地球の内核とは|構造・組成・温度・発見の歴史をわかりやすく解説
地球の内核の構造・組成・高温の謎と発見の歴史を分かりやすく解説。深さ・圧力・発見者レーマンにも触れる入門ガイド。
内核とは、地球のまさに中心部であり、最も高温の部分です。地震学的な研究によると、内核は半径約1,220kmのほぼ球形をした固体で、主に鉄とニッケルの合金から構成されていると考えられています。温度は推定で数千ケルビンに達し、よく引用される値は約5700K(約5400℃)前後ですが、研究によっては幅を持つ見積もり(おおむね5000–7000K)が提示されています。温度は高温であるものの、中心部では圧力が極めて大きいため固体の状態が保たれます。
位置と大きさ
内核は地表からおよそ5,150kmの深さから地球中心までの領域を占めます(地球半径は約6,371km)。まとめると:
- 内核の半径:およそ1,220km
- 内核の外側境界(内核–外核境界)は地表から約5,150kmの深さ
- 外核はその外側に広がり、マントルとの境界(核–マントル境界)は約2,891kmの深さにあります
組成と状態
内核は主に鉄とニッケルの合金で構成されていると考えられていますが、純粋なFe–Niのみでは説明できない性質(密度や地震波速度)から、硫黄・酸素・シリコン・水素・炭素などの軽元素が一部混じっている可能性が示唆されています。中心部の圧力は非常に高く(約350万気圧=数百万気圧級)、この高圧により鉄の融点が大幅に上昇し、高温でありながら固体として存在します。
温度と圧力
- 温度:モデルや観測により幅がありますが、概ね5,000–7,000K程度(代表値として約5,700Kがよく用いられます)。
- 圧力:中心付近では数百万気圧に達し、地表の圧力とは桁違いの条件です。
- これらの極限環境が、物質の相(固体か液体か)や物性(電気伝導率、弾性率など)を決めています。
発見の歴史と地震波の証拠
内核の存在を初めて提案したのは、デンマークの地震学者インゲ・レーマンで、1936年に地震波の観測から内核の存在を示唆しました。レーマンは、ニュージーランドで観測された大地震の波形を分析し、ある種のP波が地球中心付近を通過する振る舞いを説明するために内部に別の境界(現在の内核境界)が必要だと結論づけました。レーマンの提案以降、観測網の拡充や理論の発展により、内核の大きさ・状態・組成についての理解は次第に精密になりました。
地震学での主な証拠:
- P波(縦波)の伝播速度と到達時間の違い:内核を通るP波と外核を通る波の振る舞いの差。
- PKIKPやPKiKPなどの地震波の表記に見られるような反射・透過特性。
- 地震波速度の異方性(軸方向で速度が異なる)や、微小な時間変化から内核内部の物質配列や結晶配向の情報が得られる。
動的役割と地球の進化への影響
内核の成長(外核からの鉄の結晶化に伴う固化)は、地球内部での熱・物質移動に影響を与えます。結晶化により放出される潜熱や軽元素の分離は、外核の対流を駆動し、それが地球の磁場を生み出す「地球ダイナモ」メカニズムの重要なエネルギー源となっています。また、地震波観測からは内核が地殻やマントルとはわずかに異なる速度で自転している可能性(「内核の超回転」など)や、成長の非対称性が示唆され、これらは地球の長期進化の手がかりとなります。
現在の課題と研究の最前線
- 内核の正確な温度と化学組成の決定:高圧高温実験や第一原理計算、地震学的逆解析が組み合わされています。
- 内核の結晶構造や異方性の原因の解明:鉄の結晶方位や結晶サイズ、結晶化過程の詳細を特定すること。
- 内核と外核の境界近傍で起きている複雑な現象(薄い遷移層、部分的な溶融など)の解明。
以上のように、内核は地球の中心で物理的・化学的に極限的な条件下にある領域であり、地震波の観測や実験・理論研究を通じてその姿が徐々に明らかにされています。理解が進むことで、地球の磁場や熱進化、惑星内部ダイナミクスの全体像の解明につながります。

地球の内部構造

7 この地球の断面図では、内核がNumberと表示されている。
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質問と回答
Q: 内核とは何ですか?
A: 内核とは、地球の中心部のことです。
Q: 内核の温度はどのくらいですか?
A: 内核の温度は、太陽の表面とほぼ同じ5700K(5400℃)といわれています。
Q: 内核の半径はどのくらいですか?
A: 地震学の研究によると、内核の半径は約1,220kmです。
Q: 内核は何からできていると考えられていますか?
A:鉄とニッケルの合金が主成分と考えられています。
Q: 誰がどのように発見したのですか?
A: 内核は、1929年にインゲ・レーマンが地震学を使って発見しました。レーマンはニュージーランドの大地震を調査していて、振動が惑星の中心にある固いものを横切っているように見えたので、それを内核と呼んだのです。
Q:内核の存在が最終的に証明されたのはいつですか?
A:インゲ・レーマンが何年も前から書いていたことですが、1970年になってようやく内核の存在が証明されました。
Q: 地球の内核の圧力はどのくらいですか?
A: 地球の内核の圧力は、約350万気圧です。
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