マレー選挙区(Division of Murray)は、オーストラリアのビクトリア州の選挙区であった。連邦下院の選挙区として1949年に創設され、地域の農業・灌漑地帯を代表してきたが、後に区域再編により廃止され、名称が変更された。
概要
この選挙区は主に北部ビクトリアの広い農村地帯を含み、人口密度は低いが農業生産が盛んな地域であった。選挙区名はマレー川(Murray River)に由来する。マレー川は、イギリスの陸軍・植民地担当国務長官サー・ジョージ・マレーにちなんで名づけられた河川である。
地理と主な町
マレー選挙区はビクトリア州の北部、ニューサウスウェールズ州との州境を形成するマレー河に67664隣接していた。河川沿いの灌漑地帯を含み、農産物生産や加工業が地域経済の中心である。
- Shepparton — 地域の商業・サービスの中心地であり、食品加工(果物・製罐など)や流通の拠点。
- Echuca — マレー河沿いの歴史的な港町で、観光や川舟に関連する産業がある。
- Cobram — 果樹や畜産が盛んな町。
- Yarrawonga — レクリエーションや観光が重要な役割を果たす河畔の町。
- Boort — 農村コミュニティの一つ。
- Bridgewater — 小規模だが地域に根ざした町。
経済・産業
選挙区内は灌漑による野菜、果実の栽培や酪農、穀物生産が中心で、食品加工業や農業関連のサービス産業が雇用を支えてきた。マレー川の灌漑施設は地域農業の基盤であり、水利用・水管理が政策課題になりやすい地域でもあった。
政治的性格
マレー選挙区は長年にわたり保守系政党(主にカントリー党/ナショナル党)が強い地域とされ、農業政策や地方振興が選挙の重要な争点であった。人口構成が都市部よりも高齢で農業従事者が多いことから、地方政策やインフラ整備、灌漑・水管理が有権者の関心を集めた。
廃止とニコルズへの改称(2019年)
2019年の連邦選挙に向けた選挙区再編(redistribution)により、マレー選挙区は廃止され、ほぼ同地域を新たに包含する形でニコルズ(Nicholls)に改称された。新名称の「ニコルズ」は、アボリジニの指導者であり後にサウスオーストラリア州知事を務めたサー・ダグラス・ニコルズ(Sir Douglas Nicholls)にちなんでいる。
現在の状況と影響
選挙区名の変更や境界の修正は、有権者の構成や地域課題の扱い方に影響を与える。名義の変更自体は象徴的な意味を持つ一方で、地域住民の日常や行政サービスの実態は引き続き州や連邦の政策に左右される。