ドット付きの İ(İ、i)とドットなしの I(I、ı)は、トルコ語では別の文字です。これはトルコ語のアルファベットにおける正式な区別で、単に大文字と小文字での装飾の違いではありません。片方(İ / i)は上に点(ドット)があり、もう片方(I / ı)は点がありません(大文字でも小文字でも同じ扱いです)。文字ですとして別扱いになるため、綴りや意味が変わることがあります。
発音の違い
音声面では次のように区別されます。
- İ / i:前舌の閉鎖母音で、IPAでは /i/(英語の seat の i に近い)
- I / ı:後舌の閉鎖母音で、IPAでは /ɯ/(口唇を丸めない後舌の音。英語には直接対応する音が少ない)
発音の違いをわかりやすくするため、例を示します(発音ガイドについてはの仕方を説明する参考)。
- イスタンブール — /isˈtanbul/(先頭は İ / i の音)
- Isparta — /ɯspaɾˈta/(先頭は I / ı の音)
- sıcak(熱い) — /sɯˈdʒak/(ı が含まれる)
- kır(野原・割る) — /kɯɾ/(ı の例)
表記・大文字化のルール
トルコ語では小文字と大文字の対応が英語とは異なります。重要な対応は次の通りです。
- 小文字 i → 大文字 İ(ドット付きのまま大文字化)
- 小文字 ı → 大文字 I(ドットなしのまま大文字化)
つまり、単に ASCII の規則(i → I)に当てはめると誤りになります。プログラミングや文字列処理で大文字・小文字変換を行う場合は、トルコ語ロケール("tr")を指定しないと想定外の変換や検索ミスが起きます。
Unicode でのコードポイントは次のとおりです:LATIN CAPITAL LETTER I WITH DOT ABOVE = U+0130(HTML 数値参照:İ)、LATIN SMALL LETTER DOTLESS I = U+0131(HTML 数値参照:ı)。
入力と実務上の注意
- トルコ語を正しく入力するには、OS のトルコ語キーボードを使うか、文字パレット/文字ビューアを利用するのが確実です。
- 短い対処法としては、Unicode のコードポイント(U+0130, U+0131)や HTML 実体(İ/ı)を使う方法があります。ワープロソフトでは 0130 と入力してから Alt+X(Word)で変換できる場合があります。
- システムやデータベースで大文字小文字比較を行う際は、トルコ語ロケールを意識しないと "i" と "I" の扱いでバグになります(例:"I" を小文字化すると英語ロケールでは "i" になりますが、トルコ語では "ı" になるべき、など)。
その他の注意点
英語などのいくつかの言語で使われる文字 印欧語の系統の慣習では、小文字の j にのみ点があり、大文字の J には点が付かないのが一般的です。トルコ語でも同様に小文字の j は点が付きますが、これは İ / I の事情とは別の規則です。
まとめると、トルコ語の İ(ドット付き) と I(ドットなし) は見た目が似ていても別の文字であり、発音・大文字化・語形変化に影響します。トルコ語を正しく学ぶ・処理する際は、この違いを常に意識してください。

