シティ・オブ・ロンドン警察(City of London Police)は、ミドル・テンプルやインナー・テンプルを含むロンドン市内の法執行を担当する警察組織である。グレーター・ロンドンの他の地域を担当するのは別組織のメトロポリタン警察サービスであり、シティ・オブ・ロンドン警察は地理的に極めて限られた管轄(「平方マイル」と呼ばれる金融街中心部)に特化している。
管轄と特徴
シティ・オブ・ロンドン警察の管轄は面積が非常に小さい一方で、日中の人口流入が極めて大きいのが特徴である。シティ・オブ・ロンドン地域の常住人口は約8,043人、世帯数は4,421世帯だが、約30万人の通勤者と多数の観光客が毎日流入するため、実際の治安対応は人口統計以上の規模を要する。また、1日に約30万台の車両がこの「平方マイル」を通過するとされている。
組織と人員
シティ・オブ・ロンドン警察は約1,200人の職員を擁し、その内訳としては本文の数値に基づき、813人の警察官、85人の特別職員(Special roles等を含む)、48人の警察コミュニティ・サポート・オフィサー(PCSO)が配置されている。また、管轄内には3つの主要な警察署(スノーヒル、ウッドストリート、ビショップスゲート)があり、これらを拠点として一般の巡回、緊急対応、地域連携を行っている。
主要な役割と専門分野
一般的な地域警察業務に加え、シティ・オブ・ロンドン警察は金融街という特性から、経済犯罪(詐欺、金融犯罪、サイバー犯罪)への対応に高い専門性を有している。2008年の詐欺レビューを受けて、詐欺事件をリードする警察として政府から認識され、国内外での能力強化を目的に資金援助を受け、専門部署や人材育成、国際協力体制の整備を進めてきた。これにより、詐欺・経済犯罪の受理・分析・捜査で中心的役割を果たしている。
また、シティは金融機関や重要施設が集中するため、テロ対策・要人保護・大規模イベントの警備も重要な任務である。サイバーセキュリティや国際犯罪捜査においては、国家機関や他の法執行機関(例:メトロポリタン警察、国家犯罪局など)と連携して対応する。
ガバナンスと協力体制
警察当局(警察運営主体)はロンドン・コーポレーション(Corporation of London)であり、地域特有のガバナンスの下で運営されている。管轄が重なる事項や広域捜査、重大事件については、メトロポリタン警察をはじめとする他機関、国家機関、国際捜査機関と協力して対応する体制が整っている。
課題と展望
シティ・オブ・ロンドン警察は小規模ながら専門特化した強みを持つ一方で、日中人口の激増、国際金融取引に伴う複雑化する経済犯罪、サイバー攻撃やテロの脅威など、多様なリスクに対応する必要がある。行政・金融界との連携や国際協力、技術投資による捜査力強化が今後も重要となる。
まとめると、シティ・オブ・ロンドン警察は狭い管轄区域ながら、金融犯罪対策やテロ対策など専門性の高い業務を担う英国の重要な地域警察であり、地域特性に応じた柔軟かつ国際的な連携によって治安維持に当たっている。


