地質学では、平らなシート状の貫入物をシルと呼びます。溶融したマグマが古い岩石の層の間に押し込まれたもので、周囲の堆積岩や火山岩、変成岩の層などに挟まれて薄い板状に広がります。シルを構成する岩石は一般に玄武岩質や粗粒のドルライト(閃緑岩)などで、冷却・固結すると硬い岩体になります。

ダイクとは異なり、シルは既存の岩石の層を横切らず、元の地層に平行な形で貫入します。多くの場合、マグマは割れ目(ダイク)などを通って浅部へ上昇し、その後層間の弱点に沿って水平・準水平に広がってシルを形成します。マグマが侵入して冷却・結晶化すると、しばしば柱状節理のような割れ方を示し、周囲の岩石には接触変成作用(熱変成)やチャネル状の冷却縁(チルドマージン)が見られます。

形成過程と特徴

  • 侵入の仕組み:地層間の弱面や既存の亀裂に沿ってマグマが横方向に流入し、薄いシート状に広がることでシルが形成されます。供給源は深部のマグマ溜まりやダイクを介したものが多いです。
  • 形状と規模:厚さは数センチから数百メートルまで幅があり、水平に数キロメートル、場合によっては数百キロメートルにも及ぶことがあります。上部や下部との接合面に冷却に伴うチルドマージン(微細晶粒帯)や異物(キセノリス)が残ることがあります。
  • 冷却構造:冷却速度の違いにより、外側は細粒、中核は粗粒の組織を示すことが多く、柱状節理などの割れ目が発達します(これはマグマの冷却・結晶化に伴う収縮によるものです)。

分類・関連用語

  • 同位(concordant)貫入:既存の地層に平行に入り込む典型的なシル。
  • トランスグレッシブ(transgressive)シル:侵入面が層理を横切るように複雑に変化するタイプ(シートが段差を越えるなど)。
  • 複合シル:同一地域で複数回にわたり重複して形成されたもの。積み重なって層状の岩体を作ることがあります。
  • ラコライト・ロポライトとの違い:ラコライトは貫入によって屋根側を持ち上げてドーム状に膨らむタイプ、ロポライトは凹状に湾曲する大規模な貫入体で、いずれもシルと同じく層に沿って侵入しますが形状が異なります。

地表景観・鉱床との関係

シルは周囲の堆積岩よりも侵食に強い場合が多く、断崖や平坦な高地を作ることがあります。また、マグマに伴う金属濃集や熱水変質により、Ni–Cuや貴金属を含む鉱床と関連することがあるため、経済地質的にも重要です。さらに、接触した堆積岩の焼結や変性が見られることがあり、地質学的記録としても重要です。

代表例

著名なシルには、アメリカのPalisades Sill(ニューヨーク〜ニュージャージー)、イギリスのWhin Sill(北イングランド)、南極のFerrar Dolerite(大規模なシル群)などがあります。これらは地形や露頭で良く観察され、シルの研究において重要な対象です。

まとめると、シルは層間に平行して侵入する板状の貫入岩であり、その形成過程、冷却構造、地形や鉱床への影響などから地質学上重要な役割を果たします。