大腸がん(結腸・直腸がん)とは:症状・原因・診断・治療の基礎知識

大腸がんの症状・原因・診断・治療をわかりやすく解説。直腸出血や貧血の見分け方、検査法と最新治療、早期発見のポイントを詳しく紹介。

著者: Leandro Alegsa

大腸がんは、結腸がん直腸がん腸がんとも呼ばれ、結腸や直腸大腸の一部)、あるいは虫垂にできるがんです。遺伝子解析の結果、基本的に結腸と直腸の腫瘍は遺伝的に同じがんであることが分かっています(臨床的には部位や進行度により治療方針が異なります)。大腸がんの代表的な症状には直腸出血や貧血があり、時に体重減少や排便習慣の変化、腹痛などを伴います。早期では無症状の場合も多く、定期的な検診が発見と治療の鍵となります。遺伝子解析の進歩により、遺伝性のリスク評価や個別化治療が進んでいます。

主な症状

  • 血便・直腸からの出血(鮮血や黒色便)
  • 排便習慣の変化(便秘・下痢の持続、便が細くなる)
  • 腹痛や腹部の張り、残便感(直腸がんで強く出ることがある)
  • 貧血による疲労感、息切れ(慢性的な出血が原因)
  • 体重減少、食欲不振
  • 腸閉塞の症状(嘔吐や強い腹痛、排便・排ガスの停止)—進行例で起こり得る

これらは必ずしも大腸がんだけの症状ではなく、痔や炎症性疾患、感染などでも起こります。しかし持続する症状や説明のつかない貧血がある場合は専門医の受診をお勧めします。

原因・危険因子

  • 年齢(大腸がんは高齢で増加)
  • 家族歴や遺伝性疾患(Lynch症候群、家族性大腸腺腫症など)
  • 慢性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 食生活(高脂肪・赤肉・加工肉の多い食事、食物繊維の少ない食事)
  • 肥満、身体活動の不足、喫煙、過度の飲酒
  • 糖尿病や一部の代謝異常

診断

  • 便潜血検査(FOBTや便潜血免疫学的検査:FIT)—スクリーニングに広く用いられる
  • 大腸内視鏡検査(コロノスコピー)—観察と同時にポリープ切除や生検が可能で、確定診断の「ゴールドスタンダード」
  • CTコロノグラフィー(仮想内視鏡)や直腸鏡など、部位に応じた画像検査
  • 血液検査(貧血の評価、腫瘍マーカーCEAは術後や治療効果判定に利用)
  • 病期診断のためのCT、MRI、PET-CTなどの画像検査(転移の有無や局所浸潤の評価)
  • 最終的には組織診(生検)でがんの確定診断を行う

病期(ステージ)と予後

病期は腫瘍の深さ(T)、リンパ節転移の有無(N)、遠隔転移(M)で分類され、早期(ステージI)は治癒率が高く、進行するほど治療が難しくなります。したがって早期発見・治療が予後を大きく左右します。

治療

治療は病期、腫瘍の位置、患者さんの全身状態に応じて個別化されます。主な治療法は次の通りです。

  • 内視鏡治療:早期の粘膜内がんやポリープは内視鏡的切除で根治可能なことがある
  • 外科手術:結腸切除や直腸切除(低位前方切除、腹会陰式切除など)。リンパ節郭清を伴うのが一般的
  • 化学療法:術後補助(再発予防)や進行・転移例の全身療法。薬剤の選択は病期や分子標的(KRAS/NRAS、BRAFなど)で変わる
  • 放射線療法:特に直腸がんで術前(腫瘍縮小)や術後の局所制御に用いられる
  • 分子標的治療・免疫療法:VEGF阻害薬、EGFR阻害薬、MSI-H/dMMR陽性例に対する免疫チェックポイント阻害薬など、個別化治療が行われる
  • 緩和治療:症状の緩和や生活の質(QOL)を維持するための支持療法

治療は消化器外科、腫瘍内科、放射線科、内視鏡医など多職種によるチームで検討されます。

予防と検診のポイント

  • 年齢やリスクに応じた定期的なスクリーニングが重要です。多くの国・地域で、平均リスクの成人は一定年齢(例:45〜50歳から)で検査を始めることが推奨されています。家族歴や遺伝性リスクがある場合は早期からの検診が必要です。
  • 便潜血検査(FIT)や定期的な大腸内視鏡検査が主要な検診法です。陰性でも推奨間隔で再検査を受けることが大切です。
  • 生活習慣の改善(食物繊維の多い食事、赤肉・加工肉の摂取制限、適度な運動、禁煙、節度ある飲酒)でリスク低減が期待されます。
  • 炎症性腸疾患がある人や家族歴がある人は医療機関で個別のスクリーニング計画を立てましょう。

受診の目安

  • 持続する直腸出血や血便がある場合
  • 説明のつかない貧血(疲れやすい、息切れ)や体重減少
  • 数週間以上続く排便習慣の変化(便秘・下痢の継続、便が細くなる)
  • 腹部の強い痛み、嘔吐、排便や排ガスが出ないなど腸閉塞の疑いがある場合

世界では、新たに123万人が大腸がんと臨床診断され、年間60万8千人が死亡していると推定されています。早期発見・適切な治療、予防的な生活習慣の改善と検診が、罹患率と死亡率の低下に重要です。

質問と回答

Q:大腸癌とは何ですか?


A-大腸癌は結腸や直腸、場合によっては虫垂が侵される癌の一種です。

Q: 結腸癌と直腸癌は同じ癌ですか?


A: はい、遺伝子解析の結果、基本的に結腸と直腸の腫瘍は同じ癌であることが示されています。

Q: 結腸直腸癌の症状にはどのようなものがありますか?


A : 結腸直腸癌の症状としては、直腸出血や貧血が一般的で、体重減少や腸の習慣の変化を伴うこともあります。

Q: 大腸癌と臨床的に診断される新規症例は世界でどのくらいあるのですか?


A: 世界では毎年123万人が新たに大腸がんと臨床的に診断されていると推定されています。

Q: 大腸癌による死亡者数は年間何人ですか?


A: 大腸癌による死亡者数は世界で年間608,000人と推定されています。

Q: 大腸がんは大腸のどの部分に発生しますか?


A: 大腸がんは大腸の一部である結腸や直腸を侵すことがあります。

Q : 大腸がんは一般的ながんですか。
A: はい、大腸がんは一般的ながんで、毎年数百万人が新たにがんと診断され、数十万人が死亡しています。


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