陽電子放出断層撮影(PET)とは|原理・トレーサー・臨床応用を解説

陽電子放出断層撮影(PET)の原理・トレーサー製造・臨床応用を分かりやすく解説。腫瘍検出や脳機能評価の実際と課題を紹介。

著者: Leandro Alegsa

陽電子放出断層撮影法(Positron Emission Tomography、通称PET)は、体内に投与した弱い放射性トレーサーの分布と代謝を画像化する医療用診断法です。トレーサーは血流に乗って臓器や病変部位に取り込まれ、トレーサー核種から放出される陽電子(ポジトロン)が近傍の電子と消滅(アニヒレーション)する際に生じる互いに反対方向に飛ぶ2本の511 keVガンマ線を同時検出することで、放射能の位置を高精度に推定します。これを断層的に再構成することで臓器の機能や代謝がわかる画像(PET画像)が得られます。

トレーサー(放射性医薬品)について

PETで使うトレーサーは、目的に応じて異なる化学形態に放射性同位体を結合させた薬剤です。代表的なものに、ブドウ糖に類似した18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)があり、がんや脳の代謝検査で広く用いられます。その他にも、血流評価、心筋の生存能評価、神経系受容体やアミロイド蓄積を標的とするトレーサーなど多様な種類があります。

トレーサーの製造にはシクロトロンによる核種生成と合成化学が必要で、放射性核種の半減期が短いことが多いため、製造・供給の面での制約やコストがかかります(例:18Fは約110分、11Cは約20分など、核種によって異なります)。そのため、多くの施設では施設内にシクロトロンや放射性医薬品合成設備を持つか、近隣の供給拠点から迅速に受け取って使用します。

検査の流れと準備

  • 事前準備:検査によっては絶食(通常6時間程度)や水分のみ可、血糖値の管理が必要です。特にFDG-PETでは高血糖やインスリン注射直後だと取り込みに影響します。
  • トレーサー投与:静脈注射で投与し、臥位で安静にしてトレーサーが組織に分布するのを待ちます(待機時間はトレーサーにより10〜90分程度)。
  • 撮影:検査台に横たわり、PET装置(多くはCTと一体化したPET/CT)で撮影します。撮影時間は部位や目的で10〜30分程度、全身を撮る場合はもう少し長くなることがあります。
  • 撮影後の注意:短時間ではありますが放射性物質を体内に保持するため、妊婦や乳幼児と接する際の注意や、授乳停止の指示が出ることがあります。

臨床応用

  • がん診療:腫瘍の検出、病期診断(ステージング)、治療効果判定、再発の検索に広く用いられます。ただし炎症でも取り込まれるため偽陽性に注意が必要です。
  • 神経領域:アルツハイマー病などの認知症診断(アミロイドPET、FDG低下パターン)、てんかんの焦点同定、パーキンソン病の評価など。
  • 心臓:心筋の血流・代謝評価や心筋生存能の判定に用いられます(例:FDGを用いた心筋のバイアビリティ評価)。
  • 感染・炎症:特定の感染性病変や炎症部位の検索に役立ちますが、炎症性細胞の取り込みで腫瘍と区別が難しい場合もあります。

画像の評価と定量指標

PET画像は形態だけでなく機能的な情報を与えます。定量的評価にはSUV(Standardized Uptake Value)がよく使われ、部位の取り込みの強さを示します。治療効果判定や経時的比較では定量的指標が重要ですが、測定条件(撮影タイミング、血糖値、体重など)による影響を考慮する必要があります。

長所と短所(制約)

  • 長所:代謝や受容体など機能情報を可視化でき、形態画像だけではわからない病変の活動性を評価できる。
  • 短所:装置とトレーサーのコストが高く、利用可能性が限定される。分解能はCTやMRIより劣るため小さな病変を見落とす場合がある。また、炎症で偽陽性が出ることや、低代謝の腫瘍で偽陰性になることがある。

安全性と被ばく

PETで使用する放射性トレーサーによる被ばくは通常低〜中程度で、検査の利益がリスクを上回ると判断される場合に実施されます。副作用は稀で、大部分は注射部位の軽い不快感程度です。妊婦や授乳中の女性には特別な配慮が必要で、検査の可否や授乳停止期間について医療機関の指示に従ってください。

装置の進化:PET/CT・PET/MRI

現在、PETとCTを組み合わせたPET/CT装置が標準的に用いられています。これにより代謝情報(PET)と解剖学的情報(CT)が同時に得られ、病変の位置決めが容易になります。近年は被ばく低減や軟部組織コントラストの向上を期待してPET/MRI装置も臨床導入が進んでいます。

総じて、PETはがん診療をはじめ神経・心臓領域でも有用な機能画像法です。検査前の準備やトレーサー特性、検査の限界を理解した上で、他の検査と組み合わせて適切に利用されます。検査についての具体的な質問や不安があれば、検査を実施する医療機関にご相談ください。

PET検査に使用する機械。Zoom
PET検査に使用する機械。

PETスキャンの「スライス」、関心領域がハイライトされている。Zoom
PETスキャンの「スライス」、関心領域がハイライトされている。

質問と回答

Q: 陽電子放射断層撮影法(PET)とは何ですか?


A:PETは、弱い放射性物質の経路と分布を示すために使用される医療用画像技術です。

Q:PET検査で使用されるトレーサーとは何ですか?


A:PET検査で使用されるトレーサーは、血液中に溶け、活動的な脳構造の周りに集中する弱い放射性物質です。

Q:PET 検査の目的は何ですか?


A:PET検査の目的は、腫瘍を検出し、脳の活動的な領域を強調することです。

Q:PET検査で検出される放射能はどのように検出されますか?


A:PET検査の放射能は、特殊な構造の装置で検出され、脳のデジタル画像に変換されます。

Q:PET検査で使用されるトレーサーはどのようなものですか?


A:PET検査では様々な種類のトレーサーが使用されますが、多くの場合、砂糖や特殊な加工を施した糖に似たものが使用されます。

Q:PET検査で使用されるトレーサーの半減期はどのくらいですか?


A:PET検査で使用されるトレーサーの半減期は、30~60分程度です。

Q:トレーサーの製造が難しく、コストがかかるのはなぜですか?


A:トレーサーの製造は、大量生産ができないため、様々な要因でトレーサーを準備する必要があり、困難で高価なものとなっています。


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