O.ヘンリー(ウィリアム・S・ポーター)—巧妙などんでん返しの短編作家|生涯・代表作
O.ヘンリー(ウィリアム・S・ポーター)の生涯と代表作を詳解。巧妙などんでん返しとニューヨークの人間描写が光る短編の魅力を紹介。
O.ヘンリーは、アメリカの作家ウィリアム・シドニー・ポーター(1862年9月11日 - 1910年6月5日)のペンネームである。O・ヘンリーの短編小説は、巧妙なひねりの効いた結末でよく知られている。
O.ヘンリー(William Sydney Porter)、本名ウィリアム・シドニー・ポーター(1862年9月11日、米国ノースカロライナ州グリーンズボロ生まれ、1910年6月5日、ニューヨーク州ニューヨーク没)アメリカの短編小説家で、ありふれたもの、特にニューヨークの普通の人々の生活をロマンチックに描いた物語である。彼の物語は、ユーモアや辛辣さ、皮肉によって、偶然が人物に与える影響を表現し、しばしば驚きの結末を迎えるが、この仕掛けは彼の名前と同化し、その流行が過ぎると批判的な支持を失った。
生涯の概略
ウィリアム・S・ポーターはノースカロライナ州グリーンズボロで生まれ、若いころから薬局で働くなど実務的な仕事に就いていました。後にテキサス州オースティンで薬剤師や会計係、銀行員として働く傍ら地元の新聞に寄稿を始め、短編作家としての才能を伸ばしました。
しかし、1890年代に彼は銀行の資金に関する疑惑で告発され、1894年に中米のホンジュラスへ逃亡します。帰国後に逮捕・起訴され、有罪判決を受けてオハイオ州コロンバスの刑務所に服役しました。服役中に小説執筆に本腰を入れ、出所後はペンネーム「O.ヘンリー」で短編を多数発表し始めます。1902年頃にニューヨークへ移り、そこで数多くの名作を発表して人気作家となりました。
晩年は健康を損ない、1910年にニューヨークで死去。死因は肝硬変など飲酒に起因するものとされています。生涯で書いた短編は膨大で、およそ数百編におよぶとされ、現在も世界中で読まれ続けています。
作風と特徴
- どんでん返し(ツイスト):物語の最後に意外な結末や逆転が来る技法で知られ、「O.ヘンリー風のどんでん返し」は彼の代名詞になりました。
- 都市の日常の描写:特にニューヨークのごく普通の人々の生活、商人や下町の人々、小市民の喜怒哀楽を温かく、時に辛辣に描きます。
- ユーモアと皮肉:軽妙な語り口、諧謔的な比喩や短く効いたセンテンスで読者を引き込みます。
- 人情味と皮肉の併存:感動的な結末と同時に人間の弱さや社会の風刺を織り交ぜることが多いです。
- 筆名の由来:ペンネーム「O.ヘンリー」の由来には諸説あり、はっきりした理由は不明ですが、この名が「どんでん返し」を象徴するブランドになりました。
代表作と簡単な紹介
以下は代表的な短編とその内容の概略です(邦題・原題)。
- 「賢者の贈り物」 (The Gift of the Magi):貧しい夫婦が互いのために大切なものを売り、それぞれの贈り物が無意味になるが愛の深さを示す。よく学校でも紹介される感動作。
- 「最後の一葉」 (The Last Leaf):病に伏せる若い画家と、その回復のために絶望しないでほしいと願う周囲の努力を描く、友情と献身の物語。
- 「赤ん坊の身代金」 (The Ransom of Red Chief):誘拐した子どもが非常にやんちゃで、逆に誘拐犯側が困り果てるという滑稽な逆転劇。
- 「改心」/「改心した男」 (A Retrieved Reformation):脱獄者や前科者が更生して新しい生活を始めるが、思わぬ場面で過去との対決を迫られる物語。人間の変化と赦しを描く。
- 「警官とアンテム」 (The Cop and the Anthem):冬に暖を取るためにわざと罪を犯して刑務所に入ろうとする物乞いの滑稽さと皮肉を描いた短編。
これらの作品の多くは雑誌掲載後に短編集にまとめられ、有名な短編集に『The Four Million』(1906年)などがあります。O.ヘンリーは雑誌文化の中で活躍し、大衆に受け入れられる短編を多数発表しました。
評価と影響
O.ヘンリーは大衆性の高い作家として広く親しまれてきました。彼の「巧妙などんでん返し」は模倣され、のちの短編作家や脚本家に影響を与えました。一方で、結末を重視する作風が「手法に頼りすぎる」と批判されることもあり、文学的評価は賛否両論です。
彼の名を冠した文学賞「O. Henry賞」も設けられ、短編文学の伝統を顕彰する存在になっています(設立以降、短編作家の登竜門的意義を持つ賞となっています)。映画化や舞台化も多数あり、物語の普遍性が示されています。
参考・関連事項
- 服役経験が創作に影響を与えた点(囚人や下層生活の描写、社会への視点)
- 雑誌文化(当時の週刊誌や夕刊紙)との関係:多くの作品が当時の新聞・雑誌に掲載された
- 短編という形式への貢献:短く凝縮された物語構成、語りのテンポ感
O.ヘンリーの短編は、今なお読み継がれ、学校の教材や翻訳を通して世界中で親しまれています。巧みな仕掛けと人間味あふれる描写が、多くの読者にとっての魅力です。
代表的な物語には、次のようなものがある。
- 賢者の贈り物(The Gift of the Magi)
- 最後の一葉(The Last Leaf)
- 赤ん坊の身代金(The Ransom of Red Chief)
- 改心した男(A Retrieved Reformation)
- 警官とアンテム(The Cop and the Anthem)

O.ヘンリー(1910年頃
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