酸素療法とは?定義・適応・投与方法をわかりやすく解説

酸素療法の定義・適応・投与方法を図解でわかりやすく解説。COPDや低酸素症への長期療法、鼻カニューレ・マスク・高気圧療法の使い分けと注意点まで。

著者: Leandro Alegsa

酸素療法とは、酸素ガス(O )を2患者に吸入させ、医療行為に利用することで、補助酸素とも呼ばれています低酸素症、一酸化炭素中毒、群発性頭痛などの病気に使用されることがあります。COPDや嚢胞性線維症など、血液中の酸素濃度が低下する病気に苦しむ人々に長期にわたって使用することができます。鼻カニューレ、フェイスマスク、高気圧室内など、いくつかの異なる方法で投与することができます。酸素濃度は、患者さんの健康を維持し、正常な細胞代謝を行うための呼吸に十分な高さである必要があります。

定義と目的

酸素療法は、体内に十分な酸素を供給して組織の低酸素状態を改善するための治療です。主な目的は以下の通りです。

  • 生命維持:重要臓器(脳、心臓など)への酸素供給を確保する。
  • 症状改善:息切れ、チアノーゼ、意識障害などの症状を軽減する。
  • 合併症予防:低酸素による臓器障害や二次的合併症を防ぐ。

適応(主な使用場面)

  • 動脈血酸素分圧(PaO2)や経皮的酸素飽和度(SpO2)が低下している急性・慢性の低酸素状態
  • 一酸化炭素中毒:高濃度酸素や高圧酸素療法が用いられる
  • 群発性頭痛(発作時の高流量酸素投与)
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性低酸素状態に対する長期在宅酸素療法(LTOT)
  • 肺炎、心不全、肺塞栓などの急性呼吸不全の補助

投与方法と主な装置

酸素は投与方法により、必要な酸素濃度(FiO2)や流量が変わります。代表的な方法は次の通りです。

  • 鼻カニューレ:低流量で日常的に用いられる。一般的に1〜6 L/分。軽度〜中等度低酸素に適する。長期療法にも使われる。
  • シンプルフェイスマスク:5〜10 L/分で酸素濃度を上げる。鼻カニューレより高めのFiO2を得たい場合に使用。
  • リザーバ付き(非リバリーザ)マスク:10〜15 L/分で高濃度(約60〜90%)の酸素を供給。重度低酸素や救急時に用いる。
  • ベンチュリーマスク:決められたFiO2を正確に供給できるため、COPDなどで過度の酸素投与を避けたい場合に有用。
  • 高流量鼻カニューレ(HFNC):加温加湿された高流量(最大60 L/分程度)で高濃度酸素を安定して供給し、呼吸仕事量を軽減する。
  • 非侵襲的陽圧換気(NIV:CPAP/BiPAP):酸素と加圧を併用し、呼吸不全の改善を図る(酸素単独ではないが併用されることが多い)。
  • 高気圧酸素療法(HBOT):密閉された高圧室で高濃度酸素を吸入する。難治性の一酸化炭素中毒や減圧症、壊死性軟部組織感染など特定の適応がある。
  • 在宅酸素:酸素濃縮器、ガスボンベ、液体酸素などがあり、長時間の在宅療法に用いる。

目標の酸素飽和度(SpO2)

  • 一般成人(急性期を除く):SpO2 94〜98%が目安(低い場合に酸素投与を検討)。
  • COPDやCO2貯留のリスクがある患者:SpO2 88〜92%(過度の酸素投与で高CO2血症を招くため低めに設定)。
  • 妊婦:より高め(例えば≥94%)を目標にすることが多い。
  • 小児・新生児:年齢や疾患に応じた別の目標範囲があるため、小児科のガイドラインに従う。

監視・評価と処方のポイント

  • 常時モニタリング:パルスオキシメータ(SpO2)で効果を確認し、必要に応じて動脈血ガス(ABG)を評価する。
  • 投与量は最小限に:必要な酸素飽和度を満たす最小の酸素流量・FiO2を使用する。
  • 長期療法の適応基準(例示):
    • 安静時PaO2 ≤55 mmHg、またはSpO2 ≤88%(診断や保険適応は国や機関で異なる)。
  • 急性期では臨床状態に応じて迅速に調整し、改善したら速やかに減量・中止を検討する。

危険性・副作用

  • 酸素中毒(酸素毒性):高濃度酸素を長時間投与すると肺障害や肺胞障害、酸化ストレスが生じることがある。
  • 高炭酸ガス血症(CO2貯留):慢性CO2貯留のあるCOPD患者では過度の酸素投与が呼吸駆動を低下させ、CO2が上昇して意識障害を招く可能性がある。
  • 無窮の火災リスク:酸素は燃焼を助長するため、患者や周囲の禁煙、電気機器の管理、火気の厳禁が必要。
  • 鼻・皮膚の乾燥や損傷:長期使用で鼻腔や耳介部の皮膚トラブルが起こることがある。加温加湿が有用。
  • 誤用・過剰投与:適応のない患者への不用意な酸素投与は有害になり得る(例:正常酸素飽和の患者に過剰投与することは避ける)。

在宅酸素療法(LTOT)のポイント

  • 適切な診断と処方が必要。医師が酸素投与の流量・時間(例:1日15時間以上)を決定する。
  • 機器の種類:酸素濃縮器(電気式)、ガスボンベ(携帯用)、液体酸素(高密度だが取扱いが難しい)など。
  • 患者教育:機器の使い方、清掃、電気・火気の安全、外出時の携行法などを指導する。
  • 定期検査:効果の確認や合併症チェック(血液検査、ABG、胸部X線など)を行う。

患者への指導と安全対策

  • 禁煙厳守:酸素下での喫煙は重大な火災事故につながるため厳禁。
  • 電気機器の管理:ヒーター、ストーブ、乾燥機など火気に注意。
  • 携行方法の確認:外出時の装置の持ち方や予備ボンベの準備。
  • 家庭での保守:フィルターやチューブの清掃方法、破損時の連絡先。
  • 症状が悪化したら医療機関へ:息切れ増悪、意識障害、胸痛などがあれば速やかに受診。

まとめ

酸素療法は多くの呼吸・循環疾患で有効な治療ですが、適応を見極め、目標の酸素飽和度に合わせて最小限の酸素を使うことが重要です。特にCOPDなどでは過剰投与が危険となるため、綿密なモニタリングと適切な処方、患者教育が不可欠です。緊急時や特殊な適応(例:一酸化炭素中毒、群発性頭痛、高気圧酸素療法)では、高濃度や特殊な装置が必要となるため、専門家の判断に従ってください。



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