パリ国立オペラ座バレエ団とは:世界最古のバレエ団の歴史と特徴
世界最古の国立バレエ団・パリ国立オペラ座の設立から現代までの歴史、芸術性、ガルニエ宮での舞台魅力と特徴を詳解。
パリ・オペラ座バレエ団(フランス語:Ballet de l'Opéra de Paris)は、世界で最も古い国立バレエ団である。ヨーロッパをはじめ、世界の多くのバレエ団がその起源をたどることができる。1669年にオペラ座アカデミーとして設立されたパリ・オペラ座にとって、常に重要な役割を担っている。
パリ・オペラ座で演劇舞踊が重要な位置を占めるようになったのは、1673年のことである。その後、ジャン=バティスト・リュリの指導のもと、王立音楽院と改称された。パリ・オペラ座は長い歴史の中でさまざまな正式名称を持つが、1994年からはパリ国立オペラ座と呼ばれるようになった。現在、主にガルニエ宮でバレエを上演している。
歴史の概略
創設当初からパリ・オペラ座バレエ団は王家や宮廷文化と深く結びつき、ルイ14世時代には舞踏の体系化や舞台芸術の発展に大きな影響を与えた。17世紀から18世紀にかけてはバロック・オペラ・バレ(opéra-ballet)が発展し、舞踊家や振付師(バレエマスター)の役割が確立していった。18世紀以降も、クラシック・バレエの発展に伴い振付や教育の中心として機能し、19世紀には振付や演出により多くの名作が上演された。
組織と特徴
- 国立組織:国家の支援を受ける国立バレエ団として、長期的な育成と公演活動を行っている。
- 階級(ランク)制度:伝統的なフランス式のランク制度を持ち、典型的には以下のような階級がある。
- Quadrille(カドリーユ)
- Coryphée(コリフェ)
- Sujet(スジェ)
- Première danseuse / Premier danseur(プレミエール/プレミエ)
- Étoile(エトワール) — 最上位のプリンシパル・ダンサー
- 教育システム:École de danse de l'Opéra de Paris(パリ・オペラ座バレエ学校)をはじめとする一貫教育体制により、ジュニアからプロまでを育成している。多くの世界的ダンサーが同校出身である。
- フレンチ・バレエ・スタイル:技術や音楽性、表現の細やかさで知られる「フランス流」の伝統が根付いており、ポアントや足さばき、腕の位置などに特徴がある。
レパートリーと芸術性
レパートリーは古典的な全幕バレエから、ネオクラシック、現代振付家による新作まで幅広い。ピエール・ボーショーやジャン=コレなど歴史的振付師の影響に加え、ルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev)が芸術監督時代に導入したロシア・スタイルの演出や作品群、20世紀以降のジョージ・バランシン、ウィリアム・フォーサイス、ピナ・バウシュらの作品上演など、伝統と革新が共存している。
主な拠点と公演
- パレ・ガルニエ(ガルニエ宮):歴史的本拠地。壮麗な内装と音響で古典バレエやガラ公演が多く行われる。
- オペラ・バスティーユ(現代的舞台):大規模なオペラや現代的演出に対応する施設として使用されることがある。
- 国内外ツアー:パリ外や海外への巡演も盛んで、国際的な影響力を持つ。
教育と育成
パリ・オペラ座バレエ学校は若年層から高いレベルの技術と舞台経験を教育する場で、年に一度の入学試験は世界的にも有名で競争が激しい。学校と本団の連携により、将来のエトワール候補が体系的に育てられる。
著名な指導者・ダンサー
- ジャン=バティスト・リュリ(音楽と舞台運営の近代化に寄与)
- ルドルフ・ヌレエフ(旧ソ連出身のスターであり、芸術監督としてレパートリーを刷新)
- ブリジット・ルフェーヴル、ベンジャミン・ミルピエ、オレリー・デュポンなど、近年の芸術監督・ディレクターも新作導入や改革で注目を集めた
まとめ
パリ・オペラ座バレエ団は、古典的な伝統と革新的な振付・演出を兼ね備えた世界有数のバレエ団である。長い歴史の中で培われた教育制度、ランク制度、舞踊美学は今日のバレエ界に大きな影響を与え続けており、世界中のダンサーや振付家にとって重要な存在であり続けている。

パレ・ガルニエ
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