グリコーゲンとは?定義・構造・肝臓での役割とエネルギー貯蔵
グリコーゲンの定義・構造・肝臓での役割をわかりやすく解説。エネルギー貯蔵の仕組みや代謝、健康・運動への影響まで詳述。
グリコーゲン(一般に動物性デンプンと呼ばれるが、この名称は不正確である)は、動物の細胞内で、グルコースの主要な貯蔵形態である多糖類です。エネルギーを素早く供給できるように合成・分解され、特に短時間〜中時間のエネルギー需要に重要な役割を果たします。
定義と概要
グリコーゲンは多数のグルコース単位が結合してできた多糖で、動物や菌類の細胞に広く存在します。エネルギー源として使われる際には、必要に応じて迅速に分解されてグルコースやグルコース-1-リン酸が生成されます。細胞内ではエネルギーを効率よく蓄えるために粒状の形で存在します(下記参照)。
構造
- グリコーゲンは主にα-1,4-結合でつながった直鎖と、約8〜12個のグルコースごとに生じるα-1,6-分岐点を持つ高分岐構造をとります。
- 中心には自己グリコシル化酵素であるグリコーゲニン(glycogenin)があり、これが起点となって鎖が伸長されます。
- 細胞内には微細な顆粒として存在し、これらはしばしば数十〜数百ナノメートルの集合体を形成します。具体的には、小さなβ粒子(単位顆粒)が集まって大きなα粒子(複合顆粒)を形成します。
- この顆粒状貯蔵は浸透圧の問題を緩和し、素早い酵素的処理を可能にします。グリコーゲンは水を伴って貯蔵され、1 gのグリコーゲンに対して約3倍前後の水が結合するとされます。
生合成(グリコーゲン合成)と分解(グリコーゲン分解)
- 合成(グリコーゲン合成): UDP-グルコースを供与体とし、グリコーゲンシンターゼ(glycogen synthase)によってα-1,4鎖が伸長され、分岐酵素(branching enzyme)がα-1,6結合を導入します。
- 分解(グリコーゲン分解): グリコーゲンホスホリラーゼ(glycogen phosphorylase)がα-1,4結合を切断しグルコース-1-リン酸を作り、脱枝酵素(debranching enzyme)がα-1,6結合を処理します。
- 調節: インスリンは合成を促進し、グルカゴンやアドレナリンは分解を促進します。これらはホルモン性のシグナルで酵素のリン酸化/脱リン酸化や、アロステリックな調節を通じて作用します。
肝臓での役割
グリコーゲンは多くの細胞の細胞質内に顆粒状で存在し、エネルギー代謝において重要なバッファーの役割を果たします。特に肝臓に貯蔵されたグリコーゲンは血糖値の維持に直接関与します。肝臓にはグルコース-6-ホスファターゼが存在するため、グリコーゲンから生成されたグルコース-6-リン酸を自由なグルコースに変換して血中へ放出することができます。
これに対して骨格筋のグリコーゲンは、筋細胞自体でのATP供給など局所的なエネルギー需要に使われ、筋肉は血中へグルコースを放出することはできません(筋細胞にはグルコース-6-ホスファターゼがほとんど存在しないため)。
つまり、体全体の血糖を維持して他の臓器が利用できるのは主に肝臓に貯蔵されたグリコーゲンだけです。
エネルギー貯蔵としての特徴
- グリコーゲンは1 gあたり約4 kcal(約17 kJ)のエネルギーをもたらしますが、水を伴って貯蔵されるため重量当たりのエネルギー密度は脂肪(トリグリセリド:約9 kcal/g)に劣ります。
- ヒトの肝臓には通常約80〜100 gのグリコーゲンが蓄えられ(個人差あり)、これは約300〜400 kcalに相当します。骨格筋全体にはより多くの量が貯蔵されることが多いですが、筋グリコーゲンは主に運動時にその筋自体で利用されます。
- 断食や激しい運動では肝グリコーゲンが比較的短時間(数時間〜24時間程度)で枯渇することがあり、その後は糖新生などで血糖維持が行われます。
臨床的・実用的意義
- グリコーゲン代謝の異常はグリコーゲン蓄積病(グリコーゲン貯蔵病)として知られ、酵素欠損により低血糖、肝肥大、筋力低下などを引き起こします。例:フォン・ギールケ病(GSD I:グルコース-6-ホスファターゼ欠損)、マカードル病(GSD V:筋ホスホリラーゼ欠損)など。
- スポーツや栄養管理では、運動前後の「グリコーゲン貯蔵(チャージ)」がパフォーマンスに影響します。炭水化物の摂取やリカバリー戦略は筋グリコーゲンの回復に重要です。
まとめると、グリコーゲンは動物細胞内に存在する高分岐の多糖で、肝臓と筋肉で主要な貯蔵場所を占めます。特に肝臓のグリコーゲンは血糖の恒常性を保つために不可欠であり、その合成・分解はホルモンと酵素によって精密に制御されています。

グリコーゲンの構造
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質問と回答
Q: グリコーゲンとは何ですか?
A: グリコーゲンは多糖類で、動物細胞内のグルコースの主な貯蔵形態です。
Q: グリコーゲンはどこにありますか?
A: グリコーゲンは、多くの細胞種の細胞質に顆粒状で存在します。
Q: グルコースサイクルにおいてグリコーゲンはどのような役割を果たしていますか?
A: グリコーゲンはグルコースサイクルにおいて重要な役割を果たしています。
Q: グリコーゲンのコンパクトさは、トリグリセリドのエネルギー備蓄と比べてどうですか?
A: トリグリセリドのエネルギー備蓄は、グリコーゲンのそれよりもコンパクトです。
Q:体内に貯蔵されているグリコーゲンは、すべて他の臓器に利用できるのですか?
A: いいえ、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンだけが他の臓器に利用可能です。
Q: 肝臓に貯蔵されているグリコーゲンの機能は何ですか?
A: 肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは、急にブドウ糖が必要になったときに素早く動員できるエネルギー備蓄として機能し、他の臓器にも利用できるようになっています。
Q: なぜグリコーゲンは動物細胞にとって重要なのですか?
A: グリコーゲンが動物細胞にとって重要なのは、必要な時に素早く動員できるエネルギー源となるからです。
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