カーリー(カリ)とは|ヒンドゥー教の破壊・創造・時間を司る女神

カーリー(カリ)—破壊と創造、時間を司るヒンドゥーの強力な女神。シヴァの妃としての姿やタントラ・ブラフマン信仰での役割をわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

カリはヒンズー教の女神の一人で、ドゥルガーの一側面とされる破壊と創造、時間(カル)を司る女神です。一般には暗色の肌と舌を突き出した凄まじい容貌で表現され、破壊的・猛威的な側面が強調されますが、同時に「母(マ)」としての慈悲深い側面や、宇宙の根源的実在(ブラフマン、あるいはシャクティ=力そのもの)として崇拝される側面もあります。カリはしばしばシヴァ神の妃(パールヴァティ/サティの化身)とみなされ、シヴァの体の上に立つ姿が有名です。Durga、Bhadrakali、Sati、Rudrani、Parvati、Chamundaなど多くの女神と結び付けられ、ダシャ・マハーヴィディヤ(タントラにおける10の女神)の中でも中心的な存在とされています。

名前と起源

カリ(サンスクリット: Kālī)は「kāla(時・死・黒)」に由来し、時間と破壊の側面を象徴します。主にシャクティ派(女神崇拝、タントラ的伝統)やタントラ文献・民間信仰の中で発展してきました。ヴェーダ的神話よりも後代のプラーナ文献やタントラ文献、民間伝承において特に強く描かれます。

象徴と図像

  • 肌の色は黒または濃藍色で、宇宙の暗闇・根源的実在を示す。
  • 舌を突き出した姿は有名で、しばしば血や戦いの跡が描かれる。
  • 首には人間の頭蓋骨や首飾り(ムカータラー)、腰には腕の帯(ムクターラ)を着けることが多い。
  • 複数の腕を持ち、剣、槍、頭部の切断などの凶器や手根(救済を表す)を持つ。
  • しばしばシヴァの上に立つ。これは彼女の猛威を制するためにシヴァが身を挺したという神話に由来する。

主な神話

代表的なエピソードに、悪魔ラクト・ビージャ(Raktabīja)を討つ話があります。ラクト・ビージャは体から滴る血が地面に落ちるたびに同じ悪魔が再生する能力を持っており、通常の戦法では倒せません。カリはその血を飲み尽くすことで再生を防ぎ、最終的に勝利を収めます。このような伝承はカリの破壊的・浄化的な力を象徴します。

また、ドゥルガー戦争で暴走するカリを制止するために、シヴァがカリの前に横たわり彼女が足を踏み外すとハッとして舌を出すというエピソードは有名で、そこからシヴァとの関係性や彼女の「自我と凶暴性を越えた覚醒」を示す象徴が語られます。

宗教的・哲学的意味

シャクティ派やタントリズムでは、カリは単なる破壊の女神ではなく、時間(あらゆる現象を滅ぼし変化させる力)そのもの、あるいは宇宙を動かす根源的エネルギー(シャクティ)として理解されます。高次の哲学的文脈では、個別的存在(小我)を破壊して究極的な実在(ブラフマン)と合一させる母的な力とも解されます。

崇拝と儀礼(プージャ)

  • タントラ的実践では、マントラ、ヤントラ、密儀(グラント)を用いた修行や、ヒトの変容を目的とする瞑想・修行法が行われる。
  • 伝統的には生贄(動物犠牲)を行う地域もありましたが、現代では多くが象徴的な供物や菜食的な捧げ物に替わっている。
  • ケーカルの主な祝祭にはベンガルや東インドで行われる「カリ・プージャ」(ディーパーヴァリー期に近い時期)や、地域ごとの祭礼がある。

主要な聖地と文化的影響

  • コルカタのKalighatや、ダクシネーシュワル(Dakshineswar)寺院など、カリ信仰の著名な寺院がある。ラーマクリシュナ(Sri Ramakrishna)はカリ崇拝で知られる。
  • 彫刻、絵画、ダンス、演劇、近現代文学や映画など、インド文化全般にわたり強い影響を与えている。
  • 現代ではフェミニズムや精神分析、比較宗教学の文脈で再解釈されることも多い。

バリエーションと別名

カリは地域や文献により多様な呼び名・形態を持ちます。代表的な別名にはカリー(Kālī)カリーカー(Kālikā)バドラカリ(Bhadrakali)チャムンダ(Chamunda)などがあり、それぞれ着目する性格や伝承が異なります。

まとめ

カリは恐ろしくも崇高な二面性を備えた女神です。破壊して終わらせる力としての面と、終わりを通じて新たな生命や覚醒をもたらす母なる力としての面が同居しています。宗教的にはシャクティ的実在やタントラ的修行の中心に位置し、地域的な祭礼や文化表現を通じて今日でも広く信仰・再解釈が続いています。

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マハカリ

"カリ "の語源

カーリーという名前は、カーラ(黒い、時間、死、死の主、シヴァ神の意味)に由来する。Kālīはkāla(「黒い、暗い色」)の女性語です。Kālaは主に "黒 "を意味しますが、"時間 "という意味もあります。Kālīは "黒いもの "という意味の他に、"時間"、"時間を超えた"、"時間の力 "という意味もあります。シヴァがKāla - 永遠の時間と呼ばれているので、その妃であるKālīは「時間」または「時間の支配者」という意味も持っています。それゆえ、カーリーは時間と変化の女神と考えられています。カーラーラートリ(「黒い夜」)、カーリカー(「時間に関する」)、バドラカーリー(「カーリーの穏やかな姿」)など、多くの呼び名があります。



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