キュビット(肘尺)とは:古代の長さ単位の定義・種類・換算・歴史

定義と基本

キュビット(肘尺)は、古代から使われた長さの人体基準単位で、通常は自分の前腕、つまり前腕の長さ(親指と他の指の間から肘までの距離)を基礎にしています。多くの文明で用いられ、実物の象形文字や計測棒が残されています。日常の織物やロープ、さらに建築用の木材や石材の寸法決めに広く用いられました。

代表的な種類と換算(概数)

キュビットは地域や時代によって長さが異なり、指(digit)や掌(palm)などの細分で表されることが多いです。以下は典型的な例と概算換算値です。

  • 6掌=24桁(common cubit):約45.0cm(約18インチ、1.50フィート)。一般的に「標準的なキュビット」とされることが多い長さです。
  • 7掌=28桁(royal cubit):約52.5cm(約20.6インチ、約1.75フィート)。古代エジプトの「王のキュビット(ロイヤルキュビット)」に相当します。
  • 8掌=32桁:約60.0cm(約24インチ、2.00フィート)。地域によってはこれに近い単位も記録されています。
  • 9掌=36桁:約67.5cm(約27インチ、2.25フィート)。やや大きめの基準です。

実際にはこれらの数値は地域差や時代差、測定方法により変動します。古代の遺物や建築物の寸法から復元された値が基準となる場合が多い点に注意してください。

歴史と文化的背景

キュビットは古代メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマなど多くの文化で採用されました。たとえば古代エジプトでは「ロイヤルキュビット」を示す標準の計測棒が出土しており、建築(ピラミッドなど)や土木で重要な役割を果たしました。時間の経過とともに、各地域で微妙に異なる「キュビット型単位」が並存するようになりました。

古代後期には、ローマでulna(ウルナ、尺骨に由来する語)と呼ばれる基準があり、もっと長い「4フィート程度」の基準が知られる記録もあります(約120cm程度とされることがあります)。これは男性の腰から伸ばした反対側の腕の指先までの長さなど、別の人体基準に由来する測り方です。

関連する英米の長さ単位

ヤードには長い法的歴史がありますが、起源は完全には明らかではありません。イギリスや各地域にはさらに派生した単位があり、たとえば英語の「エル(ell)」は歴史的には約45インチ(約114cm、3.75フィート)程度とされ、布地の長さを測る単位として用いられました。

測定の遺物と考古学的証拠

エジプトのキュビット棒(石や木で作られた目盛り付きのスケール)は、古代の標準を直接示す重要な考古学資料です。こうした遺物と、建築物や工具の寸法データを照合することで、各地のキュビットの長さが復元されてきました。

まとめと注意点

キュビットは「肘から指先まで」を基準とする人体測定に由来する古代の長さ単位で、地域や時代によって長さが異なります。現代のメートル法やインチ換算を当てはめる際は、どの種類のキュビット(標準的な6掌のものか、エジプトのロイヤルキュビットか、その他か)を想定しているかを明確にすることが重要です。歴史的な記録や遺物に基づく復元値には誤差や議論の余地があるため、参考値として扱ってください。

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質問と回答

Q:キュービットとは何ですか?


A:キュービットとは、古くから様々な民族に使われてきた単位で、前腕の長さを測ることを基本としています。

Q:ナチュラル・キュービットの長さはどのくらいですか?


A:1.5フィートまたは45.72cm(18インチ)です。

Q:キュービットに類似した他の単位は何ですか?


A:立方体に似た他の単位には、6手のひら=24桁(約45.0cm、18インチ)、7手のひら=28桁(約52.5cm、21インチ)、8手のひら=32桁(約60.0cm、24インチ)、9手のひら=36桁(約67.5cm、27インチ)です。

Q: ローマ尺骨とは何ですか?


A: ローマ時代の尺骨は、男性の腰から伸ばした反対側の腕の指までの長さが約120cmの4フィートキュービットのことです。

Q:イギリスのヤードはどこから来たのですか?


A:イングリッシュヤードの由来は不明ですが、長い法的な歴史があります。

Q:エル(ell)とは何ですか?


A: エルは本来15掌、114cm、45インチ(3.75フィート)の大立方体のことです。

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