ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城(グレートウォール)とは:長さ100億光年の超構造物

ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城は宇宙で報告された中で最も巨大な超構造物の一つとして知られています。これは空に広がる一点の「領域」ではなく、遠方に存在する多数の銀河や銀河群がシート状・紐状に連なっていると解釈される現象です。

発見と観測方法

この構造は2013年に、遠方で発生したガンマ線バーストを空の地図にプロットした際に浮かび上がったと報告されました。観測には、1997年以降に稼働しているロボット衛星のSwiftやFermiなどが寄与し、1997年から2012年の観測データを用いて解析が行われました。解析の結果、14個のガンマ線バーストが非常に似た赤方偏移を示し、天空上で近接して分布していることが示されました。これが「ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城」と名付けられた由来です。

性質と規模

報告された代表的な数値は以下のとおりです。

  • 長さ(最長方向): 約100億光年
  • 幅(横方向): 約72億光年
  • 厚さ(短軸方向): 約10億光年

この構造は天空上ではヘラクレス座とコロナ・ボレアリス座の方向に位置しているため、その名前がつけられています。解析に用いられたガンマ線バーストは、質量の大きな星の終末に伴う非常に強力な爆発現象で、短時間に莫大なエネルギーを放出します(典型的なバーストは、太陽が10億年以上にわたって放出するエネルギーを、1秒の十分の一以下の時間で超えることがあります)。ガンマ線バーストは希少で、典型的な銀河系で数百万年に一度程度しか起きないため、それらを指標として使うと遠方の大質量星形成領域や銀河群の存在を間接的に探ることができます。

宇宙論への示唆と論争点

ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城が実在するならば、宇宙論における重要な議論を呼び起こします。特に「宇宙論的原理(大規模では宇宙は一様かつ等方的である)」との整合性が問題になります。標準的な宇宙論モデル(ΛCDM)では、十分大きなスケール、すなわち数百メガパーセク(数億〜十億光年)を超えるスケールでは物質分布は平均化され、一様性が成立すると期待されます。報告されたサイズがこの「一様性のスケール」を大きく超える場合、もし確実に実在するとすれば、宇宙の大規模構造形成の過程や統計的期待値の再検討を迫ります。

懸念点と代替説明

ただし、この発見には多くの注意点と反論があります。主な論点を整理します。

  • 統計的有意性の問題 — 使用したガンマ線バーストのサンプル数は限られており、偶然のクラスターや観測バイアスで説明できる可能性があります。
  • 選択効果と不完全な天空カバレッジ — SwiftやFermiなどの観測は全天均一に深く調べられているわけではなく、観測感度や遮蔽(天の川の視界など)による偏りが存在します。
  • ガンマ線バーストは直接の質量トレーサーではない — GRBは激しい星形成と関係するが、銀河やダークマターの総質量分布を直接表すものではないため、GRBの分布をそのまま物質分布に結び付けるのは慎重さが必要です。
  • 定義の曖昧さ — 「構造」と呼ぶ際の閾値や連結性の定義によって、同じデータでも構造の存在有無が変わることがあります。

他の大規模構造との比較

天文学では他にも非常に大きな構造が報告されています。たとえば、私たちの銀河である天の川銀河は直径約10万光年であり、太陽系近傍のスケールから比べるとヘラクレス長城は飛躍的に大きいことが分かります。また、以前に報告された超巨大構造としては、Huge-LQG(巨大大型クエーサー群)のように数十億光年級のものもあり、これらの発見は「大きな構造」の定義や観測手法が多様であることを示しています。

現在の見解と今後の展望

現時点では、ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城の存在は興味深い提案である一方、多くの宇宙論者は慎重な姿勢を取っています。決定的な結論を出すには、より多くのデータと独立した観測手法が必要です。今後の方針としては、

  • より多くのガンマ線バーストの赤方偏移測定を蓄積すること、
  • 同方向の銀河分布やクエーサー分布を徹底的に調べること、
  • 観測バイアスを含めた統計的検定を厳密に行うこと、
  • 次世代の大規模サーベイ(地上望遠鏡や宇宙望遠鏡)による確認、

などが重要です。これらにより「本当に質量が偏っているのか」「偶然なのか」「あるいは観測の偏りが原因か」を区別できるようになります。

まとめ

ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城は、報告されたスケールの大きさゆえに宇宙論的に注目を集める発見ですが、その実在性や宇宙論へのインパクトは現在も議論の対象です。観測技術の向上とデータの蓄積が進めば、宇宙の大規模構造と標準宇宙論モデルとの整合性について、より明確な結論が得られるでしょう。

MACS J0717.5+3745と名付けられた大質量銀河団で、ヘラクレス-コロナボレアリス万里の長城に似ている可能性があります。Zoom
MACS J0717.5+3745と名付けられた大質量銀河団で、ヘラクレス-コロナボレアリス万里の長城に似ている可能性があります。

質問と回答

Q:ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城とは何ですか?


A:ヘラクレス・コロナ星雲の長城は、宇宙で最も大きな超巨大構造物として知られています。長さ約100億光年、幅72億光年、厚さ約10億光年の巨大なシート状のパターンを形成する銀河の群れです。

Q:どのようにして発見されたのですか?


A: ヘラクレス・コロナ・ボレアリスの長城は、2013年11月にガンマ線バーストをマッピングすることで発見されました。これは遠くの大質量星が非常に明るく爆発する現象で、太陽が100億年の生涯で放出するエネルギーよりも多くのエネルギーを10分の1秒以下で放出します。ガンマ線バーストは非常に稀ですが、その方向に銀河や大きな物質の集団があるかどうかを追跡するのに利用されます。1997年から2012年にかけて、ロボット衛星「スイフト」と「フェルミ」を使ってガンマ線バーストを観測したところ、14個のガンマ線バーストが非常によく似た赤方偏移を示し、互いに接近していたことから、その領域に大きな銀河や物質が集まっていることが分かりました。

Q: この構造は、他の構造と比べてどうなのでしょうか?


A: これまでの最大の構造である巨大クエーサー群は40億光年で、天の川銀河は20万光年、アンドロメダ銀河は250万光年しか離れていない。しかし、この構造は長さが100億光年もあり、他のどの構造よりも8倍も大きいのです。

Q: どのような理論と矛盾するのでしょうか?


A: 今回の発見は、アインシュタインの宇宙原理に矛盾しています。

Q: なぜその存在が謎なのでしょうか?


A: 宇宙が始まった138億年前にその光が私たちに近づき始めたときに比べ、100億光年という大きさからすると、その形成にはもっと時間がかかるはずなので、38億年の間に形成されたことが、その存在を謎のままにしています。

Q: この驚くべき宇宙構造のために、ビッグバンが誤りであることが証明されるかもしれないとは、どのような考えでしょうか?


A: 宇宙が始まった138億年前にその光が私たちに近づき始めたときと比べると、その大きさからすると形成にもっと時間がかかるはずなので、38億年以内に形成されたので、この驚くべき宇宙構造の結果としてビッグバンが誤りであることが証明されるかもしれないと提案する人がいます。

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