インド音楽とは、長い年月をかけてインド亜大陸全域で発展してきた、幅広く多様な音楽実践の総称である。これは単一の様式ではなく、地域ごとの諸体系、古典的系譜、そして活気ある民俗音楽や大衆音楽を含む集合体である。北インドのヒンドゥスターニー音楽と南インドのカルナーティック音楽という二つの主要な古典流派は、いくつかの理論的な考え方を共有しつつも、レパートリー、演奏慣習、歴史的影響において異なる。さらにこの語は、古典的要素を取り入れたり変形したりする多くの民俗様式、信仰に根ざした歌唱、現代の लोकप्रिय音楽も含む。出身地の背景については インド を参照。
音楽の基本概念
インドの音楽伝統全体には、作曲、教授、演奏のあり方を形づくるいくつかの共通概念が繰り返し現れる。代表的なものは次のとおりである。
- ラーガ — 音の選択、典型的な旋律句、特徴的な装飾法を定める旋律の枠組み。ラーガは気分、時刻、季節、儀礼的文脈と結び付けられ、ひとつの固定された旋律を与えるのではなく、即興の方向を示す。
- ターラ — リズムを構成する循環的な拍のパターン。ターラは長さや細分の仕方がさまざまで、演奏者は周期の最初の拍を示し、手の動きや拍手で区切りを明示する。
- ドローン — ふつう主音である持続音で、絶えず続く音響的な基準点を与える。伝統的にはタンプーラで作られ、調律とラーガの主音中心を強調する。
- 即興 — 演奏の中心に位置づけられ、即興はその場での作曲として扱われる。音楽家は、伴奏者やリズム周期とやり取りしながら、規則の範囲内でラーガを展開し変化させる。
一般的な演奏構成
多くのヒンドゥスターニー音楽の演奏形式では、演奏はゆったりとした自由な探究から始まり、次第にリズムを伴う部分や作曲された部分へと進む。典型的な段階は次のとおりである。
- アーラープ — 拍のないゆっくりした導入部で、ラーガとその基本的な旋律句を提示する。
- ジョール — 打楽器を伴わないまま、拍の感覚とより大きな運動感を導入する橋渡しの部分。
- ジャーラー — 速く、リズム的に強い部分で、弦や音の打ち出し方が打楽器的に表れ、旋律と対比をなす。
- ガット/バンディシュ — ターラに合わせた固定された作曲部分で、タブラと旋律的な支えを伴う。ここでは、作曲された枠組みの中で即興が行われる。
楽器とアンサンブルでの役割
編成は地域やジャンルによって異なる。一般的な古典楽器には、シタールやタンプーラのような撥弦楽器、サーランギーやヴァイオリンのような擦弦楽器、シェーナイのような管楽器、そしてタブラやムリダンガムを中心とする打楽器群がある。カルナーティック音楽では、ヴァイオリンとムリダンガムがしばしば中心的な伴奏役を担う一方、ヒンドゥスターニー音楽ではタブラやサロード、シタールが目立つことが多い。民俗アンサンブルでは、共同体の儀礼や祝祭に合わせた地域固有の楽器と歌唱法が用いられる。
歴史、背景、現代の営み
現在ヒンドゥスターニー音楽とカルナーティック音楽と呼ばれる諸体系は、先住的な発展と異文化接触が混じり合う形で、何世紀にもわたって形成された。宮廷の庇護、宗教 संस्थ関、そして遍歴する師弟関係(グル・シシャー)によって、訓練法とレパートリーは形づくられてきた。現代に入ると、録音技術、ラジオ、映画、そして国際的な交流がインド音楽の諸形態を広め、変化させてきた。その結果、古典的実践との連続性を保ちながら、融合、民俗伝統の再興、新しい大衆ジャンルが生まれている。
用途、相違点、注目すべき点
インド音楽は、信仰に基づく礼拝、宮廷や儀礼の演奏、娯楽、個人的学習など、多くの社会的機能を担う。特に注目すべき相違点としては、ラーガに基づく即興と西洋の調性和声との概念上の違い、拍節ではなく循環的なリズムが中心であること、そして長い徒弟修業を重視する教育法がある。聴き手は、演奏を形づくる知的な規則と、その中で生み出される表現の自発性の両方を楽しむことが多い。
インド音楽を初めて学ぶ人にとっては、実演や丁寧に記録された録音を聴き、確立した教師や機関による解説を読むことで、この音楽伝統に独特の性格を与えるラーガ、ターラ、即興の相互作用が理解しやすくなる。