概要
硫酸バリウムは、化学式 BaSO4 で表される無機化合物で、バリウム陽イオンと硫酸イオンから成ります。バリウムは +2 の酸化状態で存在します。天然では鉱物のバライトとして見られ、人工的には高密度の白色結晶性粉末として得られます。水にほとんど溶けないため、可溶性のバリウム塩とは異なる挙動を示し、多くの用途で不活性な材料として扱われます。化合物の一般的な情報は化学的同一性を、元素そのものについてはバリウムを参照してください。
物理的・化学的特性
硫酸バリウムの特徴は、高い密度と、X線を強く減弱する性質にあります。これらは重いバリウム原子に由来します。白色で無臭であり、通常の条件では水や希酸にきわめて溶けにくい物質です。バリウムと結びつく硫酸イオンは、一般的な四面体形の陰イオン SO4 2− です。硫酸の化学については硫酸イオンを、硫酸塩中のバリウムの +2 酸化状態についてはバリウムの酸化状態を参照できます。
用途
硫酸バリウムで最もよく知られる用途は医療画像診断です。経口または直腸から投与する造影剤として、X線撮影や透視検査で消化管の輪郭を明瞭にします。医療での利用についてはX線撮影が、消化管の個別検査については臨床画像診断が関連します。医療以外では、塗料、紙、プラスチック、ゴムの充填材や顔料として、また密度を高めつつ溶けないため掘削泥水の比重調整剤として使われます。
安全性と環境上の注意
- 硫酸バリウムは、容易に溶けないため可溶性バリウム化合物よりはるかに危険性が低いですが、微粉の吸入や産業用途での不適切な曝露には注意が必要です。
- 医療用途では、訓練を受けた専門家の管理下で安全に使えるよう調製されます。穿孔が疑われる体腔内に、臨床判断なしで投与してはなりません。
- 廃棄と取り扱いは、粉じんや汚染を抑えるために産業・環境規制に従って行われます。
歴史と特記事項
天然鉱物のバライトは、歴史的に顔料や初期の工業工程で利用されてきました。現代では、医療用または工業用の仕様に合わせて、高純度で細かく粉砕された硫酸バリウムが製造されています。重要な違いは、BaSO4 と可溶性のバリウム塩の差にあります。前者は不活性でX線不透過性であることを利用して意図的に用いられますが、後者は有毒であり厳重に管理されます。