ホール教会(Hallenkirche)とは|定義・特徴・起源と代表的な大聖堂
ホール教会とは、教会建築の一種である。ホール教会とは、建物の建築のことを指します。ほとんどの非常に大きな教会や大聖堂は、「身廊」と呼ばれる人々が座る長い部分を持って建てられています。身廊の両側には、下層の「通路」があります。身廊と通路の間には柱が並んでいます。柱の上には、身廊に光を入れる窓があります。ホール教会では、柱の上には窓がありません。身廊と通路の高さは同じくらいです。
ホール教会として有名な大聖堂は、イタリアのミラノ大聖堂、セント・スティーブンズ大聖堂、ウィーン、イギリスのブリストル大聖堂などがあります。
この言葉は、19世紀半ばにドイツの美術史家ヴィルヘルム・リューブケによって初めて使われました。
·
ウィーンの聖ステファン大聖堂の内部の様子。
·
聖トマス教会(ストラスブール)は、アルザス地方で唯一のホール教会です。現在はプロテスタントの教会です。
·
オーストリアのトゥルンにある主な教会。
定義と主な特徴
ホール教会(Hallenkirche)は、身廊(中央通路)と側廊(両側の通路)がほぼ同じ高さで造られ、内部空間が一体となって「大きなホール(大空間)」のように感じられる教会建築を指します。一般的な特徴は次のとおりです。
- 身廊と側廊の高さが同程度で、屋根高さや窓の配置も揃えられていることが多い。
- 内部は開放感があり、視線が遮られにくく、広い一室空間のように見える。
- 肋骨ヴォールトなどの石造ヴォールトが身廊から側廊まで連続してかかることが多く、構造的に幅広い空間を支える。
- 照明は側廊にも大きな窓が設けられるなど、全体に均一に光が入るよう工夫されている。
起源と歴史的背景
ホール教会の形式は、中世ゴシック期に特に中部ヨーロッパ(ドイツ語圏、オーストリア、チェコ、ポーランド、アルザス地方など)で発展しました。都市の大聖堂や主要な市民教会に好んで採用され、14世紀から16世紀ごろに多く建てられています。19世紀の美術史家ヴィルヘルム・リューブケ(Wilhelm Lübke)が「Hallenkirche」という用語を広め、その後の研究で建築史上の一形式として定着しました。
地方ごとの素材や工法の差により、石造の大規模なヴォールトで覆われたものから、北ドイツの赤レンガで造られたものまで多様なバリエーションがあります。また19世紀以降のネオゴシック revival(復興)運動でも、この形式が再利用されることがありました。
構造的・機能的な利点と留意点
- 利点:視界が広く、礼拝や集会に適した一体的な空間が得られる。均一な採光により内部が明るく、音響的にも一室空間としての特性を持つことが多い。
- 欠点・制約:幅広いヴォールトを支えるために大きな柱や厚い壁が必要になることがあり、構造的に強固な設計が求められる。外観上はバシリカ型(中央高窓を持つ古典的な形式)と異なるため、伝統的な身廊中心のプロセッションや礼拝動線と相性が変わる場合がある。
代表的なホール教会(例)
研究やガイドでは以下の建物がホール教会の代表例として挙げられることが多いです(地域ごとに様式や解釈が異なるため、分類の仕方には諸説あります)。
- ミラノ大聖堂(イタリア) — 大規模なゴシック大聖堂で、内部空間の広さや側廊との一体感がしばしば指摘されます。
- 聖ステファンズ大聖堂(ウィーン) — 都市で重要な役割を果たす大聖堂で、内部の構成がホール的な性格を見せます。
- ブリストル大聖堂(イギリス) — 英国における例としてしばしば紹介されます。
- 聖トマス教会(ストラスブール)(アルザス) — 地方で唯一のホール教会として言及されることがあります。現在はプロテスタントの教会です。
- トゥルンの主な教会(オーストリア) — 地元の例として写真で紹介されています。
学術的な注意点
「ホール教会」という分類は便利ですが、研究者や国・地域によって定義がやや異なることがあります。身廊と側廊の高さ比、窓の配置、ヴォールトの種類など複数の要素を総合して判断するため、ある教会が厳密に「ホール教会」に当たるかどうかは、専門家の解釈に依存する場合があります。
参考とさらなる学び
ホール教会の詳しい研究や写真集、各地の実例を比較することで、その地域的な変化や時代の特徴をより理解できます。教会を訪れる際は、身廊と側廊の高さ、ヴォールトの形状、窓の位置などを観察してみてください。

ウィーンの聖ステファン大聖堂はホール教会です。
関連ページ
質問と回答
Q:ホール・チャーチとは何ですか?
A:ホール・チャーチとは、柱の上に窓がなく、身廊と通路がほぼ同じ高さにある建築様式を特徴とする教会建築の一種である。
Q:「ホール・チャーチ」という言葉を最初に使ったのは誰ですか?
A:19世紀半ば、ドイツの美術史家ヴィルヘルム・リュプケが最初に使った言葉です。
Q:ホール・チャーチの有名な例をいくつか教えてください。
A:イタリアのミラノ大聖堂、ウィーンのシュテファン大聖堂、イギリスのブリストル大聖堂などが有名です。
Q:プロテスタントのホール・チャーチの例はあるのですか?
A:はい、フランスのストラスブールにある聖トマス教会は、アルザス地方で唯一のプロテスタントのホールチャーチ(大教会)です。
Q:堂内はどこから光が入るのですか?
A:身廊と側廊の柱の間にある窓から採光しています。
Q:大聖堂もすべてホール・チャーチとみなされるのですか?
A:いいえ、すべての大聖堂がホール・チャーチとは限りません。柱の上に窓があったり、身廊と廊の高さが異なるものもあります。