セレン化物とは Se2−イオンの定義と性質、生成・反応・用途を解説

セレン化物はイオンである。その化学式は Se2– 。セレン化物は硫化物に似ている。セレン化物は、純粋な場合、還元剤である。硫化物より強い還元剤である。セレン化物の鉱石は、セレンの供給源である。セレン化物は通常、硫化物と混合される。セレン化物イオンは、非常に塩基性の条件下でなければ不安定である。通常、ヒドロセレニドが作られ、HSe となる。-酸性条件下では、セレン化水素ガスが作られる。

定義と基本性質

セレン化物イオン (Se2–)は、セレン(Se)が2個の電子を受け取って負二価になった陰イオンです。硫化物イオン (S2–) と類似した化学的性質をもちますが、原子半径が大きく、極性化されやすいため還元力や配位性がやや異なります。水溶液中では単独のSe2–は強塩基性条件でのみ安定で、pHが低下すると段階的にプロトン化されてヒドロセレニド (HSe) や無色で毒性の高いガスであるセレン化水素 (H2Se) を生じます。

酸塩基・酸化還元挙動

  • 平衡反応の概略:
    Se2– + H+ ⇄ HSe
    HSe + H+ ⇄ H2Se (気体)
  • 酸性条件では H2Se が発生し、これは非常に有毒で腐食性が高いガスです。
  • 塩基性条件では Se2– が存在しやすく、強い還元剤として働きます。酸化されて単体セレン (Se^0) やセレニド(酸化数の異なる種)に変わることがあります。

鉱物と生成法

自然界ではセレンは単独ではなく、金属と結合したセレナイド鉱物(例:PbSe(クラウストハライト)、Cu2Se など)として存在することが多く、これらがセレンの主要な供給源です。鉱石中ではしばしば硫化物と共存し、処理・精錬過程で分離されます。

実験室では、アルカリ溶液中で元素セレンや有機セレン化合物から還元的にSe2–を生成することができますが、取り扱いには注意が必要です。

代表的な反応と用途

  • 金属との反応:多くの金属イオンと反応して金属セレナイド(CuSe、Ag2Se、PbSe など)を沈殿させます。これらは半導体材料や顔料の前駆体となります。
  • 酸化反応:空気や酸化剤により容易に酸化され、単体の赤色〜黒色のセレンや過酸セレニドなどを与えます。
  • 電子材料:セレナイドは光電変換材料や赤外線検出器、太陽電池などの半導体応用で重要です(例:CuInSe2系薄膜太陽電池)。
  • ガラス・着色:セレン化合物はガラスの着色や脱色(鉄による緑色の中和)に使用されることがあります。

取り扱いと安全性

セレン化水素 (H2Se) は非常に有毒で、少量でも致命的になり得ます。セレン化物イオンを含む溶液や化合物の取り扱いでは、適切な換気、排気フード、保護具(手袋、保護眼鏡)を必ず使用してください。廃液処理や中和は専門的な手順に従い、安全に行う必要があります。

分析と検出

セレンの存在は原子吸光分光法、ICP-MS、電気化学的方法、あるいは金属イオンとの沈殿反応を利用した定性試験で検出されます。Se2–自体はpH依存性が高いため、分析時の前処理条件(酸・塩基の添加、還元/酸化状態の制御)に注意が必要です。

まとめると、Se2–(セレン化物イオン)は硫化物に似た化学的特性を持ち、強い塩基性で安定、酸性側では段階的にプロトン化されて有毒ガスを生じる点が重要です。産業的・材料的に有用な一方で、毒性や取り扱い上の危険があるため慎重な管理が求められます。

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