ミセヌム(ミセノ)— ナポリ湾の歴史的港町|ピシーナ・ミラビリスと火山地形

ミセヌム(ミセノ)—ナポリ湾の歴史的港町を徹底解説。ローマのピシーナ・ミラビリス、フレグラア原野の火山地形・クレーター湖、ビーチの魅力を案内。

著者: Leandro Alegsa

ミセヌム(ミセノ)は、現在の姿では小さな港町で、イタリアBacoli自治体の一部を成しています。位置はナポリの北西、ナポリ湾の入口に近い岬にあり、古代から戦略的に重要な場所でした。もともとはクマエ(Cumae)の支配下にあった集落で、紀元前214年にハンニバルによって荒廃した記録が残ります。その後ローマ時代には海軍の重要拠点となり、町は軍事・補給の中心として発展しました。

ローマ時代と海軍拠点(Classis Misenensis)

ミセヌムは古代ローマの艦隊、Classis Misenensis(ミセヌム艦隊)の本拠地として知られていました。ローマ帝政期には艦隊の補給・造船・停泊のための施設が整備され、周辺には兵舎や倉庫、監視所などが置かれました。神話的にはヴェルギリウスの『アエネーイス』にも登場する地名で、古代文学や歴史資料にも繰り返し現れます。

ピシーナ・ミラビリス(Piscina Mirabilis)

ミセノで最も有名な遺跡が、ローマ人が艦隊支援のために築いた巨大な貯水池、ピシーナ・ミラビリスです。地上からは見えにくい地下構造のこの貯水池は、直方体に近い長方形で、外形は約70m×30mとされます。内部は列柱やアーチで支えられた大空間になっており、雨水や湧水を集めて飲料水や艦隊の補給に使うために設計されました。建築はローマの土木技術の優れた例で、保存状態がよく、現在は見学可能な史跡として公開されています。

地形と火山活動

ミセヌム周辺の現代的な地形は、低い丘陵とクレーター湖(カルデラ状の凹地に溜まった湖)を特徴とします。これはフレグレイ(Campi Flegrei)に代表される地域の火山活動の影響によるもので、過去の噴火や地殻変動で形成された地形が現在まで残っています。近隣にはアヴェルノ湖(Lago d'Averno)やルクリーノ湖(Lago Lucrino)などの火山性の湖沼や温泉地があり、地質学的にも興味深い地域です。

現代のミセノ――観光と保全

今日のミセノは美しい海岸線とビーチで訪れる人が多く、歴史的遺跡と自然景観が共存する観光地になっています。ピシーナ・ミラビリスをはじめ、周辺のローマ遺跡やバイエ(Baiae)などの考古遺跡群とあわせて見学することで、古代ローマの海洋活動や生活の一端をうかがい知ることができます。地域の保存・修復活動も進められており、訪問時には遺跡の保護ルールに従うことが求められます。

参考として、ミセヌムは歴史・建築・地質学の交差点に位置する場所であり、短い滞在でも多面的な魅力を体験できる町です。

ローマ時代、船団を支えるために作られた貯水池「ピシーナ・ミラブリス」。この貯水池はミセヌムにあるZoom
ローマ時代、船団を支えるために作られた貯水池「ピシーナ・ミラブリス」。この貯水池はミセヌムにある



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