パラアルペンスキーの分類とは?クラス一覧・歴史・ルール解説
パラアルペンスキーの分類・クラス一覧、歴史とルールをわかりやすく解説。視覚・立位・座位別の特徴・採点基準まで完全ガイド。
分類の目的と概要
パラアルペンスキーの分類(クラス分け)は、身体や視覚に障がいのある選手ができるだけ公平に競えるように設計された「競技者を同等条件に近づけるための制度」です。障がいの種類や程度によって有利不利が出るため、同じ能力レベルの選手同士が競えるよう、国際パラリンピック委員会(IPC)の傘下にあるWorld Para Alpine Skiing(旧 IPC Alpine Skiing)が分類基準と手続きを定めています。
主なカテゴリ(立位・座位・視覚障がい)
パラアルペンスキーの競技は大きく次の3つのカテゴリに分かれます。
- 立位(Standing):片脚または両脚、上肢に障がいがある選手が含まれます。義足や片側麻痺など、さまざまな機能レベルに応じてさらにクラス分け(LW1~LW9など)されます。
- 座位(Sitting):下半身に重度の障がいがあり、モノスキー(シットスキー)を使って競う選手のカテゴリ(LW10~LW12など)です。
- 視覚障がい(Visually Impaired):視覚に障がいがある選手で、視力や視野の程度に応じてB1、B2、B3というクラスに分かれます。視覚障がい選手は、ガイド(先導者)とペアを組んで滑走することが多く、選手とガイドはチームとして扱われます。
視覚障がいクラス(B1–B3)
視覚障がいのクラスは次のように分類されます(概略)。詳しい判定基準は視力・視野の計測データに基づきます。
B1:光の知覚がない、あるいは物の形を認識できないほど視力が低い選手。
B2:B1より視力があるが、日常生活で明瞭な視覚情報が得られない範囲の選手(重度の視力低下や狭い視野など)。
B3:視覚障がいの中では比較的視力が残っている選手(ただし競技に影響する程度の視力低下や視野欠損がある)。
視覚障がい選手はガイドとの無線や声でのやり取り、位置取りなどが不可欠です。B1はガイド必須の場合が多く、B2・B3も大会規定によりガイドを使うことがあります。なお、視覚障がいの選手はガイドと一緒にメダルが授与されることが一般的です。
脳性麻痺などの機能レベル(CPクラス)
脳性麻痺(CP)や協調運動障がいなどを持つアスリートは、かつてCP1~CP8などの細かいクラスで分類されることがありました。右の画像はCP5~CP8あたりの活動性の目安を示す図です(歩行やエリア移動が可能かどうか等)。これらのCPクラスは、現在のWorld ParaのLW(立位・座位)分類に統合・対応させて運用されることが多く、各競技団体での分類ガイドラインに従って割り当てられます。
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CP5級スキーヤーのエリア移動が可能
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CP5/CP6級スキーヤーのエリア移動が可能
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CP6/CP7級スキーヤーのエリア移動が可能
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CP7/CP8級スキーヤーのエリア移動が可能
歴史(簡潔)
最初のパラアルペンスキーの分類システムは1960年代にスカンジナビアで生まれ、当初は主に手足の欠損や切断のある選手向けに作られていました。1976年の第1回冬季パラリンピックでは、当時の分類に基づくグループ分けが導入されました。その後、1980年代には脳性麻痺の選手向けの分類や、車椅子競技など他競技の分類方式からの影響を受けた改定が進められ、クラスの数や運用方法が段階的に整理されてきました。
最終的には競技としての公平性と大会運営の実務性を両立させるため、類似する機能レベルをまとめて競わせる仕組み(複数クラスが混合される大会での補正=ファクター制度)が採用されています。
ルールと用具
パラアルペンスキーの大会ルールは、基本的に国際スキー連盟(FIS)の規則を基に、障がい特性に合わせた調整が加えられます。主なポイントは以下の通りです。
