パステル(画材)とは|歴史・種類・技法・保存と描き方

パステルとは?歴史から種類・技法・保存法・描き方まで、初心者にも分かる実践ガイド。鮮やかな色彩表現を簡単に習得。

著者: Leandro Alegsa

パステルは、棒状のアートカラーです。純粋な粉末の顔料と、それをまとめる「バインダー」でできています。パステルはルネッサンス時代から芸術家によって使用されてきました。

パステルで使用される顔料は、絵画や版画など、あらゆる色彩表現に用いられるものと同じです。粉末顔料が主成分のため、仕上がりは顔料そのものに非常に近く、透明感や鮮やかさを直接的に表現できます。必要に応じてチョーク(白色充填剤)を加え、発色をトーンダウンさせたり、描き心地を変えたりすることもあります。

パステルを使った作品は「パステル画」「パステルドローイング」「パステルペインティング」などと呼ばれます。なお、色彩を表す言葉としての形容詞として「パステル」は、淡い、または柔らかい色合いを意味します。

歴史と代表的な画家

パステル技法は16世紀以降に広がり、18世紀には肖像画で特に人気を集めました。代表的なパステル画家には、ロザルバ・カリアリ(Rosalba Carriera)やモーリス=カンタン・ド・ラ・トゥール(Maurice Quentin de La Tour)がいます。19世紀にはエドガー・ドガやメアリー・カサットなど印象派の画家たちがパステルを積極的に用い、20世紀以降も多くの画家に好まれてきました。

主な種類

  • ソフトパステル(軟質):顔料量が多く、発色が強く柔らかい。重ね塗りやブレンディングがしやすいが、粉落ちしやすい。
  • ハードパステル(硬質):バインダーが多めで堅く、細かい線や細部描写に向く。
  • コンプレスト(固形圧縮パステル):顔料を圧縮して固めたタイプで発色が良く耐久性も高い。割れやすい。
  • パステル鉛筆:鉛筆状で精密な描線やディテールに便利。
  • オイルパステル:油性バインダーを使い、べたっとした質感で混色や塗り重ねが可能。水性パステルとは性質が異なる。
  • パンパステル:パレット状に固められた粉状パステルで、スポンジやパフで広くぼかすのに適している。

支持体(用紙・支持)

パステルは「歯(トーンを受け止める凹凸)」のある支持体と相性が良いです。代表的なもの:

  • パステル専用紙(Clairefontaine、Canson Mi-Teintes など)— テクスチャーのある表面で粉を保持する
  • サンドペーパー系(UArt、Sennelier La Carte など)— 顔料をしっかりと保持し、重ね塗りがしやすい
  • パステルボード(紙をボード化したもの)— 平滑性と耐久性がある
  • キャンバス(主にオイルパステル向け)— 油性のパステルには適するが、乾燥パステルは表面処理が必要

基本的な技法

  • ブロッキングイン(塗りつぶし):大まかな色の配置を大きく置いていく
  • レイヤリング(重ね塗り):薄い色から重ねて深みを出す。途中で軽く定着剤を噴くことがある
  • ブレンド(ぼかし):指、ティッシュ、トートワン(紙巻き)やスポンジでなじませる
  • スクラフィート(引っかき出す):ナイフや消しゴムで下層の色を部分的に除き、ハイライトや線を作る
  • ハッチング・クロスハッチ:線を重ねて色の混合感やテクスチャーを作る
  • ドライブラシ風:薄く粉をのせて柔らかい質感を表現

保存と保護

乾燥パステルは粉が定着しにくいため、保存と展示に配慮が必要です。

  • 仮止めと定着剤:ワークインプログレスでは軽く低濃度の可逆性定着剤(フィキサチーフ)をスプレーして粉の移動を抑える。強く噴くと色味が変わることがあるので注意。
  • 額装:ガラスまたはアクリルで密封し、作品とガラスの間にスペーサーやマットを入れて直接接触を避ける。UVカットガラスを使えば退色対策になる。
  • 保管:作品は平置きで、ガラスインターレイやグラスリン紙(グラシン紙)等で一枚ずつ挟んで保存する。湿気の多い場所は避ける。
  • 長期安定性:顔料自体の耐光性(耐侯性)が重要。アーカイバル品質の顔料・紙を選ぶことで長期保管に有利。

描き方(初心者向けステップ)

  1. 必要な道具を揃える:パステル数色(ソフトとハードを混ぜると便利)、パステル鉛筆、パステル紙、トートワン、消しゴム(練りゴム)、定着剤、布や手袋。
  2. 下描き(軽く)を鉛筆またはパステル鉛筆で描く。
  3. ブロッキングインで大きな色面を置く。遠景→中景→前景の順に進めると整理しやすい。
  4. 色を重ね、トーンと色調を整える。必要に応じて指や紙巻きでぼかす。
  5. 細部をハードパステルやパステル鉛筆で描き込む。エッジを調整してフォーカルポイントを明確にする。
  6. ハイライトは最後に強めに入れる。白や明るい色を少量ずつ重ねる。
  7. 完成後は軽く定着剤を噴き、額装の際はマットで保護する。

安全と取り扱い

  • パステルの粉は舞いやすいので、作業時は換気を良くし、敏感な人はマスクを着用する。
  • 一部の顔料(カドミウム、鉛など)は有害なものがあるため、口に入れない、作業後は手をよく洗うなど基本的な注意を守る。
  • 折れやすいので、パステルは専用ケースや仕切りのある箱で保存する。

まとめ

パステルは顔料の直接的で豊かな色表現が魅力の画材です。種類や支持体、技法を理解すれば、繊細なドローイングから鮮烈な色面表現まで幅広く使えます。保存と展示には特別な配慮が必要ですが、適切な定着と額装で長く美しい状態を保てます。まずは少数の色と良い紙から始め、レイヤーやブレンドの練習を重ねてください。



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