イソノエ(木星XXVI衛星)—発見・軌道・特徴|カルメ群に属する不規則衛星
イソノエ—木星の小さな不規則逆行衛星。2010年発見、直径約3.8km、カルメ群所属。独特な軌道と起源、観測データでその謎に迫る。
イソノエ(木星第二十六番)は、木星の非球形の小衛星である。発見は2000年で、スコット・S・シェパード率いるハワイ大学の観測チームによって撮影された画像データから同定され、暫定的に「S/2000 J 6」と命名されました。発見後の軌道解析が進められ、2002年に固有名「イソノエ」として国際天文学連合(IAU)により正式に命名されました。
軌道と物理的特徴
イソノエは直径が約3.8kmと推定される非常に小さな衛星で、木星の周りを逆行(公転方向が木星の自転方向と逆)する軌道を持ちます。主要な軌道要素は以下のとおりです。
- 平均距離(半長径): 約23,833,000 km
- 公転周期: 約751.647日
- 軌道傾斜角: 黄道面に対して約166°(木星赤道に対して約169°)
- 軌道離心率: 約0.166
これらの値は観測と軌道計算によって精度が向上してきましたが、小さく暗い天体であるため観測誤差や長期的な摂動の影響は無視できません。物理的性質(形状・自転周期・表面組成など)は十分に分かっておらず、不規則な形状をしていると考えられています。サイズの推定は一般に暗い反射率(アルベド)を仮定して行われます。
命名の由来
名前はギリシャ神話のダナイデの一人、イソノエに由来します。神話では彼女はゼウス(ローマ名:木星)の恋人の一人とされ、この命名は木星の衛星にしばしば用いられる伝統に従っています。
カルメ群との関係と起源
イソノエは、木星から約23,000,000〜24,000,000 kmの距離、傾斜角がおおむね約165°で逆行する小天体群であるカルメ群に属します。カルメ群の衛星群は軌道要素が類似していることから、もともと一つの親天体(捕獲された小惑星や破砕した天体)からの破片である可能性が高いと考えられています。群全体は一般に暗く、赤みを帯びたスペクトル特性を示す天体が多く、表面は古くかつ炭質化した物質が多いと推定されています。
観測と研究の現状
イソノエのような小さな不規則衛星は見かけの光度が非常に暗いため、発見や追跡には大型望遠鏡と長期間の観測が必要です。発見以降も位置観測が続けられ、軌道要素の改良や長期運動の解析が行われていますが、表面組成や自転周期などの詳細な物理的情報はまだ限られています。将来的な分光観測や高性能望遠鏡による撮像が進めば、起源や表面の性質についてより明確な知見が得られるでしょう。
まとめると、イソノエはカルメ群に属する小さくて暗い逆行衛星で、捕獲とその後の破砕によって形成されたと考えられるグループの一員です。観測は難しいものの、軌道要素は比較的よく把握されており、今後の観測で物理的性質の解明が期待されています。
質問と回答
Q: イソノエとは何ですか?
A:イソノエは木星の非球面月です。
Q:イソノエは誰が発見したのですか?
A: スコット・S・シェパード率いるハワイ大学の天文学者チームによって発見されました。
Q: イソノエはいつ発見されたのですか?
A: 2000年に発見されました。
Q: 木星を周回する平均距離はどのくらいですか?
A: 平均23,833,000kmの距離で木星の周りを回っています。
Q: イソノエはどのグループに属しているのですか?
A: 2300万kmから2400万kmの距離と165°の傾きで木星の周りを回る非球状の逆行衛星で構成される「カルメ」グループに属しています。
Q:イソノエの名前の由来は?
A: 2002年10月、ギリシャ神話に登場するダナイデスの一人で、ゼウス(木星)の恋人であったイソノエにちなんで、イソノエと名づけられました。
Q: イソノエの軌道離心率を教えてください。
A: イソノエの軌道離心率は0.166です。
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