- 視覚障がい選手:ガイド(先導者)と連携して滑走。無線やヘッドセット、声掛けで進路やタイミングを合せる。ガイドは先行することが多く、選手とガイドは1チームとして扱われます。
- 座位の選手:モノスキー(シットスキー)を使用。ショック吸収や安定性のある専用フレームに座席が付いており、バランス確保のためにアウトリガー(小さなスキー付きの棒)を使います。モノスキーは競技用に最適化されています。
- 立位の選手:義足や補助具を使う選手、片側の上肢が制限される選手など、必要に応じて1本・2本のストックやアウトリガーを使います。大会によって使用可能な用具の範囲や安全基準が定められています。
分類の手続きとファクター(補正)制度
正式な分類の流れは一般に次のようになります。
- 医療評価(書類・診察):既往歴や診断書を確認。
- 機能評価(陸上での検査):筋力、関節可動域、協調性などを評価。
- 技術評価(実際のスキー観察):オンスノーでの滑走を見て、実戦での機能を確認。
- 仮分類・正式分類・再分類:大会後に観察結果に基づいて最終決定され、状況に応じて見直し(プロテスト・再評価)されます。
複数のクラスを同時に競わせる場合、単純なタイム勝負では不公平が生じるため「ファクター(係数)制度」が用いられます。各クラスに対してあらかじめ定められた係数を選手の実タイムに掛けることで「換算タイム」を算出し、異なるクラス同士で順位を決めます。係数は競技種目や大会ごとに見直されます。
参加資格と除外
このスポーツは身体的・視覚的な障がいを持つ競技者を対象としていますが、記事冒頭にもあるように、一般的に知的障がいのみを持つ競技者がアルペンスキーの国際大会(パラリンピック種目)に参加することは想定されていません(種目により扱いが異なる場合があるため、該当大会の規則を確認してください)。
補足と注意点
- 分類基準やクラス名称(LWやBなど)、係数、運用方法は時折改定されます。最新の詳細はWorld Para Alpine Skiingや各国のパラスポーツ連盟の公式情報を参照してください。
- 選手の分類は個別の評価を要する専門手続きです。自分や所属選手の分類を希望する場合は、所属団体や大会運営に相談して正式な分類セッションを受けてください。
- パラアルペンスキーは技術・戦術・機材調整が重要な競技です。安全面にも配慮した装備選択と練習が不可欠です。
参考
分類の歴史や運用、ルールのベースは本文中の関連団体や以下のリンク先の情報に基づきます(大会規則や最新の分類基準は各年・大会ごとに更新されます)。
日本から来たスキーヤーの森井大樹さんが座る
スロバキアからスキーをしている時に行き先を教えてくれる人と一緒に滑ることができないスキーヤー
立ったまま滑っていて足の一部がないカナダ出身のスキーヤー
質問と回答
Q:パラアルペンスキーのクラス分けとは何ですか?
A:パラアルペンスキーのオーダーシステムで、限られた身体能力を持つアルペンスキー選手同士が対等に戦えるように設計されています。
Q:パラアルペンスキーの最初のオーダーシステムを開発したのは誰ですか?
A:パラアルペンスキーのオーダーシステムは、1960年代にスカンジナビアで作られたのが最初です。
Q:初期のオーダーシステムの目的は何だったのか?
A:初期のオーダーシステムは、腕や脚を使うことを前提に作られていたが、結局は医療用のオーダーシステムになった。
Q:1976年の第1回冬季パラリンピックでは、いくつのグループが存在していたのか?
A:1976年の第1回冬季パラリンピックでは、競技のオーダーシステムで2つのグループがありました。
Q:その後、クラス分けの改善にはどのような取り組みがなされているのか?
A:1976年の第1回大会では、2つのグループに分かれていたが、その後、メダル獲得数が少なくなるように、クラス数を少なくすることで、より良い競技を行うための工夫がされている。
Q:目の不自由なスキーヤーが使うガイドとは?
A: ガイドは、目の不自由なスキーヤーが山を下りるのを助けるために使用されます。
Q: 座位スキーヤーはどうやって雪の上を素早く移動するのですか?
A 座位スキーヤーは、モノスキーと呼ばれる特殊なスキーを使って、雪の上を素早く移動します。
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