スコーン石(ストーン・オブ・デスティニー)とは — 英国王戴冠式で用いられた歴史的赤砂岩

スコーン石(ストーン・オブ・デスティニー)—英国王戴冠式で用いられた赤砂岩の歴史、寸法、伝説と保存地を写真とともに詳述

著者: Leandro Alegsa

スコーン石は、「運命の石」戴冠式石」とも呼ばれ、イングランドとスコットランドの戴冠式に使われる石である。赤砂岩の長方形のブロックである。スコットランドのパース近郊のスコーンにある、現在は廃墟となったスコーン修道院に保管されていたものである。大きさは26インチ(660mm)×16.75インチ(425mm)×10.5インチ(270mm)、重さは約336ポンド(152kg)。スコーン・ストーンは1953年にグレートブリテン及び北アイルランド連合王国のエリザベス2世の戴冠式に用いられた。

概要と物理的特徴

スコーン・ストーンは赤みを帯びた砂岩で、長方形の粗いブロック状をしている。表面には工具で削った跡や長年の摩耗に伴う傷跡が見られ、側面や底面に修復のための継ぎ目が残っている場合がある。寸法と重量は前述のとおりで、持ち運びや展示には専用の支持具が必要となる。

歴史的経緯

  • 中世の記録では、スコーン修道院においてスコットランド王の戴冠に用いられていたと伝えられる。
  • 1296年、イングランド王エドワード1世がスコットランド遠征の際にスコーン・ストーンを持ち去り、ロンドンのウエストミンスター寺院にある「エドワードの椅子(King Edward's Chair、戴冠椅子)」の下に収めた。以来、多くのイングランド(その後のイギリス)王の戴冠儀式で用いられた。
  • 1950年、四人のスコットランドの学生がウエストミンスター寺院から石を奪還しようと試み、一時スコットランドへ持ち帰ったが、その後破損した状態で発見され、1951年に修復の上で戻された。
  • 1996年、英国政府はスコットランド側の要請を受け、石をエジンバラ城に一時返還したが、法的所有権は王冠に留まり、戴冠などの必要時にはウエストミンスターに一時移送される取り決めとなった。
  • このため、スコーン・ストーンは1953年のエリザベス2世戴冠式だけで最後に使われたわけではなく、2023年のチャールズ3世戴冠式でも儀式において重要な役割を果たした。

伝説と象徴

スコーン・ストーンには多くの伝説が伴う。ある伝承では旧約聖書のヤコブが眠った際の「枕石」が起源とされ、そこから王権の正統性を示す聖なる石とみなされるようになったとも言われる。ただし、これらは宗教的・民族的な神話や後世の脚色が混ざった話であり、実物の起源を裏付ける考古学的証拠は乏しい。

現代での所蔵と扱い

1996年以降、スコーン・ストーンは主にエジンバラ城で展示されているが、公式には王室の所有物であり、戴冠に際してはウエストミンスター寺院に一時的に移されることになっている。展示時には石の保全・安全管理が最優先され、移送時は専門チームが厳重に監督する。

注目すべき点

  • 象徴性:スコーン・ストーンはスコットランドとイングランド双方の王権の象徴であり、政治的・文化的に敏感な存在である。
  • 保存と公開:展示と保全のバランスが求められ、一般公開の際には解説パネルや展示資料で歴史的背景が説明される。
  • 論争:長年にわたり返還や所有権を巡る議論が続いており、文化財と国家的アイデンティティに関する議論の象徴ともなっている。

スコーン・ストーンは単なる石材以上の意味を持ち、歴史・伝説・政治が交錯する文化遺産である。訪問や研究を通じて、その物質的特徴だけでなく背景にある歴史的文脈を理解することが重要である。

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ストーン・オブ・スコーン」の複製



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