延性とは?金属の延性・可鍛性の定義、違いと代表例

延性と可鍛性の定義・違いをわかりやすく解説。金・銅・アルミ・鉄の代表例と実用的特徴まで学べる入門ガイド

著者: Leandro Alegsa

延性とは、固体材料が引っ張り応力を受けたときに破断するまでどれだけ伸びるか、すなわち塑性的に変形して長く伸びる性質を指します。延性が高い材料は材料を線状に伸ばすことができるため、ワイヤー引き(引抜)などの加工に適します。一方、似たような性質である<可鍛性>は主に圧力(圧縮やせん断)を受けて叩いたり転がしたりして薄く延ばせる性質を示します。可鍛性が高ければハンマーやローラーで容易に板状に加工できます。これらはいずれも広い意味では材料の塑性(破壊されずにどれだけ変形できるか)という性質の一面です。

延性の定義と測定

工学的には延性は引張試験で評価されることが多く、代表的な指標は次の通りです。

  • 伸び(%Elongation):破断までの試験片の伸び率(元長に対する伸びの割合)
  • 断面積縮小率(%Reduction of Area):破断点での断面積の減少率

延性の高い材料は破断前に「ネッキング(局部的な絞り)」や大きな塑性変形を示し、破面は一般に「杯と錐(cup-and-cone)」状の延性破壊の特徴を持ちます。一方、延性の低い材料は伸びが小さく、脆性破壊では割れ面が平滑で切っ先のような形状になることが多いです。

延性と可鍛性の違い

延性は引張に対する伸びやすさ、可鍛性は圧縮・塑性流動による薄板化や展延のしやすさを表します。両者は関連しますが必ず一致するわけではありません。たとえば、は延性・可鍛性ともに非常に高く、薄い箔や細い線まで加工できます。一方で、金属の中には圧縮下で薄く延ばしやすいが引張では脆く振る舞うものもあります。一般に「延性」という言葉が可鍛性などの広い塑性を含んで使われることもあります。

微視的な原因(なぜ金属は延びるか)

金属の延性は主に結晶格子中の欠陥である「転位」の運動によって説明されます。転位が滑り面に沿って動くことで塑性変形が進み、材料は破断する前に多くの変形を吸収できます。以下の点が延性に影響します。

  • 結晶構造:面心立方格子(FCC)材料(例:、アルミニウム)は滑り系が多く転位が容易に動くため一般に高延性です。体心立方格子(BCC)は温度依存性が大きく低温で延性が下がることがあります。六方最密構造(HCP)は滑り系が限られ延性が小さくなる傾向があります。
  • 合金元素や不純物:転位の動きを妨げるために強化される一方で延性は低下することがある。
  • 微細組織(粒径、析出物、繊維化など):細かい粒子や析出物は転位を阻害し、延性を下げる場合がある。

温度・加工履歴の影響

延性は温度や変形速度、加工履歴(冷間加工や焼きなまし)に強く依存します。

  • 温度上昇:多くの金属で高温ほど延性が増し、加工しやすくなります(熱間加工が可能)。
  • 変形速度:高速での変形は材料を脆化させることがある。
  • 加工や熱処理:冷間加工は一般に加工硬化を引き起こして延性を低下させます。逆に焼きなまし(再結晶)を行うと延性が回復します。
  • 脆性転換:特に一部のBCC系金属や低温条件下では「延性-脆性転換(DBTT)」が起き、低温で突然脆化します。構造材としての鋼では重要な設計考慮点です。

代表的な金属の例と用途

、アルミニウム、鉄などは一般に高い延性を示し、ワイヤー、チューブ、シート、箔などの加工に適しています。は最も高い延性を示し極めて細い線や薄箔に加工できます。鉛は比較的圧縮方向で変形しやすく可鍛性が高いが、引張延び(延性)は必ずしも高くない材料として扱われることがあります。

破壊の特徴と実務上の注意点

延性材料は破断前に大きく変形するため破壊の予兆(たとえば塑性変形や亀裂先端の鈍化)を確認しやすい利点がありますが、塑性変形が大きいと残留応力や形状変化の問題が起きます。設計や材料選択では使用温度域、応力状態(引張か圧縮か)、加工方法、疲労・腐食環境などを総合的に評価する必要があります。

なお、これらの性質が温度と圧力に依存する事実は、1946年にノーベル賞を受賞したパーシー・ウイリアム・ブリッジマンらの高圧に関する研究でも示されています。

アルミニウム合金の引張試験。局所的なネッキングやカップとコーンの破壊面は、延性のある金属に典型的なものです。Zoom
アルミニウム合金の引張試験。局所的なネッキングやカップとコーンの破壊面は、延性のある金属に典型的なものです。

この鋳鉄の引張試験では、延性が低いことがわかります。Zoom
この鋳鉄の引張試験では、延性が低いことがわかります。

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質問と回答

Q: 延性とは何ですか?


A: 延性とは、固体材料が引張歪みで伸びることです。

Q:延性とは何ですか?


A:可鍛性とは、圧力(圧縮応力)により材料が変形する能力のことです。

Q:延性材料は線状に伸ばせるのですか?


A:延性材料は、ワイヤー状に延伸することができます。

Q:可鍛性材料は、ハンマーや圧延で平らにすることができますか?


A:可鍛性材料は、ハンマーやローリングで平らにすることができます。

Q: 可塑性とは何ですか?


A:塑性変形とは、固体材料が破壊されることなく、どこまで変形できるかを示すものです。

Q:延性と可鍛性は必ず一致するのですか?


A:いいえ、延性と展性は必ずしも一致するわけではありません。金は延性・展性が高いが、鉛は延性が低く展性が高い。

Q:延性の高い金属にはどのようなものがありますか?


A:金、銅、アルミニウム、鋼は延性が高いです。


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