シルト岩(シルトストーン)とは:定義・粒径・成因・特徴・判別法

シルト岩(シルトストーン)は細粒の堆積岩の一種で、泥岩のカテゴリに含まれます。一般的な定義では、岩石中の粒子のうちシルト粒径(砂より小さく粘土より大きい大きさ)の割合が50%以上を占めるものをシルト岩と呼びます。

粒径と用語の整理

シルトは粒径で定義され、Udden–Wentworth(ウデン・ウェントワース)や他の粒径分類に従うと、約1/16ミリ(約0.0625 mm、概ね0.06 mm)より小さく、1/256ミリ(約0.0039 mm、概ね0.004 mm)より大きい粒子を指します。つまり、

  • シルト:0.0039–0.0625 mm(約0.004–0.06 mm)
  • 粘土:<0.0039 mm(約0.004 mm未満)
  • 砂:>0.0625 mm(約0.06 mmより大きい)

成因と堆積環境

シルト粒子は主に物理的風化(凍結融解、熱膨張・収縮、剥離など)で生まれます。化学的分解を伴わずに岩石が細かく砕かれることが多く、以下のような環境で堆積します:

  • 風成堆積(ロス)— 例:中国黄土高原や世界各地のローム。風によって運ばれた粒子が厚く堆積する。
  • 氷河・氷床起源 — 氷河による砕屑物の再分布でシルトが多くなることがある。
  • 河川・三角州・湖沼 — 流速の低下した場所に細粒が沈積する。
  • 海成堆積 — 遠浅海域や大陸棚の遠距離輸送物質。

鉱物組成と物理的特徴

シルトの主成分は石英と長石であることが多く、少量の雲母や粘土鉱物(イライトやスメクタイトなど)を含むことがあります。粒子は比較的丸みを帯びることもあれば、物理的風化に由来して角張ることもあります。シルト岩の典型的な特徴:

  • 手で触ると細かく粉っぽい(時に「小さな粉砂」感)。
  • 塑性が低く、粘着性は粘土より小さいことが多い。
  • 水を含むと液状化しやすい(特に締固めが不十分な飽和状態の砂質シルト)。
  • 色は有機物や酸化・炭酸塩の含有量により灰色・茶色・赤色など幅がある。
  • シルト岩は一般に頁岩(シェール)ほどは層理に沿って割れにくいが、薄層化(ラミナ)を示す場合がある。

野外での判別法(実用的なテスト)

現場でシルト岩を判別する簡単な方法はいくつかあります。従来から「歯でこすってみる」といったテストが知られていますが、衛生面や安全面の観点から推奨されません。代わりに以下の方法を使うとよいでしょう:

  • 歯状感(古典的な方法):歯に当ててザラザラ(ギザギザ)と感じるならシルトの可能性が高い。だが唾液や汚れのため現代では避ける。
  • 指でこすり合わせる:指先でこすると「粉っぽい/微細な砂感」が感じられる(粘土は粘って延びる)。
  • リボンテスト(帯状試験):粘土は指で延ばすと薄い帯(リボン)ができるが、シルトは延びず壊れるか粉状になる。
  • 水に散らす(沈降試験):容器で水に混ぜると、砂はすぐ沈んでシルトは中層に沈降し、粘土は長時間懸濁する。簡易な粒径推定が可能。
  • 顕微鏡観察:薄片やスライドでの観察が最も確実。光学顕微鏡で粒径や鉱物組成を確認できる。
  • ラボ試験:粒度分析(ふるい分け+沈降法)、アッターベルグ限界(Atterberg limits)などで定量的に区別できる。

分類上の位置づけ

堆積岩としては、細分類で以下のように扱われます:

  • シルトストーン(siltstone):粒子の過半がシルトサイズであり、岩石として固結しているもの。
  • 泥岩(mudstone):粘土とシルトが混合した細粒岩で、特定の比率により呼び分けられる。
  • シェール(shale):薄い層理(裂開性)を示す泥岩で、しばしば粘土成分が多い。

地質学・土木工学上の留意点

  • シルトは水を含むと強度低下や液状化のリスクがあり、地震時に問題となることがある。
  • 凍結融解に対して感受性が高く、寒冷地では凍上・凍結融解障害を起こす可能性がある。
  • 貯留層(貯水層)やシール(遮水層)としての役割は、結晶度やセメント化の程度、割れ目の有無で変わる。
  • 建設材料としての利用は限定的で、硬く緻密に固結したシルトストーンは石材として使われることがある。

代表的な分布例

地球上でシルト供給量が多い地域の一つとしては、年間降水量が多く大量の風化物を供給するヒマラヤ山脈が挙げられます。そこから流出した細粒は風や河川によって広域に運ばれ、例えばロス(風成堆積物)や広大な扇状地、沖積平野を形成します。

その他(化学・鉱物学的コメント)

シルト中の主要鉱物である石英や長石は比較的化学的に安定ですが、堆積後のダイアジェネシス(成岩作用)でカルサイトやシリカ系のセメントが析出すると硬化してシルトストーンになります。シルト内に微量の粘土鉱物が含まれると、岩石の可塑性や吸水性が変化します。

簡潔に言えば、シルト岩は「シルト粒子が主役」の細粒堆積岩であり、粒径、鉱物組成、堆積・成岩過程、含水状態によって性質や挙動が大きく変わります。現場では簡易な触感テストや沈降試験で判別でき、精密な分類・利用評価は顕微鏡観察や粒度・力学試験で行います。

(注)元の簡易テストとしての「歯に当てる」方法は昔から知られますが、検査時の衛生・安全の観点からは指先での感触確認や容器での沈降試験、あるいはナイフやガラス板を使った擦り試験など、非接触に近い方法を推奨します。

ニューヨーク州フォートプレイン付近のユティカ頁岩(オルドビス紀)のシルトストーン(上)とブラックシェール(下)に見られる長方形の接合部。Zoom
ニューヨーク州フォートプレイン付近のユティカ頁岩(オルドビス紀)のシルトストーン(上)とブラックシェール(下)に見られる長方形の接合部。

質問と回答

Q:シルト岩とは何ですか?


A: シルト岩は泥岩の一種であり、シルトサイズの物質で50%以上構成されている必要があります。

Q: シルトとは何ですか?


A: シルトとは、砂よりも小さく、1mmの16分の1(~0.06mm)、粘土よりも大きく、1mmの256分の1(~0.004mm)の粒子のことです。

Q: シルトはどのように形成されるのですか?


A: シルトは、凍結や融解などの物理的な風化作用によって形成されます。

Q: シルトの最大の要因は何ですか?


A: 石英と長石がシルトの主成分です。

Q: 地球上でシルトの割合が最も高い場所はどこですか?


A: 地球上で最もシルトの割合が高いのはヒマラヤ山脈で、年間降雨量は5~10メートルです。

Q: シルトの性質は何ですか?


A: シルトは非粘着性、非塑性である傾向がありますが、簡単に液状化します。

Q: 岩石がシルト岩かどうかを判断する簡単なフィールドテストは何ですか?


A: 岩石がシルト岩かどうかを判断する簡単なフィールドテストは、岩石を歯に当ててみることです。その岩石が歯に当たって「ギトギト」していれば、それはシルト岩です。

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