恥骨(ちこつ)とは|骨盤の構造・機能・役割・男女差をやさしく解説

恥骨(ちこつ)の構造と機能、恥骨結合や股関節との関係、男女差までやさしく解説。図解で骨盤の役割が一目でわかる入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

恥骨(ちこつ)は、骨盤を構成する骨の一つで、人体では前方に位置します。人間では腹側で前方に開くように配置されることが多いのに対し、四足歩行の多い他のほとんどの哺乳類では恥骨の向きは異なり、身体の下方や尾側に向くことがあります。

構造

恥骨は一側につき次の部分から成ります:

  • 恥骨体(体部) — 中央の幅のある部分。
  • 上枝(上恥骨枝) — 寛骨臼(股関節の臼蓋)を構成する部分の一部を形成します。
  • 下枝(下恥骨枝) — 坐骨とつながり、閉鎖孔(obturator foramen)の縁を作ります。
  • 恥骨稜・恥骨結節(恥骨結節、恥骨隆起) — 筋肉や靭帯の付着部位。

左右の恥骨は正中で恥骨結合(恥骨結合=恥骨結合軟骨)により連結されます。恥骨はまた、寛骨臼の約5分の1を占め、股関節の臼蓋(受け皿)を一部形成します。恥骨の内面は小骨盤(骨盤腔)の前方壁の一部をなします。

機能・役割

  • 支持・保護:下腹部や骨盤内臓(膀胱、前立腺・子宮付近の構造など)を前方から支え、外傷や圧力から守ります。
  • 筋肉や靭帯の付着点:腹直筋の下端や恥骨筋(恥骨筋、恥骨直筋)、内転筋群(大内転筋、長内転筋、短内転筋)など多くの筋が恥骨に付着し、股関節や体幹の動きに寄与します。鼠径靭帯や鼡径管の起始部も恥骨結節近傍に付着します。
  • 歩行・姿勢:股関節の一部を構成するため、下肢の安定や歩行時の力伝達に関与します。
  • 出産時の役割:女性ではリラキシンなどのホルモンの影響で恥骨結合がわずかに可動性を増し、産道が広がりやすくなります。

外部との関係(女性特有の構造)

女性では恥骨前面の外側に脂肪組織がついており、この脂肪の被覆が外から見える「金星丘(モンス・ヴェネリス)」を作ります。この部分については、前部の恥骨上方が脂肪の層で覆われ、いわゆる恥骨門(金星丘)を形成します。また、尿道周囲には尿道海綿体などの海綿組織が存在し、性的反応や血流に関係します(内側の構造については個人差が大きいです)。

(参照リンクは本文中の該当箇所に残しています:尿道海綿に関する語は海綿の語と関連します。)

男女差(骨盤の違い)

  • 骨盤全体の形:女性は出産に適するように骨盤腔が広く浅く、男性は狭く深い傾向があります。
  • 恥骨弓(下前部の角度):女性は一般に恥骨弓(いわゆるsubpubic angle)が広く(おおむね90度以上)、男性は狭い(約70度前後)です。これにより恥骨間距離が変わります。
  • 恥骨結合の可動性:妊娠・分娩時は靭帯が弛緩して恥骨結合がわずかに開くことで通過スペースが増えます。

臨床的なポイント

  • 恥骨の疲労骨折や恥骨下枝骨折はスポーツや外傷で起こることがあります。骨盤骨折では出血や内臓損傷を伴う危険があるため早期診断が重要です。
  • スポーツ関係では「恥骨炎(オステイティス・プビス)」として、ランナーやサッカー選手に恥骨周囲の慢性的な痛みが生じることがあります。
  • 骨盤のX線・CT・MRI検査で恥骨の構造や損傷、変形、炎症の有無を評価します。出産後の痛みや恥骨結合の違和感がある場合は内科・整形外科・婦人科での評価が必要です。

まとめ(要点)

  • 恥骨は骨盤前方にある重要な骨で、股関節の一部を構成し、筋肉や靭帯の付着に関わる。
  • 女性は金星丘などの外側被覆や出産に関連する可動性の違いがある。
  • スポーツ障害や外傷、分娩後の不調など臨床的に問題が出ることがあるため、症状があれば専門医の評価を受けるべきである。

その他の画像

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男性の生殖器系。

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右の腰骨。外から見たところ。

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右の腰骨。内側から見たところ。

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腰骨の骨化平面図。

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冠状断で露出した恥骨結合。

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左内転筋を内側から。

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外転筋のこと。

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左股関節、骨盤の中から寛骨臼の床を除去して開いたもの。

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男性の骨盤の動脈。

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骨盤



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