J.ポール・ゲッティ・トラストは、世界の美術機関の中で最も多くの資金を保有しています。2009年4月現在、42億USドルを所有しています。信託の事務所はカリフォルニア州ロサンゼルスにある。J.ポール・ゲッティ美術館は、ロサンゼルスのゲティセンターと、パシフィック・パリセーズ地区のゲティヴィラの2カ所で運営されています。その他、ゲッティ財団ゲッティ・リサーチ・インスティチュートゲッティ・コンサベーション・インスティチュートがあります。

この信託は創設者であるJ.ポール・ゲッティ(石油事業家であり熱心な美術収集家)の遺産と収集を基盤に成長し、美術品の収集・展示・研究・保存・助成を総合的に行う世界的機関となっています。収蔵品は絵画、彫刻、古典美術、写真、家具、装飾美術など多岐にわたり、とくにヨーロッパ絵画や古代地中海世界に関するコレクションが知られています。

美術館:ゲティセンターとゲティヴィラ

ゲティセンターは建築と展示が評価される複合施設で、広範な西洋美術コレクションを展示するとともに、展覧会や教育プログラムを行っています。敷地からはロサンゼルスの景観が望め、庭園や屋外彫刻も見どころです。ゲティヴィラは古代ギリシャ・ローマを中心とする古典美術の専門館で、ローマの別荘を模した建築と庭園のなかでコレクションが展示されています。

両館ともギャラリーの入場は基本的に無料ですが、ゲティセンターは駐車料金がかかる場合があります。来館者数は年間おおむね数十万〜130万人程度(時期により変動)で、米国内でも来館者の多い美術館の一つです。

研究と保存

ゲッティ・リサーチ・インスティチュートは、美術史研究の拠点として図書館、アーカイブ、研究員プログラム、公開シンポジウムや展覧会を運営しています。客員研究員制度や出版プログラムにより、新しい学術研究やカタログ、論考が継続的に発信されています。

ゲッティ・コンサベーション・インスティチュートは保存科学と保存実務の分野で国際的なリーダー的存在です。博物館・遺跡・建築・美術作品の保存に関する研究、現場でのプロジェクト、専門職の研修、技術ガイドラインの作成などを行い、世界各地の保存事業に技術支援を提供しています。

助成・教育・デジタル資源

ゲッティ財団(Getty Foundation)は、博物館や研究機関、大学、保存プロジェクトなどへの助成や共同プロジェクトの支援を行っています。助成は建築保存、専門職育成、学術研究、展示制作など多岐にわたります。また、ゲッティはデジタル人名・用語集(Art & Architecture Thesaurus、Union List of Artist Names など)や、出所情報(Provenance Index)といった研究用データベースを整備・公開し、世界中の研究者や博物館で幅広く利用されています。

財政と課題

前述のように信託は多額の資金を持ち、その運用益で多くの事業を支えていますが、投資環境の変化により時折運営方針や助成の規模を見直す必要が生じます。2008年の世界的金融危機以降は収益の低下に対応して一時的に活動の縮小や調整を行った時期があり、以後は資産運用と事業のバランスを保ちながら復元・拡充を図ってきました。

アクセスと来館者への情報

ゲッティ美術館は地域住民や観光客に幅広く開かれており、教育プログラムや家族向けのイベントも充実しています。来館前に公式サイトで開館情報や特別展、駐車・入場に関する最新情報を確認することをおすすめします(特に混雑期や特別展開催時)。

総じて、J.ポール・ゲッティ・トラストは美術の収集と公開だけでなく、学術研究、保存技術の開発、国際的な助成と協働を通じて文化遺産の保全と知識普及に大きな役割を果たしている世界的機関です。