パレルモとは シチリア州都の歴史と概要 観光・人口・気候ガイド
パレルモはイタリアの都市である。シチリア島の首都であり、最大の都市である。人口は72万人で、都市圏では100万人以上。暑い夏の地中海性気候である。フェニキアの植民地としてスタートした。その後、ローマ帝国(100年間はイスラム帝国)、ノルマン帝国となり、二シチリア王国の一部となった。イタリア統一後、パレルモは急速に発展した。1942年と1943年に大空襲を受けた。
概要
パレルモはシチリア島の北西部に位置し、歴史的・文化的に重要な港湾都市です。港からは地中海各地への交易や航路が発達してきました。市内には古い城塞や教会、宮殿が多く残り、建築様式はギリシャ、ローマ、アラブ、ノルマン、バロックなど多様な影響を受けています。
歴史の流れ(簡潔)
- 古代〜中世:紀元前にフェニキアの植民地として始まり、続いてギリシャやカルタゴ、ローマの支配を経験しました。中世にはビザンツ、イスラム(アラブ)支配を経てノルマンが征服し、12世紀にはシチリア王国の中心となりました。
- 中世後期〜近世:ホーエンシュタウフェン、アンジュー、アラゴン(スペイン)などの支配を受け、スペイン領、両シチリア王国(ブルボン朝)を経て近代化が進みました。
- 近代:1860年、ジュゼッペ・ガリバルディの南イタリア遠征によりイタリア統一の流れに組み込まれ、20世紀には都市化と工業化が進展しました。
- 第二次世界大戦:1942–43年に連合国・枢軸国双方の空襲や戦闘で被害を受け、1943年のシチリア島上陸作戦(オペレーション・ハスキー)で重要な戦略拠点となりました。
主な観光スポット
- パラティーナ礼拝堂(カポラーチェ):パレルモのノルマン宮殿内にある、モザイクが美しい礼拝堂。アラブ・ノルマン様式の代表。
- パレルモ大聖堂:多様な建築様式が重なった大聖堂。屋上へ登ると町や海の眺望が楽しめます。
- マッシモ劇場(Teatro Massimo):イタリア最大級のオペラ劇場の一つ。内部見学や公演が人気です。
- クアットロ・カンティ(四つの角):バロック様式の交差点で市の象徴的なスポット。
- ボッカール市場(Ballarò)、ヴッチリア(Vucciria)、カーポ市場:活気あるストリートマーケットで、地元の食材・ストリートフードを味わえます。
- カプチーニ地下墓地:保存状態の良いミイラ群で知られる独特の見どころ。
- モンデッロ海岸:市中心からアクセスしやすい白砂のビーチ。夏の海水浴に人気。
世界遺産
パレルモと近郊の「アラブ・ノルマン様式の建築群」はUNESCO世界遺産に登録されています。代表的な建造物としてノルマン王宮(パラティーナ礼拝堂)やモンレアーレ大聖堂などが含まれ、異文化が融合した独特の建築美が評価されています。
気候とベストシーズン
パレルモは典型的な地中海性気候で、夏は乾燥して暑く(7〜8月は30℃前後、時にそれ以上)、冬は温暖で雨が多いです。観光では気候的に快適な春(4〜6月)と秋(9〜10月)がおすすめです。夏は海には最適ですが、観光地は混雑します。
食文化(名物とストリートフード)
- アランチーニ(ライスコロッケ)
- カンノーリ(リコッタクリーム入りの菓子)
- スフィンチョーネ(シチリア式ピザ)
- パネッレ(ひよこ豆の揚げ物)や各種パスタ(パスタ・アッラ・ノルマなど)
- 市場のストリートフード(シーフード、焼き物、サンドイッチなど)は地元の味が手軽に楽しめます。
交通とアクセス
- 空港:Falcone–Borsellino(パレルモ空港)は市の西側に位置し、国内外への便がある主要空港です。
- 鉄道・バス:イタリア本土の主要都市やシチリア島内各地へ列車・長距離バスで接続します。市内は市バスやトラム、タクシーが利用可能です。
- 港:フェリーで隣接する島や本土の港へアクセスできます。
人口・経済・社会
市内人口は約72万人(都市圏では100万人超)で、行政・商業の中心です。観光業、商業、サービス業が経済の重要な柱であり、歴史的背景から港湾交易や農産物(オリーブ、シトラスなど)の流通も盛んです。近年は観光振興と都市再生に力を入れていますが、失業率の高さや経済格差といった課題も抱えています。
文化・祭り
最大の祭りは守護聖人サンタ・ロザリアを祝う「フェスティーノ(Festino di Santa Rosalia)」(毎年7月)で、パレードや宗教行列、花火などが行われます。音楽、演劇、映画祭など文化イベントも年間を通じて開催されます。
観光の注意点(実用的なヒント)
- 夏は暑いため帽子・日焼け止め・水分補給を心掛けてください。
- 観光地や市場でのスリに注意。貴重品は分散して持つと安全です。
- 公共交通は時刻が変わることがあるため、旅行前に最新情報を確認してください。
- 英語は観光業界で通じることが多いですが、イタリア語(またはシチリア方言)の簡単な挨拶を覚えておくと親切に受け取られます。
まとめ
パレルモは長い歴史と多様な文化が混ざり合う都市で、建築、美食、マーケット、海といった魅力が詰まっています。歴史を感じながら路地裏や市場を歩くことで、シチリアならではの生活や文化を体感できる場所です。

