『Once Were Warriors』(1994) — マオリ一家の貧困と家庭内暴力を描くニュージーランド映画

『Once Were Warriors』(1994) — ニュージーランド映画の衝撃作。マオリ一家の貧困・アルコール依存・家庭内暴力を生々しく描き、社会問題を鋭く問いかける名作。

著者: Leandro Alegsa

Once Were Warriors』は、ニュージーランドの作家アラン・ダフの1990年のベストセラー処女作を基にした1994年のニュージーランドのドラマ映画である。都会に住むマオリ族の一家、ヘイクスが抱える貧困、アルコール依存症、家庭内暴力などの問題を、家長であるジェイクを中心に描いています。監督はリー・タマホリ、主演はレナ・オーウェン、テムエラ・モリソン、クリフ・カーティス。

あらすじ(概略)

物語は、都会の低所得地域で暮らすヘイクス家を軸に進みます。家長ジェイク・ヘイク(テムエラ・モリソン)は強い男らしさを誇示する一方でアルコール依存と暴力に溺れており、妻ベス(レナ・オーウェン)は家族を守ろうと必死に奮闘します。子どもたちは学校や社会で居場所を失い、逃避や反抗、時には犯罪や暴力に巻き込まれていきます。映画は、個人的な悲劇と家庭崩壊を通して、都市におけるマオリの苦境と伝統的な価値の喪失を描きます。

主なテーマと表現

  • 植民地化と文化の断絶:都市化したマオリ社会で伝統的な結びつきや文化が弱まり、アイデンティティの危機が生じる様子を描写しています。
  • 貧困と社会的排除:経済的困窮が家族の関係や将来の選択に与える影響をリアルに示します。
  • 家父長的暴力とジェンダー:家庭内暴力を正面から扱い、被害者の苦悩と周囲の無理解を問いかけます。
  • 映像表現:都市の荒涼とした風景、室内の密閉感、俳優の生々しい演技などで観客に強い感情的インパクトを与えます。

制作とスタッフ

原作はアラン・ダフの小説で、脚本はマオリの作家・脚本家リウィア・ブラウン(Riwia Brown)が手がけました。監督はリー・タマホリ、撮影監督や音楽などのチームは映画の雰囲気作りに貢献し、ロケは主にオークランド周辺で行われました。製作は比較的地元中心のインディペンデント色が強い形で進められ、俳優たちの熱演が作品の核となっています。

評価・反響・影響

公開後、本作はニュージーランド国内で大きな反響を呼び、興行的にも成功を収めました。国内外の映画祭でも注目され、俳優陣の演技は高く評価されました。一方で、作品が描くマオリの負の側面に対しては賛否両論があり、コミュニティ内部からは「ステレオタイプの固定化」や「貧困の見世物化」といった批判も出ました。とはいえ、本作は社会問題を可視化し、家庭内暴力や都市マオリの問題についてニュージーランド社会で幅広い議論を引き起こした点で重要な位置を占めています。

遺産と続編

本作はニュージーランド映画史における代表作の一つと見なされ、出演者たちの国際的なキャリアにとっても転機となりました。物語の続編として1999年に続編映画が製作され、ヘイクス家のその後を描いています。今日でも教育や社会福祉の現場、映画研究で取り上げられることが多く、強烈なテーマ性と表現力によって長く記憶される作品です。

観る者にとって決して快い作品ではありませんが、社会の痛みと個人の葛藤を真正面から描いた力作として、ニュージーランド映画の重要な一篇となっています。



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