シリアルATA(SATA、Serial Advanced Technology Attachment)は、ストレージデバイスや光学ドライブをコンピュータに接続するために定義されたインターフェース規格です。従来の並列転送を行うATA(一般に「IDE」として知られる規格)は現在では「PATA(Parallel ATA)」と呼ばれ、SATAはそれに替わるシリアル方式として広く採用されています。

PATA(IDE)との主な違い

  • 配線構成:SATAはデータ用ケーブルが7本ピンの細いケーブルを1台ごとに接続します。PATAは40ピン(あるいは信号線を分離した80芯リボン)ケーブルを使用し、1本のケーブルに複数台(マスター/スレーブ)を接続する方式が一般的でした。
  • 接続方式:SATAは各デバイスがホストに直接接続されるポイント・ツー・ポイント方式で、同一ケーブル上で複数機器を共用しません。PATAは同一ケーブル上に複数機器をぶら下げる構成でした。
  • 転送効率:SATAはクロックや信号の扱いが効率化され、実効速度や安定性でPATAを上回ります。SATAは世代ごとに転送速度が向上しています(後述)。
  • 配置・取り回し:細いSATAケーブルはケース内での取り回しが容易でエアフロー改善に寄与します。PATAの幅広いリボンケーブルは配線性で劣ります。

SATAの世代と代表的な機能

  • SATA 1.0(SATA I):最大転送速度1.5 Gbit/s(実効はそれより低い)。
  • SATA 2.0(SATA II):最大3.0 Gbit/s。NCQ(Native Command Queuing)やポート・マルチプライヤのサポートなどが普及。
  • SATA 3.0(SATA III):最大6.0 Gbit/s。現在のデスクトップやノートPCで最も一般的。
  • 主な機能:ホットプラグ(稼働中の着脱対応)、NCQによるI/O最適化、AHCI(Advanced Host Controller Interface)によるOS側での高度な制御やパフォーマンス最適化。
  • 互換性:世代間は下位互換があるため、SATA III機器をSATA IIポートに接続すると速度は下位世代に合わせられます。ただしケーブルやコントローラの制限により実効速度や機能が変わることがあります。
  • ケーブル長:SATAケーブルの推奨最大長は約1メートルです(通常の内部接続では十分な長さ)。

コネクタと電源

  • データコネクタ:7ピンの細いデータコネクタ。片側だけ向きが決まっており抜き差しが簡単です。
  • 電源コネクタ:通常は15ピンのSATA電源コネクタを使用し、電圧ラインや冷却機能(3.3V/5V/12Vなど)を供給します。古いPATA機器は4ピンのMolex電源を使用していました。
  • 外部接続:外部用に設計されたeSATAは外付けストレージ用のSATA互換インターフェースでした(現在はUSBやThunderboltが主流に)。
  • 小型フォームファクタ:mSATAやM.2スロットの一部はSATAプロトコルを内部的に使用するものがあります(ただしM.2はPCIe/NVMeにも対応しており、フォームファクタとプロトコルは区別が必要です)。

用途と現在の状況

  • 一般用途:現在のデスクトップPCや多くのノートPC、サーバーでSATAポートが標準搭載されています。ハードディスクドライブ(HDD)や2.5インチSATA SSD、光学ドライブの接続で広く使われています。
  • SSDとの関係:SATA SSDはHDDより大幅に高速ですが、最新のNVMe(PCIe接続)SSDに比べると帯域は劣ります。NVMeはSATAとは別の規格です。
  • 産業・組み込み分野:PATAは旧機器や特定の組み込み・産業用途で依然使われることがありますが、一般消費者向け製品ではほとんどSATAに置き換わっています(参考:PATAに名称変更や歴史についての情報)。
  • 接続コントローラとRAID:マザーボード上のSATAコントローラはRAID機能を備えることが多く、複数ディスクを活用した冗長化や性能向上が可能です。拡張カードやUSB/SATAアダプタを使えば追加接続もできます。
  • 組み込みシステム:小型機器や特殊用途では依然として専用インターフェースが使われることがあり、参照例としては組み込みシステム向けの設計が挙げられます。

まとめ

SATAはPATA(IDE)に比べて配線が簡潔で取り回しが良く、ポイント・ツー・ポイント接続や高い転送効率、ホットプラグなどの利点から現在の主流インターフェースとなっています。デスクトップやノートPCの内部ストレージ接続ではほぼ標準化されており、HDDやSATA SSD、光学ドライブなどの接続に用いられます。一方で、より高速なストレージが求められる用途ではPCIe/NVMe等の別規格が使われることが増えています。