サーヒー・ムスリム(Sahih Muslim)とは:スンニ派の主要ハディース集と信憑性

サーヒー・ムスリム(Sahih Muslim)の成立、信憑性、スンニ派での位置付けを詳解。イマーム・ムスリムの業績や学術的評価を紹介。

著者: Leandro Alegsa

サーヒー・ムスリム(アラビア語:صحيح مسلم)は、スンニ派のクトゥブ・アル・シッタ(6大ハディース集)の一つ。スンニ派ムスリムの間では重要視されており、『サーヒー・アル・ブハーリー』に次いで2番目に信憑性の高いハディース集とされている。イマーム・ムスリムとして知られるムスリム・イブン・アル・ハッジャージ(815-875)によって収集された。Sahih Muslimは、Sahih al-Bukhariと合わせてSahihaynと呼ばれる。

成立と著者

編者であるムスリム・イブン・アル・ハッジャージ(通称イマーム・ムスリム)は、現代のイラン北東部にあたるニシャープール(Nishapur)出身のハディース学者で、多くの地域を旅して伝承の収集と検証を行った。彼は学識・信頼性ともに高く評価され、イスラム学界では最も権威のあるムハッディース(ハディース学者)の一人と見なされている。編纂は9世紀ごろに行われたと考えられている。

特徴と収集基準

  • 厳格なイスナード(伝承の連続性)検証:ムスリムは、各ハディースの伝承連鎖が途切れていないこと、連鎖内の各語り手が信頼に足る人物であることを重視した。
  • 語り手の信頼性(ʿadāla)と記憶力(ḍabt):伝承者個々の正直さと記憶の正確さがチェックされ、不十分な伝承は排除される。
  • 微細な異同の扱い:ムスリムは文言(matn)や連鎖の細部に注意を払い、同一の内容でも伝承の形式や語り手の差異を整理している。
  • ブハーリーとの違い:ブハーリーも同様に厳格だが、両者は採用基準や配列方法において異なる。したがって、あるハディースが片方にのみ収録されることがある。

構成と収録数

『サーヒー・ムスリム』は主題ごとに分けられた多数の「冊(Kutub)」およびさらに細かい「章(abwab)」から構成されている。収録されたハディースの総数は、重複の扱いや数え方によって異なるが、一般的には重複を除いた場合で数千件に上るとされる。章立ては礼拝、浄化、結婚、商取引、倫理、信仰(ʿaqīdah)など、イスラム生活の幅広い領域を網羅している。

評価と影響

スンニ派では『サーヒー・アル・ブハーリー』とともに最も信頼されるハディース集とされ、法学(fiqh)、信仰、倫理、儀礼など多くの分野で重要な典拠とされている。多くの法学者や教師がこれを引用し、宗教的な判断や教育の基盤として利用してきた。

主要注釈と翻訳

『サーヒー・ムスリム』には多数の注釈書(sharh)が付されており、中でも古典的な注釈は学習や研究で広く参照される。さらに現代では英語、ウルドゥー語、日本語など多くの言語に翻訳され、世界中で読まれている。

学術的検討と批判

  • 伝統的な受容は非常に高いが、近現代の学者や批評家は個々のハディースの連鎖や文言について詳細に検討を加えている。
  • 宗派的視点の違い:シーア派の立場からは評価が異なることがあり、受容範囲や解釈に差が出る場合がある。
  • 現代の歴史学・文献学的手法を用いた研究により、伝承の成り立ちや編纂過程について新たな理解が提示されている。

まとめ:『サーヒー・ムスリム』はスンニ派ハディース学における中核的な著作の一つであり、ムスリム・イブン・アル・ハッジャージの厳密な収集・検証方針に基づいて編まれた。イスラム教法・信仰の実務と学術研究の双方に大きな影響を与えており、現在でも広く参照・研究されている。

サヒームスリムの表紙Zoom
サヒームスリムの表紙

コレクション

イマーム・ムスリムは30万近いハディースを収集した。このうち4000が収録された。ムンティリによれば、『サーヒ・ムスリム』には合計2200のハディースがある(繰り返しはない)。ムハンマド・アミンによれば、他の書物、主に6大ハディース集に報告されている本物のハディースが1400件あるという。



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