アトラスシーダー(Cedrus atlantica)解説 アトラス山脈原産の大型針葉樹の特徴と生態
アトラスシーダー(Cedrus atlantica)は、北アフリカのアトラス山脈に自生するセドラス属の針葉樹の大木である。若いうちは円錐形で、成木になるとより開いた形になる。高さは40mになる。樹皮は銀灰色で、深いひび割れがある。葉は長さ2.5cm、先が尖り、通常4面で、色は濃い緑から緑青である。雌の球果は長さ6-10cmの樽型で、若いうちは緑色だが、成熟すると褐色になる。
分布と生育環境
アトラスシーダーは主にモロッコとアルジェリアのアトラス山脈中・高標高帯に自生する。乾燥した地形や石灰岩地、比較的冷涼な気候を好み、標高およそ1,000〜2,200m付近に多く見られる。自然分布は限られており、局所的な森林群落としてまとまって存在する。
形態と成長特性
- 樹形:若木は円錐形だが、成長に伴い水平に広がる枝を多く出して開いた樹形になる。
- 大きさ:自然下では最大で高さ30〜40mに達するが、公園や庭園では一般に10〜20m程度に留まる場合が多い。
- 葉と球果:針葉は短く先が尖る。球果は樽形で、成熟すると鱗片が崩れて種子を放出する。
- 生長速度:中程度からやや早め。若木時の成長は比較的速いが、成木になると成長は鈍る。
園芸・栽培のポイント
- 日当たり:日当たりの良い場所を好む。半日陰でも育つが、葉色や形がやや劣ることがある。
- 土壌:排水の良い土壌を好む。水はけが悪いと根腐れを起こしやすい。pHは中性〜弱アルカリ性を嫌わないが、幅広く適応する。
- 耐寒・耐乾:耐寒性は比較的高く、-15〜-20°C程度まで耐える個体が多い。乾燥にも比較的強いが、若木期は適度な水分が必要。
- 剪定:基本的に整形は不要で自然樹形を尊重して育てるのがよい。枯れ枝や病害の出た枝のみ早めに切除する。
- 施肥:過剰な施肥は避け、特に高窒素肥料の多投は生育バランスを崩すため注意する。
繁殖方法
- 種子:種子播種が一般的。寒冷層積(冷温処理)を行うと発芽率が向上する場合がある。
- 挿し木・接ぎ木:半熟枝の挿し木で成功することもあるが、種子栽培より難易度が高く時間がかかる。園芸種(垂れ性など)は接ぎ木で維持されることが多い。
病害虫と管理
アトラスシーダーは比較的病害虫に強いが、以下の点に注意する必要がある。
- 過湿による根腐れ(Phytophthora等)や土壌病害
- カイガラムシ類やアブラムシ、ダニなどの吸汁害虫
- 風当たりの強い場所では枝折れや乾燥害が出やすい
対策としては良好な排水の確保、定期的な樹体観察、被害部位の早期除去、必要に応じた物理的防除や生物的防除を組み合わせることが有効である。
利用と園芸品種
庭園や街路樹、シンボルツリーとして人気があり、景観作物として単独植栽で存在感を示す。木材は耐久性が高く香りがあるためかつては建築材や香料(精油)に利用された例もある。代表的な園芸品種には青みがかった葉色が特徴の‘Glauca’(グラウカ)や、垂れ下がる枝を特徴とする栽培品種などがある。
保全と文化的意義
自然分布が限られることから、生息地の破壊や過剰伐採、放牧圧などによる影響が問題視されている地域もある。各地で植林や生息地保全の取り組みが行われており、地域固有の森林群落としての保全が重要である。
まとめ(ポイント)
- アトラス山脈原産の大型針葉樹で、若木は円錐形、成木は開いた樹形になる。
- 排水の良い場所と日当たりを好み、耐寒性と耐乾性を兼ね備えるが過湿に弱い。
- 園芸的にはシンボルツリーとして人気があり、葉色や樹形の異なる園芸品種が流通する。
- 自然分布は限定的で、保全対策や植林が進められている。


ベルギー、ドメーヌ・ドゥ・マリエモン、Cedrus atlantica
質問と回答
Q:アトラスシーダーとは何ですか?
A: アトラス杉はセドラス属の大きな針葉樹で、北アフリカのアトラス山脈が原産です。
Q:アトラスシーダーの若い頃の樹形は?
A:アトラスシーダーは若いうちは円錐形をしています。
Q:アトラスシーダーの背丈は?
A:アトラスシーダーは高さ40メートルまで成長します。
Q:アトラスシーダーの樹皮の色は?
A:アトラスシーダーの樹皮は銀灰色で、深いひび割れがあります。
Q:アトラスシーダーの葉の長さは?
A: 長さ2.5センチで、先がとがっています。
Q: アトラスシーダーの葉の色は?
A: アトラスシーダーの葉は、濃い緑から青緑色です。
Q:アトラスシーダーの雌の球果の大きさは?
A: アトラスシーダーの雌球果は、長さ6~10cmの樽型で、若いうちは緑色ですが、成熟すると褐色になります。