ヌラーバー平野とは|無木の平原とオーストラリア最大の石灰岩地帯

ヌラーバー平野(ラテン語でnullus「ない」、arbor「木」)は、オーストラリア南部のグレートオーストラリアンバイトの海岸線にある平らで乾いた土地の地域である。

世界最大の石灰岩の塊で、面積は約20万平方キロメートルです。南オーストラリア州(SA)と西オーストラリア州(WA)の間にあり、最も広いところでは東西に約1,100キロメートルも広がっています。名前は、「木がない」という意味のラテン語に由来しています。

地理と特徴

ヌラーバー平野はほぼ平坦なカルスト(石灰岩の浸食による地形)地帯で、広大な石灰岩床が露出しています。表面は乾燥した草原や低木地帯で、樹木がほとんど育たないことから「無木の平原」と呼ばれます。南側の海岸はグレートオーストラリアンバイトに面しており、海食崖がそびえる場所もあります。

地質と洞窟

ヌラーバーは世界で最大級の石灰岩プラットフォームの一つで、長年の海洋堆積と石灰岩の溶食作用によって形成されました。地下には多数の洞窟や鍾乳洞があり、ヌラーバー洞窟群として知られる場所では石筍・石柱などの地形が見られます。カルスト地形のため陥没穴や地下水系も発達しており、地下生物相(洞窟生物)も存在します。

気候・生態系

気候は乾燥帯で年間降水量は少なく、夏は高温、冬は比較的涼しいです。植生は低木・塩生植物・乾燥地に適応した草本が中心で、典型的な「無木」景観を作り出します。陸上動物ではカンガルーやワラビー、エミューなどが見られ、海岸近くでは海鳥やアザラシ類が生息します。一方、外来種(ウサギ、キツネなど)の影響もあり、生態系保全上の課題となっています。

人間との関わり

この地域は人口密度が非常に低く、点在するロードハウス(給油・休憩施設)や小さなコミュニティが主な拠点です。ユーラル諸民族をはじめとする先住民が古くからこの地と関わってきました。交通面では、車で横断する主要道路(Eyre Highway)が有名で、鉄道(トランス・オーストラリア鉄道)も平野を横切ります。

観光と注意点

観光では長距離ドライブ、断崖の眺望、洞窟探検、野生動物観察が人気です。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 補給と装備:給油所や飲料水の間隔が長いため、燃料・水・食料を十分に準備してください。
  • 通信:携帯電話の電波はほとんど届かない区間があります。緊急時の備え(衛星電話やEPIRBなど)を考慮しましょう。
  • 天候:夏季の高温や急変する気象に注意。豪雨時には道路が通行不能になる場合があります。
  • 環境保全:洞窟や脆弱な生態系は保護が必要です。立ち入り禁止区域やルールは必ず守ってください。

保全と課題

ヌラーバー平野は独特の地形と生態系を持つため、保全の重要性が高い地域です。保護区や自然保護区が設定されている場所もありますが、外来種対策、鉱業や観光による影響、気候変動といった課題が残ります。訪問者や地元コミュニティ、行政が連携して持続可能な管理を進めることが求められます。

総じて、ヌラーバー平野はオーストラリア本土の中でも特異な景観と地質学的価値を持つ地域であり、地域理解と慎重な利用が必要な広大な自然地帯です。

ヌラーバーは海岸線に近い薄茶色の半円形のエリア、2002年Zoom
ヌラーバーは海岸線に近い薄茶色の半円形のエリア、2002年

内部から見たムラウィジニエ洞窟群。石灰岩の中を水が流れてできたカルスト地形である。ムラウィジニエとは「血まみれの手」という意味で、先住民がこの洞窟を利用し、洞窟の壁に黄土色の手の型紙を残していった。Zoom
内部から見たムラウィジニエ洞窟群。石灰岩の中を水が流れてできたカルスト地形である。ムラウィジニエとは「血まみれの手」という意味で、先住民がこの洞窟を利用し、洞窟の壁に黄土色の手の型紙を残していった。


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