スタラグマイト(石筍)という言葉は、菌類の一種を指す場合もありますが、ここでは洞窟内にできる鉱物層について説明します。。
石筍は、洞窟の床に見られる堆積物で、鍾乳洞の天井から鉱物を含んだ溶液が滴り落ち、炭酸カルシウムの堆積物が地面に柱状に積み上がって形成されるものです。対応する天井側の垂れ下がる地層は、一般に鍾乳石(stalactite)と呼ばれます。
成因(どうやってできるか)
雨水や地下水が空気中の二酸化炭素と反応して弱い炭酸を作り、石灰岩などのカルシウムを溶かして地下に流れ込みます。その水が洞窟の天井や隙間から滴り落ちる際に、二酸化炭素が再び放出され、溶けていたカルシウムが炭酸カルシウムとして沈殿・再結晶します。これが長い時間をかけて垂れ下がる鍾乳石や床から成長する石筍になります。条件によっては方解石や霰石など異なる鉱物相で形成されます。
見分け方と覚え方
- 英語の綴りを使った覚え方:StalacTiteの「T」は天井(Top)からぶら下がる形を、StalaGmiteの「G」は地面(Ground)から上がる形を思い出させます。
- 別の覚え方:鍾乳石は「垂れる(たれ)」、石筍は「立つ(たつ)」と日本語でイメージする。
- 形や位置で判断:天井から細長く垂れているのが鍾乳石、床から盛り上がっているのが石筍。両者が成長してつながると「柱(カラム)」になります。
成長速度と脆さ
鍾乳石・石筍の成長は非常に遅く、場所や水の含有成分によって差はありますが、年に数ミリメートル〜数センチメートル程度といったオーダー(場合によってはもっと遅い)で成長します。したがって、折れたり汚れたりすると元の自然な状態に戻るまでに非常に長い時間がかかります。
保護のポイント(洞窟見学時の注意)
- 触らない:石に触れると皮膚の油脂や汚れが付着し、鉱物が付着・再結晶する場所を塞いでしまいます。これにより成長が止まったり変色したりします(参考:皮膚の油分の影響)。
- 指定の通路を歩く:観光洞窟では遊歩道や柵に従い、地形や周囲の微小環境を乱さないようにします。
- 触れる・持ち帰らない:鍾乳石や石筍は学術的価値や景観価値が高いので採取は厳禁です。
- 照明管理:人工照明が強すぎると藻類などが発生して色や表面を損なうことがあります。多くの洞窟では照明の管理や点灯時間の制御が行われています。
- 汚染を持ち込まない:飲食や喫煙、化粧品などの油脂は洞窟環境を悪化させるため避けてください。
人工物上の形成
鍾乳石や石筍と同じような成分の堆積は、コンクリートの天井や床、坑道の裏材など人工物の上にも形成されることがあります。コンクリートから溶出する成分や水の流れにより、自然洞窟より短期間で堆積が進む場合があり、外観は似ていても成因や化学組成が異なることがあります。
最後に(まとめ)
鍾乳石(天井側)と石筍(床側)は、地下水がもたらす炭酸カルシウムなどの沈殿によって長い時間をかけて作られる自然の造形物です。見分け方は位置と形で簡単にわかりますが、成長が非常に遅いため、観光時には触らない・採取しない・指定経路を守るといった基本ルールを守って保護することが大切です。

