フォトレジスタ(光電池・光抵抗)とは?仕組み・材料・用途をやさしく解説
フォトレジスタ(光電池)の仕組み・材料・用途を図解でやさしく解説。動作原理や代表材料、実用例まで初心者でも理解できる入門ガイド。
フォトレジスタ(光抵抗、英: LDR)は、光を当てると電気伝導度が変化する電子部品です。写真では、赤くなっている部分に電気が流れています。光が強く当たると抵抗が下がり(=より多くの電気が流れ)、暗いところでは抵抗が高くなりほとんど電流が流れません。歴史的にはセレンで作られたこともありますが、現在はさまざまな化学物質や半導体材料が使われています。
仕組み(かんたんな説明)
フォトレジスタは光を受けると導電性が変わる半導体の性質(光導電性)を利用しています。光が当たると、半導体中の電子が光子のエネルギーで励起され、価電子帯から伝導帯へ移動して電子と正孔(ホール)の対が増えます。これにより自由に動ける荷電キャリアが増え、材料の抵抗が下がります。逆に光が当たらないとこれらのキャリアは少なくなり、抵抗は高くなります。
材料・種類
- 硫化カドミウム(CdS):代表的なフォトレジスタ材料。可視光域に感度が高く、一般的な照度検出に使われます。ただしカドミウムは有害物質なので環境規制の対象になることがあります。
- 硫化セレン(CdSe)やその他の化合物セミコンダクタ:感度波長や応答特性を変えるために使われます。
- 有機光導電体や非晶質シリコンなど:特殊な用途や製造上の理由で使われることがあります。
- 赤外域用の材料(PbSなど):近赤外を検出するタイプも存在します。
電気的特徴と使い方のポイント
- 抵抗変化の幅は明るさによって大きく変わり、暗所ではメガオーム級、明所では数百オーム〜数キロオームになる製品が多いです(製品による)。
- 応答速度は比較的遅い(数十ミリ秒〜数秒)ため、高速で変化する光の検出には不向きです。ゆっくり変化する明暗検出や照度スイッチに適しています。
- 感度(波長特性)は材料によって異なります。一般に可視光域に強く反応する製品が多いので、用途に応じて仕様書で波長依存性を確認してください。
- 温度や経年変化で特性が変わることがあるため、精密な測定用途ではキャリブレーションや代替素子(フォトダイオード等)を検討します。
代表的な回路例(基本)
- 抵抗分割回路に入れてアナログ入力(ADC)で読み取る:LDRと固定抵抗で分圧して、明るさに応じた電圧をマイコンで測定します。
- トランジスタやオペアンプでしきい値スイッチにする:ある明るさでオン・オフを切り替える用途(自動点灯回路など)。
- 簡単な夜間自動点灯:LDRで暗くなったのを検知してリレーやトランジスタを駆動する。
用途(身近な例)
- 街灯や自動点灯ライトの明暗検出
- カメラや携帯機器の明るさ検知(ただし最近は高速・小型なフォトダイオードに置き換えられることが多い)
- おもちゃや家電の簡易センサー
- 表示装置や計測器のバックライト制御、自動調光
注意点・代替技術
- 有害物質:Cdを含む材料は環境規制(RoHSなど)の対象となるため、廃棄や取り扱いに注意が必要です。
- 特性のばらつきと非線形性:LDRは素子ごと・周囲温度でばらつきがあり、明るさと抵抗の関係が直線的でないため、精密測定には向きません。
- 応答速度:高速応答が必要な場合はフォトダイオードやフォトトランジスタ、光センサICを使う方が適切です。これらは線形性や速度、安定性で優れています。
まとめると、フォトレジスタは安価で取り扱いが簡単、照度の大まかな検出に便利な素子です。一方で有害物質の問題、応答速度や精度の面で限界があるため、用途に応じてフォトダイオードや光センサを選ぶことが重要です。

フォトセル
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