希土類磁石の定義と特徴 — ネオジム・サマリウム磁石の種類と用途

希土類磁石の基礎とネオジム・サマリウムの種類・特性、用途、耐食対策まで使い方と選び方をわかりやすく解説

著者: Leandro Alegsa

希土類磁石は、希土類元素合金で作られた強力な永久磁石です。

1970年代から80年代にかけて開発された希土類磁石は、永久磁石の中で最も強度の高い磁石の一つです。フェライト磁石やアルニコ磁石など、他の磁石に比べて磁場が非常に強いのが特徴で、同じ体積・質量あたりでより強い磁束を得られます。

主な種類とその特徴

希土類磁石には大きく分けて2種類があります。いずれも高い磁気性能を示しますが、得意分野や特性が異なります。

  • ネオジム磁石(Nd–Fe–B)

    最も出力密度(単位体積当たりの磁力)が高い希土類磁石です。軽量で強力なため、小型モーターやハードディスク、イヤホン・スピーカーなどにも広く使われます。欠点は高温での性能劣化や、空気中での腐食に弱い点です(そのため多くはメッキやコーティングが施されます)。

  • サマリウム・コバルト磁石(SmCo)

    耐熱性と耐食性に優れ、比較的高温環境でも安定して使えるのが特徴です。温度による磁気特性変化が小さく、過酷な環境や高温での用途に向きます。ただし材料コストが高く、衝撃や加工に対してもやや脆い点があります。

また、希土類系でも特殊な用途向けにTerfenol-Dのように磁歪(磁場で形が変わる現象)を利用する材料や、粉末を樹脂で固めたボンド磁石(成形しやすく形状自由度が高いが磁力は劣る)などのバリエーションがあります。

物理的・磁気的特性

  • 残留磁束密度(Br):磁石が保持する磁束の強さ。ネオジムは高いBrを持つ。
  • 保磁力(Hc)・内部分裂耐性:外部磁場や温度変動による磁化の失われにくさを示す。高い保磁力は磁気を安定に保つ上で重要。
  • 最大エネルギー積((BH)max):磁石の総合的な性能指標で、値が大きいほど小型で強力な磁石が作れます。
  • 温度特性:ネオジムは室温付近で強力ですが、温度が上がると磁力が低下するため、用途に応じたグレード選定や高温向けコーティングが必要です。サマリウム・コバルトは高温耐性が高く、温度変化による磁力低下が小さいです。
  • 機械的性質:いずれも焼結磁石は非常にもろくく、落下や衝撃で割れやすいので取り扱いに注意が必要です。

表面処理と製造形態

希土類磁石は脆く、また空気中での腐食を受けやすいため、製品化の際には表面処理が施されます。一般的な処理には以下があります:

  • Ni–Cu–Niメッキ(ニッケル銅ニッケル)
  • エポキシコーティング(樹脂被覆、耐食性と絶縁性を付与)
  • 亜鉛メッキ、金メッキなどの他の金属コーティング

製造方法としては、焼結(粉末を成形・焼結する)による高性能な「焼結磁石」と、粉末を樹脂に混ぜて成形することで形状自由度を高めた「ボンド磁石(成形磁石)」があります。焼結品が磁気性能に優れますが、加工が難しく割れやすいという特徴があります。

用途例

希土類磁石は高磁力を活かして、幅広い分野で使われています。代表的な用途は以下の通りです:

  • 小型高効率モーター(電動工具、電動自動車のモーターなど)
  • データ記録機器(ハードディスクのヘッドアクチュエータ)
  • オーディオ機器(スピーカーなどにも使用)やイヤホンの磁気回路
  • センサー(磁気センサー、ロータリーエンコーダ)
  • 医療機器や研究用装置(高性能マグネットを必要とする機器)※MRI本体の主磁石は超伝導磁石が主流で、希土類磁石は補助用途等で用いられる場合がある
  • 産業用アクチュエータ、リフト、磁気保持具など

製造とリサイクル、供給面の注意点

希土類元素は地質的に偏在し、近年は供給リスクや価格変動が注目されています。製造コストや環境負荷を下げるため、リサイクル技術や代替材料の研究が進んでいます。磁石のリサイクルでは、焼結体から希土類元素を回収する工程や、解体・分離工程の確立が重要です。

安全上の注意と取り扱い

  • 強力な磁石は手指や皮膚を挟んで重篤なケガを招くことがあるため、保護具や安全距離を保って取り扱う。複数個の磁石が急に引き合うと破損して飛散する危険がある。
  • 磁気カードや一部の電子機器、ペースメーカーなど医療機器に影響を与える可能性があるため、近づけない。
  • 割れた破片は鋭利であり、吸入や眼への飛散に注意する。粉末は吸引や環境汚染の原因になることがある。

まとめると、希土類磁石は非常に高い磁気性能を持ち、小型化・高効率化が求められる現代の機器に不可欠な材料です。一方で、脆さ・腐食性・高温特性・供給リスクなどの課題があり、用途に応じた材料選定や表面処理、適切な取り扱いが重要です。

ガラスの上に磁性流体、その下に希土類磁石Zoom
ガラスの上に磁性流体、その下に希土類磁石

質問と回答

Q:希土類磁石とは何ですか?


A:希土類元素の合金で作られた強力な永久磁石です。

Q:希土類磁石はいつ開発されたのですか?


A:1970年代から80年代にかけて開発されました。

Q:希土類磁石は、他の永久磁石と比べてどのくらい強いのですか?


A:希土類磁石は、フェライト磁石やアルニコ磁石などの他の磁石と比較して、非常に強い磁界を持っています。

Q: 希土類磁石にはどのような種類がありますか?


A:ネオジム磁石とサマリウム・コバルト磁石の2種類です。

Q:希土類磁石にはどのような用途がありますか?


A:スピーカーなど強い磁界を必要とする用途に使用されています。

Q:なぜ希土類磁石にはメッキやコーティングが施されているのですか?


A:希土類磁石は非常に脆く、腐食に弱いため、折れたり、欠けたり、粉々になったりしないように、メッキやコーティングが施されているのが一般的です。

Q:希土類磁石はすべて磁歪ですか?


A:いいえ、すべての希土類磁石が磁歪であるわけではありません。Terfenol-Dのように、磁歪を持つものもあります。


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