ジェーン・オースティンの作品が好きな人には、ジェーン・オースティンという言葉が使われてきました。しかし、この語は必ずしも肯定的に使われるとは限りません。学術的にはクラウディア・ジョンソンによって、ジェーンイット主義(Janeitism)は「『ジェーン』とそれに関連した(ジェーンについての)あらゆる細部に対する自意識的な偶像崇拝的な熱狂(愛)」であると定義され、ある種の過度の崇拝や感傷的な愛着を指す語として論じられてきました。

起源と初期の広がり

今日よく用いられるジェーンに関する熱狂の歴史は、1870年にJ.E.オースティン・リー(J. E. Austen-Leigh)が刊行した『A Memoir of Jane Austen』に遡ります。この回想録の出版により、ジェーン・オースティンという個人像が広く知られるようになり、読者の関心と親しみが大きく高まりました。こうした人気の高まりは、当時の文学エリートをや評論家を不安にさせ、オースティン受容を「大衆」と区別したいという動きも生み出しました。

「Janeite」という語を初めて使ったのは、文学者ジョージ・セインツベリーで、1894年の新版『高慢と偏見』の紹介文の中に登場します。学者のデイドレ・リンチは、このときセインツベリーが「自分が喜び勇んで(勝利して、幸せに)ピンを押せる名誉のバッジを装備することを意味していた」と説明しています。こうしてジェーン愛好は一種の〈身分表明〉や文学的アイデンティティの表れにもなりました。

20世紀初頭から中葉までの変化

20世紀初頭には、ジェーンティズムは「主に(ほとんどが)出版社、教授、文学者の間で共有された男性の熱狂的なもの」と見なされることが多く、学術界や出版界によって支えられる面がありました。ラドヤード・キップリングは、オースティンの小説のファンだった第一次世界大戦の兵士たちのグループを描いた「ジェーンイット」という短編小説まで書き、当時の広がりを反映しています。

しかし1930年代から1940年代にかけて、オースティンの作品が学校教育や学問の正課に組み込まれていくと、言葉の使われ方には変化が生じました。学問的な正統性が高まる一方で、作品の読み方に対する評価軸も多様化し、「正しい」読み方と「間違った」読み方という区別が強調されるようになりました。その結果、「ジェーンイット/ジェーン主義」は時に軽蔑や嘲笑を込めて、感傷的・商業的・表面的な愛好を指す語として使われることが増えたのです。リンチは、この語が「......他のについて、また他の人に対しても使われるようになった」と指摘しています。

現代における意味と受容

今日では「Janeite」や「ジェーン主義」は文脈により肯定的にも否定的にも用いられます。ファン同士では誇りをもって自称することがあり、ファン活動(読書会、映画・ドラマ化作品の視聴、ファンフィクションや同人創作、コスプレやイベントなど)が活発です。一方、学術的・批評的な文脈では、作品の歴史的・社会的文脈を無視して単にロマンティックな要素や「かわいらしさ」だけを消費する読み方を軽視するためのラベルとして使われることがあります。

まとめると、ジェーンイット(ジェーンイティズム)は単に「ジェーン・オースティンのファンであること」を表すだけでなく、時代や話者によって「尊敬や誇りの表明」から「過度の崇拝・誤った読み方への批判」まで幅広い意味を含む言葉です。オースティン研究と読者文化の変遷を反映する用語として、今なお議論と再評価の対象になっています。