末は香りが飛びやすいので半年以内に使い切るのが望ましい。クイックはより長持ちする。
- 使い方:煮込み料理には棒(クイック)を入れて煮出し、仕上げに取り出す。菓子やソースには粉末を直接混ぜる。量は用途によるが、少量でも香りが立つため、加減して使う。
シナモンは世界中の多くの料理文化で重宝される万能スパイスであり、風味の幅が広いため甘味・塩味問わずさまざまなレシピに応用できる。品質と産地、用法を意識して使うことで、より豊かな香りと味わいを楽しめる。


シナモン
漢方薬としてのシナモン
シナモンのスパイスが糖尿病Ⅱ型に良い影響を与える可能性を示唆する文献があります。これは、米国、国立衛生研究所の見解ではありません。
質問と回答
Q: シナモンとは何ですか?
A:シナモンはCinnamomum verumの樹皮から作られるスパイスです。
Q: シナモンの一般的な使用法は?
A: シナモンは甘い焼き菓子、ホットワインやお酒、フレーバーティーによく使われます。
Q: シナモンは芳香性のスパイスですか?
A: はい、シナモンは芳香性スパイスです。
Q: 中世ではシナモンは何に使われていたのですか?
A: 中世では、シナモンはスパイスワインのクラレットを作るのに使われていました。
Q:シナモンはヒンディー語で何というのですか?
A:シナモンはヒンディー語で "Daal-Cheeni "と呼ばれています。
Q:シナモンはどこで輸出作物として栽培されていますか?
A:シナモンはスリランカで輸出作物として栽培されています。
Q:シナモンのシンハラ語での呼び名は?
A:シナモンのシンハラ語名はkurunduです。
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