断層とは(地質学)—定義・種類・活動性と地震発生の仕組み
断層とは?地質学の定義から種類・活動性、地震発生の仕組みまで図解でわかりやすく解説
断層とは、地殻(岩石圏)にある割れ目のことです。断層の中には、活動的なものもあります。ここでは、岩石の断面が互いに移動しています。このため、地震が発生することがあります。
断層は、岩石にかかるせん断応力が、岩石を支える力に打ち勝つことで発生します。その割れ目そのものを「断層面という」。地表に露出すると、断層崖と呼ばれる崖や急斜面を形成することがある。
断層面と仮想の水平面とのなす角度を断層の傾斜角という。断層は浅く傾斜している場合(低角断層)と、急に傾斜している場合(高角断層)がある。
断層は主に3つのタイプに分類される。
- 正断層(normal fault):地盤が伸張(引き伸ばされる応力)される環境で生じる。断層面に沿って上側の岩塊(上盤)が下側(下盤)に対して相対的に下がる。地盆や拡張域で多く見られる。
- 逆断層(reverse / thrust fault):圧縮応力下で生じ、上盤が下盤の上へ押し上げられる。褶曲や山地形成に関連し、浅い角度で大きくすべることがある(衝上断層)。
- 横ずれ断層(strike-slip fault):水平方向のずれが主で、左右どちらかに水平移動する。サンアンドレアス断層のような海洋プレート境界やプレート間の境界で典型的。
断層の構造と用語
断層を記述する際に重要な用語:
- 断層面:割れ目そのものの面。
- 走向(strike):断層面の水平線が向く方位。
- 傾斜(dip):断層面が垂直に下がる方向と角度。
- 上盤・下盤(hanging wall / footwall):傾斜面で上に位置する側を上盤、下に位置する側を下盤という。正・逆それぞれで運動の向きが異なる。
- 断層線(断層線跡):地表に現れた断層の線状の痕跡(断層溝、断層崖など)。
断層と地震の発生メカニズム
断層では長い期間にわたり力が蓄積され、断層面が滑りやすい部分や「ロック」された区間では応力が増大します。ある限界を越えると断層が急に滑り、周囲の岩石が弾性的に跳ね返ることで地震が発生します。重要な点は次のとおりです:
- 断層が滑る場所の真下を震源(震源域)、その真上の地表点を震央という。
- 地震の大きさ(マグニチュード)は、断層のすべった面積と平均すべり量に概ね比例する。大地震は広い範囲で大きく滑ることで生じる。
- 「表面破壊(surface rupture)」が起きる断層もあれば、地表まで到達しない「ブラインド断層」もある。表面破壊は地表に目に見える断層線を残す。
- 断層の滑りは完全に急速に起きるものだけでなく、ゆっくり滑る断層すべり(クリープ)や、地震を伴わない無震性すべりもある。
活動性と評価方法
活動的な断層とは、地質学的・地形学的に比較的最近(日本ではしばしば約1万年以内)に繰り返し運動した証拠がある断層を指し、地震ハザード評価で重点的に扱われます。主な評価・調査手法は次の通りです:
- 地形調査:断層崖、段丘の切断、河川の偏向などの地表変形を観察。
- 断層掘削(トレンチ調査):断層を横切る溝を掘り、堆積物のずれや変位を直接観察して年代(例えば放射性炭素年代)を測定する。
- 地震観測・履歴:過去の地震や現在の微小地震活動から活発な断層を特定。
- 地球物理探査:反射法地震探査、電気探査や深部構造の観測で断層の深さや形状を推定。
- 衛星測位(GPS)・InSAR:地殻変動を高精度に観測して応力や変形の蓄積を評価する。
断層と防災・土地利用
断層の位置や活動性は都市計画やインフラ設計に重要です。活断層の上やその近傍に重要施設を配置すると、表面破壊や大きな地盤変形の危険が高まります。そのため多くの国で活断層の分布図を作成し、建築規制や防災計画に反映しています。
その他の注意点
- 断層はプレート境界だけでなく内陸のプレート内でも生じ、大きな内陸地震を引き起こすことがある。
- 人間活動(ダム貯水、地下流体注入など)が応力場を変え、誘発地震を起こす場合がある。
- 断層の挙動は複雑で、短期的な地震予測は困難。ただし長期的な発生確率の評価や減災対策は可能で重要である。
以上が断層の基本的な定義、分類、活動性の評価と地震発生の仕組みです。必要であれば、正断層・逆断層・横ずれ断層それぞれの図解や代表的な実例、国内外の主要断層の紹介などを追記できます。

イギリス、サマセット州の海岸にある正断層。左側の青灰色の岩石は、三畳紀後期からジュラ紀前期。右側の赤い岩は古い三畳紀の泥岩。赤い岩石が上方に移動する際に地層が変形した。断層の線は海岸に沿って走っており、岩と砂の分かれ目で示されている。

正断層と逆断層の断面図

フランス・ベダリューにあるグラン・コース山脈の逆断層。左側が下に、右側が上に動いている。

2種類の横ずれ断層の模式図

斜めすべり断層
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質問と回答
Q:断層とは何ですか?
A:断層とは、地殻(岩石圏)にある割れ目のことです。
Q:岩石の一部が互いに移動し合うとどうなるのですか?
A:岩石が互いに移動し合うと、地震が起こることがある。
Q:断層の原因は?
A:断層は、岩石にかかるせん断応力が、岩石を支えている力に打ち勝つと発生する。
Q:割れ目は何という名前ですか?
A:割れ目そのものを断層面と呼びます。
Q:断層面は地表にどのように現れるのか?
A:地表に露出すると、断層崖と呼ばれる崖や急な斜面を形成することがあります。
Q:断層面と仮想の水平面がなす角度を何というか?
A:断層面と仮想の水平面との間の角度を断層の傾斜角という。
Q:断層はどのように分類されるのか?
A:断層は3種類に分類されます。
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