エーレンフリート・ヴァルター・フォン・ツィルンハウスとは — 磁器製法発見のドイツ数学者・物理学者 (1651–1708)
ドイツの数学者・物理学者ツィルンハウス(1651–1708)、磁器製法の発見とツィルンハウス変換など科学史を彩る功績を紹介。
Ehrenfried Walther von Tschirnhaus (or Tschirnhausen) (1651年4月10日-1708年10月11日)は、ドイツの数学者、物理学者、医師、哲学者である。生涯を通じて数学的な考察と実験的研究の両面を行き来し、代数学・光学・材料加工・工芸技術の分野で重要な足跡を残した。
鉱物調査と磁器製法の発見
17世紀後半、彼はザクセン州の鉱物の調査を任され、鉱山・精錬・材料の評価に関する官職に就いていた。この仕事の一環として、地元の原料や高温処理の研究を進める中で、助手のヨハン・フリードリッヒ・ベトガーと協力してヨーロッパで初めてとなる硬質磁器(硬質磁器、ハードペースト磁器)の製造方法を発見した。磁器はそれまで主に中国や日本などのアジアでのみ製造されており、ツィルンハウスらの実験はヨーロッパでの自前生産を可能にした点で大きな意義がある。発見は最終的にザクセン州の国営工房(やがてのマイセン磁器製作所)に引き継がれ、工業的生産へと発展していった。
数学での功績
ツェルンハウスの数学における代表的な業績は、いわゆるツェルンハウス変換(Tschirnhaus transformation)である。この変換は、与えられた代数方程式からいくつかの中間項を取り除いて簡約化する手法で、方程式の標準形への帰着や、根の性質を調べるための操作として用いられた。彼の考案した変換は代数方程式の研究に新たな視点を与え、後の代数学や方程式理論に影響を与えた。
物理学・光学における研究
彼の物理学での仕事には、特に光学の分野での貢献が含まれる。ツィルンハウスはMartin Knorrと協力して、研磨法や鏡面加工の改良技術を開発し、これにより高精度のレンズや鏡を作製できるようになった。こうした高品質の光学部品や高温に耐えるガラス(いわゆる燃焼ガラス)を用いて、集光鏡(burning-glass)など太陽光を集中する実験器具を製作し、材料の高温挙動や焼成実験に利用した。彼は理論的考察と実験的検証を密接に結びつける研究姿勢を持っていた。
総合的な評価と遺産
ツィルンハウスは、数学的理論と工芸的・実験的技術を結びつけた学際的な人物である。彼の業績は、形式的な代数操作の発展(ツィルンハウス変換)と、材料科学・工業への応用(磁器製造、光学器具の改良)の双方に及んだ。磁器製造については、後年にベトガーやザクセン公の工房によって量産化される過程で誰が主要な発見者かをめぐる議論が起きたが、歴史的資料からはツィルンハウスの理論的・実験的貢献が重要であったことが示されている。
主な特色
- 学際的手法:数学・物理・化学・工芸を横断する実験と理論の結合。
- 実験装置・技術の改良:研磨技術や集光装置、耐熱ガラスの開発。
- 代数学への貢献:代数方程式の簡約化に関わる変換の提案。
その生涯と業績は、科学史や工芸史の交差点で現在も研究対象となっており、ツィルンハウスが残したノートや実験記録は、近代科学の成立過程を考える上で貴重な資料となっている。

メディシナ・コーパス 、1686年

メディシナメンティス 、1687年

Acta Eruditorum , 1690
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