静止膜電位とは?定義・原因|イオン濃度と膜輸送タンパク質の影響

静止膜電位とは?定義からイオン濃度・膜輸送タンパク質が与える影響を図解でわかりやすく解説、基礎から応用まで学べる入門ガイド

著者: Leandro Alegsa

細胞の静止電位は、活動電位やシナプス電位などの活発な膜電位変化がない場合に維持される膜電位である。ほとんどの細胞では、安静電位は負の値であり、これは慣習的に、外側に比べて内側に過剰な負の電荷があることを意味します。静止電位は、細胞膜の両側にある液体中のイオン濃度と、細胞膜に存在するイオン輸送タンパク質によってほぼ決定されます。以下に、イオン濃度や膜輸送タンパク質が静止電位の値に与える影響について概説する。

静止膜電位の定義と代表値

静止膜電位(resting membrane potential)は、細胞膜の内外で電荷の差が安定しているときに測定される膜電位です。多くの動物細胞では内側が負で、典型的な値は細胞種によって異なります(例:神経細胞で約 -60 ~ -75 mV、骨格筋で約 -80 ~ -90 mV、心筋で約 -85 ~ -90 mV)。

イオン濃度が与える影響

静止電位は主にK+、Na+、Cl−などのイオンの濃度勾配と膜の透過性によって決まります。各イオンが単独で膜電位に与える理想的な寄与はナーニスト(Nernst)方程式で表せます。

ナーニスト方程式(単価イオン・温度Tのとき):
E = (RT / zF) ln([外側] / [内側])(よく使われる近似:37°Cで E ≈ 61.5 mV × log10([外側]/[内側]) / z)

しかし実際の静止電位は複数のイオンの同時寄与を受けるため、Goldman-Hodgkin-Katz(GHK)電位方程式でより実用的に表されます。GHK方程式は各イオンの膜透過率(P)を重みとして取り込みます。

GHKの概念(単純化して示すと):
V = (RT/F) ln( (P_K[K+]_o + P_Na[Na+]_o + P_Cl[Cl−]_i) / (P_K[K+]_i + P_Na[Na+]_i + P_Cl[Cl−]_o) )

ここで重要なのは、透過性の高いイオンが静止電位をより強く決定するという点です。ほとんどの細胞ではK+の透過性が高いため、静止電位はK+の平衡電位に近くなります。

膜輸送タンパク質(チャネル・ポンプ・搬送体)の役割

  • イオンチャネル(リークチャネル):K+リークチャネル(例:二孔チャネル、Kirなど)が高い透過性を提供し、静止電位を内向きに保ちます。Na+リークも存在し、少量のNa+流入は静止電位をやや脱分極させます。
  • Na+/K+ ATPase(ナトリウム・カリウムポンプ):ATPを使って細胞内のNa+を外へ、外のK+を内へ輸送します。これによりNa+とK+の濃度勾配が維持され、間接的に静止電位を支えます。ポンプは1回のサイクルで3Na+外輸送、2K+内輸送を行うため、わずかな電荷の不均衡(電気駆動性)により直接的にわずかな過分極効果を持ちます。
  • その他の輸送体:NKCC、KCC、Ca2+ポンプ、交換体(例:NCX)などは特定のイオンの局所濃度を変え、長期的には静止電位に影響します。特にCl−の取り扱いは抑制性シナプスの効果や細胞の発生段階で重要です。

その他の影響因子

  • 不浸透性陰イオン(細胞内タンパク質など)によるDonnan効果:細胞内に存在する大きな陰イオンはイオン分布に影響し、水・イオンの平衡に寄与しますが、膜が完全に選択的でないため静止電位は単純なDonnan平衡にはならないことが多いです。
  • 温度:温度が方程式のRT項に影響し、温度上昇はイオンの平衡電位をわずかに変えます。
  • 膜面積とキャパシタンス:膜電位変化の時間スケールは膜の電気的特性(抵抗・キャパシタンス)に依存しますが、静止電位の値自体には透過性や濃度勾配が直接関与します。

生理的意義と臨床的関連

  • 静止電位はニューロンや筋細胞の興奮性を決め、閾値までの差(脱分極の必要量)を左右します。
  • 血漿中のK+濃度変化は静止電位に強く影響します。高K血症は静止電位を脱分極させ、不整脈や神経筋伝導障害を引き起こす可能性があります。低K血症は逆に過分極を招き、筋力低下や不整脈を生じることがあります。
  • Na+/K+ポンプ阻害(例:デジタリス中毒やエネルギー欠乏)はイオン勾配を崩し、静止電位と細胞機能に重大な影響を与えます。

測定方法

静止電位は細胞内微小電極を用いた細胞内記録やパッチクランプ法で測定します。正確な測定には電極の基準と抵抗補償、温度管理が重要です。

まとめ(要点)

  • 静止電位は内外のイオン濃度と膜の透過性のバランスで決まる。
  • K+の透過性が高いため、多くの細胞で静止電位はK+の平衡電位に近い。
  • Na+/K+ ATPaseなどの膜輸送タンパク質はイオン勾配を維持し、静止電位の基盤を作る。
  • 電解質異常や輸送体の障害は静止電位を変化させ、細胞機能や臨床状態に影響を与える。


百科事典を検索する
AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3