コロネラ・アウストリアカ(スムースヘビ)とは|生態・分布・特徴

コロネラ・アウストリアカ(スムースヘビ)の生態・分布・特徴を詳解。無毒で滑らかな鱗、捕食習性や繁殖、英国〜イラン北部の分布を写真付きで紹介。

著者: Leandro Alegsa

スムースヘビはCoronella austriaca英国に生息する3種類のヘビのうちの1つで、南部のヒースランドにのみ生息する。

ヨーロッパ北部から中部、東はイラン北部に生息する無毒の脚長である。他の多くのヘビと異なり、鱗が平ら(キール状ではない)である。このため、触ると滑らかな感触があり、これが名前の由来となっている。

小動物、特に他の爬虫類を捕食する。大きな獲物は締め付けることで取り押さえるが、収縮動物のように実際に殺すことはない。繁殖は産卵によって行い、卵は暖かい場所で砂に埋まる。



特徴

体長は成蛇で概ね40〜70cm程度、まれに70cmを超える個体もいる。体は細長く、頭部はやや丸みを帯びていて胴部と明瞭に区別されない。頭は三角形のマユゲ型や肥大した顎を持つ毒蛇とは異なり、平坦で穏やかな外見をしている。瞳孔は円形で、側面から見ると目立つ。

背面の色彩は灰色や褐色、赤みを帯びた色など個体差があり、暗色の斑紋(斑点や縦列の斑)が並ぶことが多い。腹面は淡色で、模様が薄い。名前の通り鱗は平滑(smooth)で、触るとざらつきが少ないのが特徴。

生態・行動

  • 活動時間:日中に活動することが多いが、気温の高い季節や地域では早朝や夕方に活発になる。冬季は冬眠する。
  • 隠れ場所:倒木、石の下、茂みや落ち葉の下などに潜み、視界の良い場所で待ち伏せや探索を行う。
  • 捕食方法:主にトカゲ類(カナヘビ、トカゲ類、アオダイショウ類ではなく小型の爬虫類)や小型の哺乳類、時に鳥の巣や卵を食べる。大型の獲物は巻きつけて抑え込むが、典型的な締め殺し(強力な蠕動的圧迫)を行うわけではない。
  • 防御行動:脅かされると身を縮めて静止することが多く、噛むよりも逃避を優先する個体が多い。

分布・生息地

ヨーロッパ大陸北部から中部、東はイラン北部に至る広域に分布する。英国では限定的で、南部のヒースランドや乾燥した低地の茂みなど、特定の生息地に局在している。開けた草地、低い灌木地、乾いた森の縁などを好む。

繁殖

スムースヘビは卵胎生(胎内で卵が孵化し、ほぼ完成した幼蛇が母体から産まれる)で、メスは体内で胚をある程度まで育ててから生仔を出す。産仔数は地域や個体によるが数頭から十数頭程度。繁殖期は春から初夏にかけて交尾が行われ、幼蛇は夏の終わりから初秋にかけて誕生することが多い。

保全状態と脅威

広域では個体群が安定している地域もあるが、局所的には生息地の破壊や断片化、農地化、開発、過度の放牧や林地管理の変化により個体数が減少していることがある。英国など分布の端に位置する国では非常に希少であり、保護対象となっている場合が多い。山火事やレクリエーションによる生息地の劣化、外来種による影響も脅威となる。

人との関わり・注意点

  • 毒はなく人に対して危険ではないが、触るとストレスを与えるため野外での不要な取り扱いは避けるべきである。
  • 英国などでは生息地の保全が重要視され、ヘビ自体やその生息環境が法的に保護されている地域があるため、発見しても安易に移動させたり捕獲したりしないこと。

類似種との見分け方

アダー(<i>Vipera berus</i>)やイングリッシュ・グラス・スネークなどと混同されることがあるが、スムースヘビは頭部が胴と明瞭に区別されず、鱗が平滑で瞳孔が円形である点が目安となる。毒蛇であるアダーは頭部がやや三角形で瞳孔が縦長(楕円)であることが多く、斑紋や体形の違いと合わせて見分ける。

観察する際は生息地を乱さないことを第一に、写真を残すなどして保全に協力することが推奨される。



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