ロイヤル・ヴィクトリアン・オーダーはイギリス君主が個人的に授与する名誉勲章です。これは、女王または王政に個人的に仕えた人々に、女王(または国王)から直接与えられます。ガーターやアザミの勲章のように、首相は誰がこの栄誉を得るべきかを提案しない点が特徴で、任命は主権者の「個人的な贈り物」(personal gift)です。
創設と目的
この勲章は、1896年4月21日にビクトリア女王によって創設され、女王(国王)への個人的な奉仕に報いることを目的としています。王室の執務や特別任務、訪問にあたってのサポート、王室行事での長年の奉仕など、幅広い形の個人的献身が対象になります。勲章は王室や君主個人に対する奉仕を称えるもので、国家的・政治的推薦に依らない点で他の多くの勲章と区別されます。
階級と勲章の種類
ロイヤル・ヴィクトリアン・オーダーは複数の階級に分かれており、それぞれに対応した章(バッジ)や星章、リボンなどの装飾があります。代表的な階級は次の通りです:
- ナイト/デイム・グランド・クロス(GCVO) — 最上位。英国民の場合は「Sir」や「Dame」の称号を伴います。
- ナイト/デイム・コマンダー(KCVO / DCVO) — 上位の叙勲で、同様に称号が与えられる場合があります。
- コマンダー(CVO)
- リーフテナント(LVO)(旧称:Member 4th class)
- メンバー(MVO)(5th class)
- ロイヤル・ヴィクトリアン・メダル(RVM) — 勲章とは別枠のメダルで、金・銀・銅などがあり、実務上の奉仕や功労を称えるために授与されます。
なお、外国人に与えられる場合は名誉称号(honorary)扱いとなり、英国市民が得る正式な称号(例:「Sir」「Dame」)は伴わないのが通例です。
叙勲の慣行と海外授与
ロイヤル・ヴィクトリアン・オーダーのもう一つの特徴は、国王(女王)が個人的に任命を行うため、叙勲の決定が政府内閣の助言を必ずしも必要としない点です。しばしば国家訪問や海外公式ツアーの際に、訪問先で協力した現地関係者や大使館スタッフ、自治体の関係者などに授与されます。本文にもあるように、女王が英国に戻る前に訪問先で受勲者を叙勲することがあり、海外でソブリン自ら授与する例が多く見られます。
実例として、1896年にビクトリア女王が南フランスを訪問した際には、アルプ・マリティーム県知事とニース市長が最初の外国人受章者の一例として挙げられています。
礼拝堂と式典
騎士団の礼拝堂は「サヴォイの女王の礼拝堂(Queen's Chapel of the Savoy)」で、これは歴史的な理由からランカスター公爵としての権利を持つ君主の個人的な所有物、いわゆる王室の特別なもの(royal peculiar)です。サヴォイ礼拝堂は規模が大きくないため、現在は4年に一度、ウィンザー城のセント・ジョージ礼拝堂で受賞者のための礼拝(サービス)が行われることが多く、そこで受章者や関係者が集まります。
受賞者の例と役割
受賞者には王室の執事や秘書、宮内庁スタッフのほか、宮廷儀礼に携わる者、長年にわたり君主制に奉仕してきた人物などが含まれます。加えて、国家訪問の際に協力した国外の公務員や外交官、地方首長などにも授与されることがあり、王室の対外交流における感謝の印としての役割も果たしています。
モットーはヴィクトリア。

