SCSIは、コンピュータとハードディスクやCD/DVDドライブなどの周辺機器を物理的に接続し、データを転送するための規格群です。SCSIはSmall Computer System Interfaceの略ですが、「Small」は歴史的な名称であり、実際には大型サーバからワークステーション、組み込み機器まで幅広く使われてきました。日本語では一般に「スカジー」と発音されます。
概要(定義と特徴)
SCSIは単なるコネクタやケーブルの仕様だけでなく、機器間のやり取りを定めるコマンドセットやプロトコルの集合体です。主な特徴は以下の通りです。
- イニシエータ/ターゲット方式:ホスト側(イニシエータ)が命令を送り、ディスクやドライブ(ターゲット)が応答します。
- 複数デバイスの接続:1本のバスに複数のデバイスをデイジーチェーンやターゲットIDで接続できます。
- 高度なコマンド機能:コマンドキューイングやタグ付け(Tagged Queuing)など、並列処理や性能向上の仕組みを備えます。
- 多様な物理層とトランスポート:並列(Parallel SCSI)からシリアル(SAS、Fibre Channel)、IP上のiSCSIまで多数の実装があります。
歴史(大まかな年表)
- 1980年代:SCSIの初期仕様(SCSI-1)が策定され、主にパラレルバスで利用されました。
- 1990年代:SCSI-2でFast SCSI、Wide SCSIなどが登場。同期転送や転送速度の向上が進みました。
- 1990年代後半~2000年代:Ultra SCSIシリーズ(Ultra, Ultra2, Ultra160, Ultra320)でさらに高速化。
- 2000年代以降:並列SCSIの物理的限界を補うため、Serial Attached SCSI(SAS)、Fibre Channel、iSCSIなどのシリアルおよびネットワーク越しの実装が普及。
- 同時期に、家庭用や汎用周辺機器ではUSBやFireWire(IEEE 1394)が広く普及しましたが、エンタープライズ用途ではSASやiSCSIなどSCSIコマンドセットを継承した技術が残っています。
仕組み(アーキテクチャ)
SCSIの基本的な考え方は、ホスト(イニシエータ)がターゲットに対してSCSIコマンドを送信し、データ転送や状態問い合わせを行う点にあります。主要な要素を簡単に説明します。
- イニシエータ/ターゲット:ホスト側がイニシエータ、ストレージがターゲット。複数のイニシエータやターゲットを持つ構成も可能です。
- LUN(論理ユニット番号):1つのターゲット内で複数の論理デバイスを識別するための番号。
- SCSI ID(パラレル時代):古い並列SCSIではバス上のデバイスを識別するためにID(例:0~7、Wideでは0~15)を使い、適切な終端が必要でした。
- 終端(Terminator):並列SCSIではバスの両端を終端しないと信号反射が発生し、通信エラーになります。
- コマンドセット:読み書きやデバイス制御のための標準化されたコマンド群が定義されています(例:READ、WRITE、INQUIRYなど)。
物理層・インターフェースの種類
SCSIは長く進化してきたため、多くの物理インターフェースがあります。主なもの:
- Parallel SCSI(パラレルSCSI) - 50ピンや68ピンコネクタ。シングルエンドとLVD(Low Voltage Differential)などの電気的方式がある。
- Ultra SCSI 系列(Ultra, Ultra2, Ultra160, Ultra320) - 並列SCSIの高速版。
- Serial Attached SCSI(SAS) - シリアル伝送、高速かつホットプラグ対応でサーバ用途の主流。
- Fibre Channel - 高速ネットワーク上でSCSIコマンドを扱う。SAN(ストレージエリアネットワーク)で利用。
- iSCSI - IPネットワーク上でSCSIプロトコルをトンネリングし、既存のEthernet設備でストレージを扱える。
運用上の注意点
- 並列SCSIではケーブル長や終端に注意が必要で、デバイスの並び順(デイジーチェーン)やID設定を正しく行う必要があります。
- SASやiSCSIなどのモダンな実装はホットプラグ、冗長パス、マルチパスI/Oに対応し、エンタープライズ用途に適しています。
- 機器間の互換性は物理層や電気的特性によって左右されるため、例えばシングルエンド機器とLVD機器を混在させると動作しない場合があります。
現在の位置づけと代替技術
家庭用の周辺機器はUSBやThunderbolt、以前はFireWireに取って代わられることが多くなりましたが、データセンターやサーバ用途ではSCSIコマンドセットを継承するSASやiSCSI、Fibre Channelが依然として重要です。特に高信頼・高性能なストレージ環境ではSASが主流です。
まとめ
SCSIは単なる古い規格ではなく、コマンドセットやアーキテクチャが現在の多くのストレージ技術に受け継がれている重要な規格群です。用途や環境に応じて、並列SCSIからSAS、iSCSI、Fibre Channelへと適切なインターフェースを選ぶことが求められます。
