デニソン選挙区は、タスマニア州にあったオーストラリアの選挙区で、1903年に設置されました。名称は、1847–55年のヴァン・ディーメンズ・ランド副知事および1855–61年のニューサウスウェールズ州知事を務めたサー・ウィリアム・デニソンに因んでいます。選挙区はホバート中心部を含み、およそ289km²をカバーしていました。グレノーキー(Glenorchy)、ニュータウン、タローナなどの郊外や、ホバート市街地の一部を含む都市部中心の選挙区でした。

設置以来、デニソンはタスマニア内でも人口集中地域を抱えるため、社会経済的に多様な有権者を擁し、労働党と自由党(リベラル党)が競う伝統的な争点地域でありながら、緑の党や独立候補が強い支持を得ることも多い選挙区でした。近年では、2010年の連邦選挙で当選した無所属議員アンドリュー・ウィルキー(Andrew Wilkie)が地域の代表を務め、地元政治において独立系政治家の存在感が増しました。

越境や人口変動により選挙区境界は幾度か変更されましたが、ホバート中心部とその周辺を中核とする性格は変わりませんでした。州都を抱えることから、行政・サービス業・観光・教育などの職域に従事する有権者が多く、都市政策やインフラ整備、環境問題が選挙争点となることがしばしばありました。

2018年、オーストラリア選挙管理委員会(AEC)はこの選挙区の名称を変更することを決定し、2019年の連邦選挙をもってデニソンは廃止され、代わって「クラーク(Clark)」選挙区が発足しました。改称は、オーストラリア連邦憲法の起草者でありタスマニア出身の法学者・政治家アンドリュー・イングリス・クラーク(Andrew Inglis Clark)を顕彰するためとされています。

デニソンの歴史は、タスマニア州内における都市選挙区の変遷と、地方色の強い政治勢力と都市型有権者層の対立を映すものでした。連邦選挙区としての役割を終えた後も、その地域はクラーク選挙区として引き続きオーストラリア連邦下での代表を選出しています。