サイドサドル(横乗り)とは?定義・特徴・歴史・乗り方ガイド

サイドサドル(横乗り)の定義・特徴・歴史から実践的な乗り方ガイドまで、安全で美しい乗馬術を初心者にも分かりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

乗りとは、乗馬の一種で、特殊な鞍を使用して馬の「脇に座る」乗り方を指します。通常の騎乗(馬にまたがる=脚を左右に開いて座る)とは異なり、サイドサドルでは脚を閉じ、両脚が馬の同じ側に揃うのが特徴です。歴史的に女性が控えめな姿勢を保つために用いられることが多く、外見的にも優雅な乗り方とされます。競技ではジュニアクラスやシニアクラスなど年齢別の区分があり、審査される要素には姿勢、馬の運動、服装やマナーが含まれます。馬に乗ることで、控えめな姿勢をとりながら、きれいな乗り方をすることができます。

特徴

  • 鞍の構造:専用のサイドサドルは、前方に「ホーン(ポメル)」やサポート用の補助部があり、乗り手の安定を助けます。デザインは伝統的なものから現代的に改良されたものまであります。
  • 姿勢:両脚を同じ側に揃えて座り、上体はほぼ正面を向けて背筋を伸ばします。服装はスカートやライディングコートなど、裾が長いものでも対応できる形です。
  • 用途:パレードや式典、クラシックな馬術競技、展示、または日常のレクリエーションとして用いられます。ジャンプ競技でも使えるよう改良されたタイプも存在します。

歴史(概略)

サイドサドルの起源は古代から中世にかけての女性の乗馬習慣に遡ります。宗教的・社会的な理由から女性が馬にまたがることを避ける文化があり、左右どちらかに座る形が用いられていました。時代とともに鞍の構造が改良され、18〜19世紀にはより安定して活動的に乗れるタイプのサドルが普及しました。20世紀に入ると女性の服装や社会的地位の変化によりアストライド(両脚を開く乗り方)が一般化しましたが、サイドサドルは伝統競技や式典、愛好家の間で受け継がれています。

乗り方ガイド

準備

  • 安全のため、まずヘルメットと適切なブーツを着用します。
  • 馬の状態(歩様、気性)を確認し、鞍・腹帯(ガース)・鐙(いぶみ)が正しく装着されているか点検します。
  • 初心者は必ず経験者の監督の下で練習し、最初は落ち着いた馬とマウントブロック(乗り台)を使用します。

実際の乗り方(基本手順)

  1. 馬の左側(一般的には左側から乗ることが多い)に立ち、手綱を短く持ち、馬の頭を落ち着かせます。
  2. 乗り台を使って、鞍のそばに手をつきながら足を上げて体をサドル上に移します。片足をサドルにかけて勢いよく回るのではなく、ゆっくりと腰を乗せることが安全です。
  3. 座ったら両足を馬の同じ側に揃え、ホーンや補助部に体を寄せて安定させます。手綱は通常の騎乗と同様に両手で持ちますが、服装や目的に応じた伝統的な持ち方(片手持ち)をする場合もあります。
  4. 最初は常歩(なみあし)で馬の反応を確かめ、バランスを整えたら速歩や軽速歩へ移行します。

基本姿勢と援助の使い方

  • 背筋を伸ばして肩の力を抜き、視線は進行方向へ向けます。
  • 手綱操作は穏やかに。脚の補助(脚の位置や圧力)で馬に合図を出す点は通常の騎乗と同じです。
  • バランスが崩れたときは無理に戻そうとせず、馬を止めて調整します。

降り方

  • 馬を静止させ、両手で手綱をしっかり持ちます。
  • 乗り台を使ってゆっくりと体を降ろし、足を地面に下ろします。周囲に人や障害物がないか確認してください。

安全上の注意

  • 初心者は必ず経験者の指導を受けること。サイドサドル特有のバランス感覚が必要です。
  • 馬の選定も重要です。落ち着いた性格でサイドサドルに慣れた馬を選びます。
  • 定期的に鞍や鐙の点検、腹帯の締め直しを行い、不具合があれば使用を中止します。

装備と服装

  • サイドサドル:用途(展示、競技、ジャンプ)に応じたタイプを選びます。
  • 服装:伝統的には長いスカートやライディングドレス、ハットを用いることが多いですが、安全のため競技や練習ではヘルメット着用が推奨されます。
  • 付属品:手袋、適切なブーツ、必要ならばショルダーストラップや補助具。

競技とマナー

サイドサドルの競技は、姿勢、馬の調教度合い、服装の適切さ、マナーなどが審査されます。一般的にジュニアクラスとシニアクラスなどに分かれ、馬場馬術や展示形式で行われます。会場でのマナー(馬の扱い方や周囲との距離)を守ることも重要です。

学ぶには

  • サイドサドル専門の教室やクラブを探して基礎から学ぶのが安全で効率的です。
  • 最初は地上でのシュミレーターや低速のウォークから練習するとバランス感覚が養われます。
  • 歴史や伝統的な服装に興味がある場合は、展示会やイベントに参加して経験者の技術を観察するのも有益です。

サイドサドルは優雅で伝統的な乗り方ですが、安全と正しい技術が求められます。始める際は専門指導を受け、適切な装備と落ち着いた馬で練習してください。

モダンイングリッシュのサイドサドルクラスに乗る女性。Zoom
モダンイングリッシュのサイドサドルクラスに乗る女性。

歴史上

女性が馬の脇に座って乗るようになったのは、古代の歴史からである。その後、中世のヨーロッパ諸国で盛んになった。これはスカートをはいた女性が、派手な服を着たまま、控えめに馬に乗る方法を提供した。現在でも一部の騎手には人気がある。

側鞍に乗るエカテリーナ大王 ゲオルク・クリストフ・グルース(1716-49)作Zoom
側鞍に乗るエカテリーナ大王 ゲオルク・クリストフ・グルース(1716-49)作



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