ニジェール・コンゴ語族とは?定義・特徴・主要言語と分布

ニジェール・コンゴ語族の定義・特徴、主要言語(スワヒリ・ヨルバ・イボ等)と分布を図解でわかりやすく解説。アフリカ言語の全体像を短時間で把握。

著者: Leandro Alegsa

ニジェール・コンゴ語族は世界の主要な語族の一つであり、地理的な広さ、話者の数、異なる言語の数においてアフリカ最大の語族です。サブサハラ・アフリカで最も広く話されている先住民族の言語の多くがこの語族に属します。話者数は母語話者と第二言語話者を合わせて数億人規模にのぼり、含まれる言語数はおおむね1,400〜1,600と推定されています。

定義と範囲

ニジェール・コンゴ語族は、伝統的に大きな下位群(例:アトランティック=コンゴ、マンデなど)に分けられます。中でもバントゥー語群(Bantu)は地理的に東アフリカ・南部アフリカへ広がった重要な分派で、数百の言語を含みます。一方で、語族内のいくつかの枝のまとまりや一部言語の帰属は研究者によって意見が分かれており、分類は今も更新されています。

主な特徴

  • 名詞クラス(名詞の「性」に相当する体系)をもつ言語が多く、名詞と形容詞・動詞の一致(同調)が見られます。ただし、マンデ語派など名詞クラスが失われたグループも存在します。
  • 声調(トーン)を持つ言語が一般的で、声調は意味区別や文法機能に重要です。
  • 語順は多くの言語でSVO(主語–動詞–目的語)が標準ですが、地域差や歴史的変化があります。
  • 動詞形態論は膠着的・屈折的な特徴を併せ持ち、接頭辞・接尾辞・語幹変化による豊富な屈折や動詞拡張(方向や相、他動化など)を示します。
  • 連続動詞構文(serial verb)、重複(reduplication)などの構文・形態手段が広く用いられます。

主要言語と分布

ニジェール・コンゴ語族は西アフリカから中央・東・南アフリカにまで広がっています。地域別には次のような傾向があります。

  • 西アフリカ:ヨルバ語やイボ語、フラ語(フラニ語)など。特に都市圏や国内での使用が広い言語が多い。例として、ネイティブスピーカーに広く話されているニジェール・コンゴ語系の言語には、ヨルバ語イボ語、フラ語、ショナ語が挙げられます。
  • 中央・南部・東部アフリカ:バントゥー語群が中心で、ショナ語やズールー語、ルワンダ語など多数の言語が含まれます。バントゥー諸語は地理的に最も広範に分布しています。
  • 東アフリカ:特に重要なのが、話者数と使用範囲の点で突出しているスワヒリ語です。スワヒリは多くの国で共通語(リンガフランカ)として機能し、第二言語話者も非常に多いことから、話者数で最も多いニジェール・コンゴ系言語とされています。

言語学的・歴史的には、バントゥー拡散(Bantu expansion)が西中部アフリカから東・南へ広がった主要な人口移動・言語拡散イベントとして注目されます。現代のニジェール・コンゴ語族研究は、比較言語学、歴史言語学、フィールドワークによる記述研究が進められており、分類の細部や語族内の関係は今後も更新される可能性があります。

ニジェール・コンゴ語のサブグループの局在と、そのファミリーの重要な単一言語を示した地図Zoom
ニジェール・コンゴ語のサブグループの局在と、そのファミリーの重要な単一言語を示した地図

ナイジェリア、カメルーン、ベナンの言語マップ。Zoom
ナイジェリア、カメルーン、ベナンの言語マップ。

ニジェール・コンゴ語族のサブグループと重要な単一言語。Zoom
ニジェール・コンゴ語族のサブグループと重要な単一言語。



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